遙かなる望郷の地へ-50◆「閲兵式3」
■ジョフ大公国/宮殿/大手門
グランは、自分の思っていることを素直にぶつけようと思った。
“今は自分にしか出来ないことをしよう、それで良いですね姫”
守るべき対象が傍に居ない不安、不満も今は微塵も見せなかった。どよめきが収まるのを待ってからいよいよ話を始めた。
「ジョフ臣民並びにコーランドの友に告ぐ。私はジョフ公国軍総帥アルフレッド・グランツェフである」
やや冷たい口調で始まったが、他を圧する声が広間に広がる。
「諸君らが知ってのとおり、この国は復興途中であり、戦に対して十分な準備はされていない。今回、北方から進入したオークどもの戦力は報告では約1万、対する我らは5千である」
言葉を区切ると全軍を大きく見やる。
「しかし、そう悲観するな。 勝つための手段は既に考えてある。それに、レアラン大公女並びに私自身も陣頭に立ち戦闘に参加する。此処にて誓う、今後我らは共に戦い、諸君達だけに無益な戦闘はさせないと!」
大きな声が全軍の中に木霊す。
「我が国臣民並びにコーランドの友よ、決死と必死は違う。諸君も私に誓って欲しい、決して無駄に死なないと!生きてこの戦いの後、我が友として再び此処に集うと!」
口調は段々と熱を帯びる。
「今生の行いは永遠に記憶されるであろう」
背中の大剣を引き抜くと天に向け誓う
「天の神々よ我等の戦いを御照覧あれ。全軍出撃!!」