遙かなる望郷の地へ-49◎「深まる懸念3」
■ジョフ大公国/宮殿/大広間
「わたしからも、お願い申し上げます。もしも相手に“夢見”がいるとしたら・・・わたしたちの行動は予測されていると・・・」
レムリアは、そこまで話すと蒼白になった。どんな時でも落ち着き払った態度の彼女にしては異常なことだ。
「そんな・・・もしも、わたしたちの行動が予測されていたら・・・グランさまとレスコーさまの部隊が危ない! 急ぎ伝令を・・・」
「待たれよ。」
廊下に通じる扉から、不思議な色に輝くスケールメールを身に纏った三人の人物が入ってきた。先頭の背の高い異丈夫は剣を、二人目は槍を、最後尾の女性は弓を持っていた。
「フラネースに名だたる冒険者たちよ。お初にお目に掛かる。我はイアン・サッコゥ、剣を司る。こちらは槍を司るハロルド・ネースビィ、そして弓を司るエスター・シトールと言う。我ら三騎、世では『龍騎聖』(ドラグーン)と呼ばれている」
お見知り置き願いたい──そう言うと、三人とも軽く会釈した。
「我らが参ったのは、まさに今そちらの夢見姫殿が懸念したことを防ぐためにある。喜んで、力を貸すといたそう」
「相手が何方であるか、龍騎聖の方々は見当が付いておいでなのでしょうか?」
「多少はな、夢見姫殿。恐らくは、ドレッド・マスターを名乗る三騎、即ち『黒の魔王』、『黒の恐騎』、『黒の聖女』の三君がこの件に参画しているのは間違いない。我らは、“天の聖域”たる巫女のお告げによりそう聞いた」
「しかるに、ボクまでここに来れちゃっている事実から考えると、相手方のバックに付いているのは、それだけじゃないな」
何時の間にやら、先程唐突に宰相執務室に現れた風来坊が戸口に立っていた。
「貴公は?」
流石に龍騎聖と名乗るだけに、剣のサッコウは闖入者に冷静に応じた。
「ボク? あぁ、ボクはムーチョ・ゲメラ・・・じゃなかった、放浪の戦士シレイナスことサリアン・リパニアンさ。以降お見知りおきを頼むゼ」




