暗躍は終わり、そして――――――
「話したいことって……」
「まずは……あの時のことを覚えている?」
「あの時って、この前の管理局襲撃事件のことでいいんだよな」
俺が竜胆にそう聞くと、彼女は黙って頷いた。
それにしてもなんだ。学校が違うからあまり彼女のことについては分からないが、これまであった時とはなんだか違うものを感じる。
「あの時に私達が見たあの光。あれは一体なんだったの?」
「あれか? と言っても、俺にもその辺は分からないことづくめなんだがな」
俺はベットから立ち上がると、棚にしまってあったペンダントを取り出し、ベットの上に座ってからそれを竜胆に見せた。
「こいつだ。それにしても、お前もあの光が気になったのか……」
「……」
俺がペンダントを取り出してすぐ、彼女は見入るように眺めていた。そしてしばらくそれを見てから俺に質問してきた。
「貴方……これを何処で手に入れたの?」
「何処って……どっかで買ったものじゃなくてな。四、五年くらい前に出会った少女から貰ったものなんだ」
「………それは本当?」
「嘘はついてないって。昔のことだから記憶が曖昧になってるかもしれねぇけどさ、貰ったって言うのは確かだ」
無言で俺のことをじっと見つめて……というよりは睨んでいる。まさかとは思いますが俺の心読んでますか?嘘ついてるって思われてますか?
かと言ってここで能力を使えば……ってもんでもない気がするんだ。抵抗はしないでおこう。
泰牙の奴が言っていたけど、見かけによらず滅茶苦茶に強いとか言っていた。そう思うと下手な行動とるのが怖い。ここが病院で俺は入院患者だから向こうも変なことはしないと思うけど。
「そうね。嘘はついてない」
「断言出来るもんなのか」
「心を読む能力とかじゃないけど……私には何となくわかる。勘……だけど」
「……そうかい」
「じゃあ質問を変えましょう。そのペンダントをくれたのはどんな人だった?」
「どんな……か」
ペンダントをじっと見つめながら、貰った時のことについてを思い出していく。
「全てをはっきりとは思い出せないんだが白髪……いやそれだとなんか年寄りくさいから銀髪って言った方がいいのかな。白いワンピースを着た銀髪の少女だった……かな。俺にこれをくれたのは」
そう答えたが、竜胆にとってはまだ情報が足りないみたいだ。
「他になにか思い出せることはない? 何でもいい」
「他……って言われてもそんなに話せることないんだけどな」
右手の指先でペンダントをいじりながら、なにか思い出せることは無いかと考えてみる。
「あの時俺は東京にいて……あっそうだ。たしかその少女を探していた人は、その子のこと"カルラ様"って呼んでたかな。もしかしたら外国のお嬢様だったのかな」
「カルラ様……‼」
名前に強く反応したのか。ぐいっと俺の方に顔を寄せてきた。
「ってどうしたんだ竜胆さん。近い近い」
「カルラ様……って言っていたの?」
「あ、あぁ。それがどうしたんだ?」
その後の彼女の目は、毎度会った時に見るようなとろーんとしたものではなくて、戦っている時の紅葉のようなキリっと目をしていた。
「そういう……ことなの?」
そのあとの竜胆は、これまで見た竜胆ではないような気がした。
俺も、意を決して彼女に聞いた。
「なぁ竜胆。お前はこいつについて、何か知っているのか?」
その頃で。蓮達が生きる世界とは違う。……と言うよりは、彼らの生きる地上よりもはるか上に存在する世界。
人間の知識で言うなら、天界と呼ぶべきその世界。とある施設の一室において、緊迫の空気が流れていた。
「一体何があったんだ?」
「急にお呼びだてしてすみません。まずはこれを見て貰えますか」
モニターに向かう男性が見て欲しいといった映像。そこに映し出されていたものは――――――
「この光は?!」
「はい。間違いなく、強力なクレイルによるものだと思われます。観測されたのは今より二日前。地上、現地の時刻で十五時三十一分です」
映像に映し出されていたのは、とある街中で交戦している二人の人物。そのうちの一人はヘルメットによって顔が覆われている。
ヘルメットを被った人物が殴り飛ばされた後、もう一人の男を中心として眩い光が放たれている。そんな映像だった。
「それにこの光は間違いなく……」
「はい。恐らくは……」
「馬鹿な?! 我々の知らぬうちに、地上の者の手に渡っていたというのか!!」
「さらに、これより過去一ヶ月以内に置いて、微弱ながらも同様の反応が数件、検知されていたことが定期検査での報告により明らかとなりました」
「これまで全く音沙汰なかったとは思っていたが、急展開だな」
「大規模な調査グループも、一昨年には解体されてしまいましたからね。自分も、突然このような形で発見されたことには驚きを感じています」
「如何なさいますか。メリベールさん」
「ともかく。所有者とは早急にコンタクトをとる必要があるなだとするならば……」
考え、そしてすぐさま決意し。この場にいるものに指示を飛ばす。
「至急この映像のコピーを頼む!終わり次第、定例報告会にこの由を報告する!」
「了解です!」
「反乱軍もこの事態を見過ごしてはいないだろう。いつでも地上に降りて活動できるよう、各自準備を怠るな!!地上にいるものにも厳戒態勢を執れと伝えろ!!」
「はっ!承知しました!」
その後すぐ。メリベールは先程の映像が記録されたメモリーチップを手に、屋敷内を駆け足で移動していた。
「(まさかこんな知らせが飛び込んでくるなんて思いもしなかった。それにしても、あの映像に映っていた少年。どこかで見覚えが………)」
その思考を阻むように、通信音が響く。
「なんだ?また何かあったのか?」
「大変です!」
「なんだと?! カルラ様が……!! そちらの対応は任せる!」
そしてまた。天界の別の場所では――――
「"人間"は我々天使によって、管理されなければならない存在だ……」
「探しているいたモノの在処も突き止めた。もう詮索をする必要も、力を蓄える必要も無い。彼女をここに呼んできてくれ」
「承知しました。ルシフェ様……」
「今こそ計画を始動するときだ…………」
人類を脅かす計画が、企てられていた――――――――
新たな戦いが待ち受ける!
なんか無理やり収めた感が……




