遙かなる望郷の地へ-21◆「富国強兵」
■ジョフ大公国/宮殿/宰相の部屋
グランは真剣な眼差しで宰相の話に聞き入った。状況が厳しいのは至極当然で、グランも予想していた通りであった。宰相が話を一時の中断したところで幾つかの言葉を挟むことにした。
「卿以外にこれほどの事は出来まい。 苦労はかけるが引き続き頼む」
一呼吸おいた後、グランは厳しい表情で続けた。
「先ず、遊撃軍に対しては予備兵力が欲しい。贅沢なのは百も承知だがだが此処はやはり数が勝負だろう」
“・・・我ながら無理を言う・・・”
「次に中央軍、装備や物資に関しては微々たる物だが俺の私財も自由に使ってかまわない、運搬に関しては金さえ出せば我が親父殿が如何様にでもしてくれるはずだ」
グランにしては珍しく言葉を多用する。
「いま、中央軍に対し、特にLAGに対しては敢えて頭数を気にすることは避けたい。今ある人材は将来の幹部候補になるべく人材である。然るべき訓練の後、受け皿が出来てから部隊を充実させることも出来るだろう。まぁ、人を増やし国を富ませ軍を強化する、言うのは簡単だ。それと敢えて言えば《親衛旗》とは言え何も地位や名誉に拠るものでなく、広く一般部隊より能力に見合った者を登用したい。古くから地位や名誉が第一と思う人間には煙たいかもしれないが俺自身、平民出身のよそ者だしな」
此処で流石にグランも溜息をついてた。改めて気を取り直すと言葉を続けた。
「早期警戒の重要度は判る・・・がレアラン姫を含めるのは如何なものか・・・。当然、俺の、いや私の考えている心配なぞ卿に判らぬ筈も無いから言う必要も無いのであろうが・・・」
言葉を濁さざるを得ない自分が、グランは苦しかった。せめて自分が随行できるなら心配も少しは薄まったであろうが、姫を兵として扱うのは流石に強い抵抗を覚えた。
「俺もドラゴンにでも乗って空を翔られたらなぁ・・・おっと、いまのは非公式な発言だ」




