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アンブレイカーズ  作者: MRプロジェクト(詳しくはプロフィールにて)
終章「生き様」

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35/35

「35」人生リスタート計画の第1歩目

3人称終了です

真夏の天日の勇足が俺達を踏みしめて振り続ける。

このまま足元の墓地に直輸入されてしまいそうな熱景色だ。


俺は堪らず自販機のついている休憩所に入り込み、ジュースを買って雀ちゃんにも渡せば悪くない物選びだ、みたいな顔をして受け取って、クーラーが放つ冷気の羽衣を2人羽織り席に座った。


さっきまでここにいた人が纏っていた線香の匂いが鼻を突つく。


「佐伯家にはちゃんと霊がいなかったね」

「…はぁ、アッツ。…お前が食っちまったからじゃねぇのか?」

「いやほんと……苦しいです」

「首絞めてないだろ」

「言葉に絞殺されそうです」


そう顔をネジ位捻っていると雀ちゃんはクーラーを見て言った。


「まぁ許してはないけど、仕方ないって割り切ってはいる。もう、どんなに恨んだって帰って来ないからあの子も、旦那も。……あぁ旦那は大怪獣にか。けどその大怪獣殺してくれたの陽介だし、敵討ちしてくれたってことでもあるな。まぁでもそれはそれこれはこれ」


雀はポーチから塩分チャージをとり、陽介に渡して言う。


「…墓石とか家に霊が居たら成仏できてないって、話だったよな」

「……うん」

「成仏してるなら、安心して余生過ごせるわ。よかったよかった」

「…うん」

「萎れすぎだろ怪獣ノアー」

「ちょ、や、やめてくれよそれ……雀ちゃんが佐伯陽介で良いって言ってくれたんじゃんか」

「んー、言ったけなぁー」

「雀ちゃぁん……」


何だかんだとありながらも雀ちゃんは俺を再びいつもの様に接してくれる様になった。その距離感は人が言う家族の様な物で、ひどく心地が良くて、だからこそ大切にしたいと強く思う。


「あ、ハンドクリーム いるか?」

「あー……なんか光に【適応】してから肌の調子よくてさ。だから大丈夫」


そうして俺達はしっかりと着込んだ喪服を着崩しながら車に乗り事務所に帰った。


そして翌日、俺と雀ちゃんは依頼を受けた家の前に歩いてきていた。


「いやぁー、今日も良い天気だよほんと」

「今日も頑張ろ雀ちゃん」

「あぁ、そうだな」



怪獣が人になっている。



それは大怪獣討伐の一報が日本中、いや世界中に轟いたと同時に大きな不安の渦を巻いた。

だから佐伯雀及びアンブレイカーズは話合い、社会貢献をする事で地道にその不安を取り除こうと言う方針を固め、協力関係を構築した。


その一環として始めたアンブレイクの新事業。バトルブレイクダンスの金城一家の成仏を手伝った様に、陽介の体に死者を降し成仏させる、という仕事を始めた。


また、今回の大怪獣騒動を経て体の鈍りがあったというアンブレイカーズトップの面々による進言によりアンブレイカーズトップの運用を適切に行う事を断言した。


その他、アンブレイカーズが担っていた郊外と外周の巡回、怪人・怪獣討伐の自治を俗名外周ヒーローに属する暫定自治加速団を友好的自治団とし、各人の資格取得と怪人及び怪獣討伐特別認可制度に加盟する事で討伐及び治安維持を担う事ができるようにした。


その分担内容は、郊外のような広大かつ危険性があり、多くの優秀な人材と膨大な資材及び運送技術が必要な仕事をアンブレイカーズが。


郊外で観測が出来ないまま、または逃してしまった場合かつ外周および壁内に怪人・怪獣が侵入した場合に外周ヒーローが自治を担う事になった。


この制度では基本として外周ヒーローが郊外に行くことを禁じており、指定都市区でしか活動はできない。

ただし、アンブレイカーズからの郊外活動協力要請があった場合それに応じる事が許可される。


また、武具の調達や整備、相互的素材提供も実施されており活動安全性と安定性が両者共に担保されるようになった。


そうしたアンブレイカーズの実質的子会社化した業態は、アンブレイカーズで働く上で必要な条件を満たせなくなった者が一段階低い条件下で働ける受け皿の様な場所となっていた。


また、余談ではあるが宇宙戦争は友好性宇宙人の勝利に終わった。それによりアンブレイク一行が負った深手の治療の打診を受けた大きな宇宙人が来星。

全員を後遺症なく治療していた。


「すみません、株式会社アンブレイクの佐伯雀です。本日ご依頼頂いた件で参りました」

「……あ! はいはい!! 今行きます!!!」


足音が近づいてくる。

それを前にして俺は息を吸いルーティンを口にする。


「前を向いて、今日も一日ご安全に」


どんな生き方になろうとも、前を向く事を諦めず真摯に誠実に、生きていく。そして赤井から託された思いを紡ぐため、自己犠牲を連ねず、確実に安全に、みんなのために息をする。

それこそが俺が人間として生きていく為に必要な信条であり、怪獣混じりの俺が人間として生きていく事を許してもらうための掛け替えのない条件。


俺が誰かになるのでも、誰でもないのでもない。


自分は自分。俺は佐伯陽介だから(・・・)、迷いなく歩みを進める。迷いも不安も脱ぎさって。


「改めまして、株式会社アンブレイク社長佐伯雀と申します」

「株式会社アンブレイク所属、佐伯陽介と申します。本日はどうぞよろしくお願い致します」


平和を壊させない者達(アンブレイカーズ)

俺はその一員として名実共に組み入った。


そしてここからが佐伯陽介の人生の始まり。


俺の人生リスタート計画の第1歩目だ。

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