遙かなる望郷の地へ-80◎「深まる懸念11」
■ジョフ大公国/宮殿/大広間
私は彼女の様子を確認して、少しだけ安心する。
「・・・いずれにせよ、かなり厄介な事態になっているのは間違いないらしい。」
小さく肩を竦めて、ため息をつく。
どうやら、あちらの“夢見”の力は、彼女の力を上回っているらしい。とすれば、あちらにはこちらの動きを予見できるにもかかわらず、こちらにはあちらの動きを予見することができないということになる。結果として、あちらが常に先手を取り続けられるのであれば、こちらは必然的に不利な状態での戦いを強いられることになる。戦さの勝敗は、敵の情報をいかに早く手に入れるかにかかっていると言っても過言ではあるまいが、現状ではその点について不利は否めない。
「・・・とすれば、この事態をひっくり返す手段は、必然的に限られてくるな。」
第一は、敵の予見を阻止すること。第二は、敵の“力”の根源を叩くこと。第三は、敵を上回る“力”を手に入れること。
あまり現実的とは言えない第三の選択肢を除けば、彼女の観た魔法陣が何らかの関わりを持っている可能性は低くあるまい。
「・・・レムリア。すまないが、わかるものなら教えてほしい。その天と地を結ぶ六つの黒い電光か、あるいは魔法陣があった場所は、どこだかわかるか? 特徴的な建物か地形か、何かその場所を特定できるようなものは見えなかったか?」
今回は、エリアドの視点から見た状況です。読み難い面もあろうかと思いますが、平にご容赦を。