表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/153

執行班の在りよう

 先に言っておきます。この章は各々の裏側に迫った小話となっています。本編の合間合間で時折更新していきます。

 提供は兼城学院執行班、袴田美音がお送りします。

 事の始まりについて遡るなら、三十年ほど前になるのであろうか。人為的な特異現象が世界のあちこちで起こり、後に能力者なる存在が生まれることになったのは。

 今になってもその原点はわからないままである。


 その能力について、人間の脳の進化によるものである。という基礎理論を最初に提唱したのはアメリカの科学者、アルバス・ウォーカーの率いる研究チームである。というのが今この世界における定理となっている。

 しかし能力という存在自体、まだわからないもののほうが圧倒的に多いのだ。あまりに曖昧過ぎるものだから理論を提唱してもよいものなのかと、私自身は思ってしまう。


 それともう一つ。彼の素性について知ろうとするのは不可能に近いとも言える。アメリカの科学者。なーんて言われているが、それが真実だという保証はどこにもない。いや、そんなものではない。彼は多くの謎によって構成されているのだ。

 名前以外の彼にまつわる情報。年齢、学歴、経歴、生い立ち、血縁関係、過去の研究内容及び成果。その情報の多くが、いくら探せど調べど見つからないのだ。

 もしかすればアルバス・ウォーカーという名前でさえ、真名ではないのやもしれない。



 堅苦しい理論の話はこれくらいにしておきましょうかー。考えることは嫌いじゃないのだけれど、こういうことはまた別かなー。

 そして現在。能力を有する者の数は、明確な割合こそ不明であるが、推測によれば全人類の四割近くにまで増えているとのことらしい。

 能力について挙げるとすれば実に様々である。モノを生成する。炎や風を操り操作する。身体能力を強化する。周りの空間に干渉、或いは変化を起こす。私が最近知ったものでは、なんでも能力自体を使えなくしてしまうそうだ。

 とまぁこんな感じで、能力の種類について語ればキリがないであろう。私の持つ能力もまた――




「さっきから何をぶつぶつと語っているんですか。袴田さん」

「あらいたのー。やーねー蓮君。人がせっかく語っている最中だっていうのに。今になって考えてみると、そもそも能力ってどんなものなんだろーって、紅葉ちゃんが気になるーっていうもんだから」


 紅葉ちゃんにお話ししていたら、蓮くんが応接室に来ていたみたい。


「ふとした疑問だったんだけどね。にしてもまだまだ謎が多いんだなーって」

「漠然としすぎていて、正解がわからないのよねー」

「確かにいざ考えてみると、謎ばっかりですよね」

「そうよねぇ~。さて……」


 次は何を話そうかと考えていたところで、びびっと、舞い降りたように話題が出てきた。


「そうだー。せっかくだから私たちが所属している執行班についてもお話ししようかしらー」

「気になります」

「蓮くんもよかったらどぉー?」

「暇してるので付き合います。コーヒー貰えますか」

「はいはーい。少々お待ちをー」


 途中参加となった蓮君に、珈琲を用意してからテーブルに戻った。


「おまたせー。砂糖とミルクは必要かい?」

「いえ。大丈夫です」

「ほぉー、ブラックが好みかい。粋だねぇー」

「そんなもんでもないですよ」

「まぁさておき。お話しをはじめようかー」

「ぱちぱちー」




 能力についての話はひとまず終わり。今度は私の所属する執行班についてお話しすることにしましょうか。

 能力は日常において様々な形で活用されるようになってきた。しかしそのすべてが有意義なものではない。時に悪用されるようにもなり、能力を用いた犯罪行為は、今なお根絶の目途は立つどころか増加傾向にある。それを受けて世界各国では様々な対策が取られるようになった。組織の設置、新たな法や条約の制定。


 そして日本では、能力のある今日の秩序を守るべく、総合管理局という組織が国によって設立されたのが、今から十五年前になる。そこから三年後。更なる組織活動の発展のために若者、特にいえば十代後半から二十代前半。さらに事細かく言うなら高校生、大学生に目が向けられた。

 若いものほど能力の及ぼす力は大きいとのことだそうだ。

 総合管理局の傘下にある、学生及びその学校関係者によって構成された組織、特別執行班。通称執行班が置かれるようになったのがその時だ。

 全ての高校、大学とまではいかないが、今現在多くの学校にそれは存在している。執行班が置かれたことによって、多くの功績が挙げられるようになったのもまた事実である。

 私の通うこの兼城学院にもその組織はおかれており、今年度は六人となっていたが、今ここでコーヒーを飲みながら私の話に耳を貸してくれているこの男子生徒、黒宮蓮が編入してすぐ、紅葉ちゃんのお墨付きという鳴り物入りで執行班に加入し、現在は2年、3年の七人が所属している。


「ここで俺の情報いりますか?」

「そういうことは気にしないの」



 これまで私が関わってきた執行班の仕事についていくつか挙げていこう。見回り中におけるスリ、ひったくり、痴漢行為等の検挙。立てこもり犯の取り押さえ。先日あった不正取引をする組織の検挙。山林調査。といったところになるだろうか。

 どういう仕事があてがわれるというのは各執行班によって違いや差はある。執行班の担う仕事は見回り等による監視がメインとなる。時によっては大きな作戦に参加することも少なくはない。

 皆個性的な面々ばかりで飽きさせない日常を提供させてくれる。もちろん執行班の仕事もおろそかにはしていない。



 カップの紅茶を時折飲みながら話をしてきたが、気づけばカップが空になっていた。


「あらぁ。もう飲み干しちゃったの」


 紅茶の追加を入れようかとも考えたが、ふと腕時計に目をやるとかなり時間が経っていた事に気がついた。


「おやぁ、もうこんな時間になっちゃったか。そろそろバスの時間もあるから私はこれで。また明日ねー。またこの続きを話せるときがあったらその時はよろしくね」

「はい。お疲れ様でーす」

「お疲れ様です」



「黒宮君はどう思う? 袴田さんの話を聞いて」

「正直言って俺にはこういう難しい話はよくわからん」

「そっかー。正直私も」

「でもいつかは明らかになる日が来るのかね?」

「そうかもねー」




 帰りのバスの中。私は一心不乱にスマホで文章を打ち込んでいた。


「(やっぱりこういう日々はいいもんだねぇ~。またいい小説が書けそうな気がするよぉ~)」


 私の気分は上々であった。




 執行班に限らずだけど、学院生活の中で色々と面白いものを見たり聞いたりすることができたの。面白いこともたくさんあったし、執行班のみんなの素顔について色々語ることにしようかしら。

 最初は誰の話題から取り上げることにしましょうか~。あぁそうだ。最近知ったことにしましょうか。



 麗奈ってあぁいう顔もするものなのね。一度この目で見てみたいわぁ~。


「……」

「どうかしたのか邦岡」

「なんというか、悪寒がするんだ」


 気のせい気のせい。(すっとぼけ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ