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燈崎琴莉の革命日記  作者: 倉石 雨


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25/25

25.謙山先生が家に押しかけてきた。

謙山先生が家に押しかけてきた。

別に断る理由もないので入れるのだけれど。

「いやー広いねー!」

「寧々はまだ寝ているので、もしあれなら私が話聞きますけど」

「そんな堅苦しい話じゃなくてね。担任の藤野先生からあなた達の話を聞いて、どんな生活をしてるか気になっただけ」

「割とアグレッシブなんですね。先生」

すると謙山先生は少しトーンを落としてこう返してきた。

「ここなら弱っちい私みたいな先生の愚痴も聞いてくれる優しい人がいるかなってね」

「私で良いなら聞きますけど」

「冗談だから気にしないで。実は…私の家燃えてさ。板垣大学に近いアパートの一室なんだけど」

「それは…災難でしたね」

「あ、気を使わなくて良いの。むしろごめんね、こんな押しかけみたいなことやっちゃって」

こうやって自分から引ける人間ほど相手から言葉を引き出すのが上手いのだろうな、と感じずにはいられない。

分かっていても空気感で

「いえ、全然」

と言ってしまう。

「で、その関係で少しホテル住みしてたんだけど、如何せん公務員だからね…」

と口には出さないものの、お金の問題を言ってくる。

さすがに断りにくい。

「その…住みたいんですか?うちに」

と聞いてしまう。

「できれば…そうしたいかも」

あれ?普通なら『いやいやそんな』と挟む気がするんだけど…やばい。先生に会話のペース呑まれそう。

「良かったら…なんだけど…だめかな」

そんな上目遣いで言われても…

「…良いですよ。いつもお世話になってますし」

結局、負けた。


「あ、おはようございます先生!」

「おはよう寧々さん!今日からここに住むことになったの」

その言葉に寧々が固まる。少ししたら私のところに寄ってきて、私を使って先生から隠れた。

そしてひょこっと顔を出して言う。

「ほんとに?」

「本当」

私に聞いた訳では無いのだろうけれど、そう答える。

寧々は何かを少し考えた後、思いついたのか声を張り上げた。

「琴莉!先生に琴莉のお母さんの部屋を使わせてあげよう!」

「え、でも」

「大丈夫!私はリビングで寝るから!」

「そんな無理しなくて良いよ。私の部屋で寝れば良いから」

「えっほんと!?でも…琴莉がリビングで寝るのも嫌」

そう言いつつ寧々は両手の人差し指をつんつんと合わせる。

「じゃあ…一緒に寝る?」

「うん!」

やけに最後だけ声が大きい気がした。

「そういえば先生、服の方は」

先生は何か考えていたみたいで少し間ができる。

「えっあっ…えとなんだっけ?」

「服って大丈夫なんですか?」

「あ〜服なら車に積んであるから、他にも日用品類は車にある。だから気にしないで」

やけに準備が良い気がする。

まあいいや。

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