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遙かなる望郷の地へ-20◆「大宰相2」

■ジョフ大公国/宮殿/宰相の部屋


「宜しいでしょう。では、まず軍備の件から説明をしましょう」


 グランの言葉に頷くと、カイファートは徐に説明を始めた。ジョフ大公国の戦力は国が陥落した際にほぼ瓦解し、僅かな残存戦力がコーランド王朝グランマルク騎士団領に落ち延びていた。カイファートは、グランの指示を念頭に、この残存部隊を中核として三軍(中央軍、遊撃軍、飛翔軍)の編成に着手していた。


「最も重要なのは、辺境の警戒に当たる遊撃軍です。軽騎兵主体のこの部隊の整備が一番進んでおります。現在四個連隊が設立され、定数にはまだ程遠いのですが、それぞれ300-400騎の戦力を有しております」


 カイファートの説明だと、北部、西部、南部にそれぞれ一個連隊を投入済みで、四個目の連隊は首都ゴルナ近郊で訓練中、と言うことだった。


「次に、中核戦力となる中央軍ですが──兵員と装備の面で戦力充実が難航しております。定数100を考えている親衛騎士団(LAG)は僅か17騎。正面戦力の装甲騎兵部隊が120騎。装甲歩兵部隊も350名に留まっております」


 戦乱の中で、ジョフの人口の半分以上が失われていた。戦力を増やそうにも、絶対人口が余りに少な過ぎるのだった。


「既に、移民の受け入れを奨励しております。また、我が国の軍に志願する場合、幾つかの条件を満たせば、市民権を与えることも実施ずみです。それでも、人数は這うようにしか増えませんな」


 軽く溜息を付くと。


「現在、コーランド王朝の好意で、重騎兵一個連隊、重歩兵一個連隊、軽歩兵二個連隊を貸与して貰っております。実質的に、我が国の首都を護っているのは、これらの外国の戦力です」


 僅かに顔を顰めると、一つ咳払いをする。


「それでも、通常戦力は時間を掛ければ充足していくでしょう。しかしながら、大戦士殿が要望された中核中の中核、親衛騎士団に推挙する人材が圧倒的に不足しておりますぞ。我が国の精髄たるこの戦力、他国人を入れる訳にも参りますまい。さすれば、と国内を見回しても──既に親衛騎士となっている17騎以外に、今のところ候補がおりません」


 更に一つ、とカイファートは言葉を続けた。


「更に、新たな軍として飛翔部隊の創設を進めております。早期警戒の向上と、迅速に問題発生点に部隊を投入する為に、是非とも必要だと考えました。これは、主としてグリフォンかペガサスを駆る騎士による部隊となりますが──現在、3騎しかおりません」


 そこまで話すと、カイファートは一瞬レアランに視線を振った。


「そして、その3名の騎士の中に、大公女殿下も含まれております」

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