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卒業前に

お待たせしました。m(_ _)m

卒業式当日。

オレは、何時も通りに家を出た。

親父も式に出たがっていたんだが、昨夜遅くに事件が舞い込んできて出れなくなった。

「悪いな、護。せっかくの晴れ舞台なのに」

とても、残念そうに言ってきたのが、印象的だった。

「いいよ。どうせ、そうなる様な気がしていたから。優基の所が来てるから、写真は一緒に撮って貰うからさ」

オレは、そう言って親父を安心させたかったんだ。

今までの行事だって、余り参加できてない親父がオレの門出に祝いたい気持ちもわかってるから……。

その気持ちだけで充分だった。


今日は、何時もの待ち合わせ場所には彼女の姿はない。

彼女は、忙しい一日になるだろう。

オレは、待ち合わせの場所である場所を一人通り過ぎて行く。 

彼女の存在を知ったのは、去年の文化祭。

親友の優基に色々聞きまわったのにも関わらず、中々見つからなかった。

そして、秋。

部活も終わり、片付けをしてたところに視線を感じてその方に目をやれば彼女が教室からこっちを見ていたんだよな。

やっと見つけたと思い、オレは急いで着替えをすませその教室に急いだ。

ドアの前で息を整えて開けると、彼女と鉢合わせて慌てて帰っていく後ろ姿を見てるしか出来なかった。

翌日、告白して彼女と付き合うようになって、親友の妹だって知ったときは驚きを隠せなかった。

あんなに近くに接点があったのに、彼女にたどりつけなかったんだからな。 

親友にしてやられた感じがした。まあ、それがあったお陰(?)っていたらあれだけど、彼女の事ばかり考えてしまってるオレが居るんだよな。

彼女との関係が壊れそうになった時、試練を与えられた時、周りがフォローしてくれてた。

それもとてもありがたかった。

そして、今があるんだって思える。


校門を潜ると。

「おはようございます。先輩方は、コサージュを着けて出席してください」

との声が、あっちこっちで聞こえてくる。

オレは生徒で入り乱れているなかをゆっくりと進み、詩織を見つけた。

どうせ着けてもらうなら、彼女の方がいいだろ。

「おはよう、詩織」

彼女に声をかければ。

「おはようございます、護先輩。おめでとうございます。このコサージュ、着けさせてください」

何時も使わない敬語で言う詩織を怪訝に思い。

「どうしたんだ?やけに他人行儀じゃん」

オレの言葉に詩織は、手を動かしながら視線を他に向けている。

オレは、それを追った。

「ちひろさん達が見てるから……」

小声で言う詩織。

気にしなくてもいいと思うんだが……。

「そっか……」

オレは、詩織しか見てないんだから。

「おめでとうございます」

詩織が、オレから離れてそう言った。

「ありがとう」

オレは、笑顔でそう答えた。


「今日の帰り、待っててね」

詩織が、可愛らしくおねだりしてきた。

まぁ、最初からそのつもりだったし……。

「わかってる。優基達も一緒だろ」

オレは、詩織の耳元で言う。

「うん」

「代表挨拶、とちるなよ」

オレは、詩織の目を見て言う。

少し、恥ずかしそうな顔をして。

「うん、頑張る」

何て言うから。

「余り、頑張るな」

オレは、詩織の頭をポンポンと軽く叩いた。



傍を離れがたがったが、詩織の仕事の邪魔はできない。

オレは、昇降口に向かって歩き出した。

そこには、詩織が言ったようにちひろ達が居て、オレの腕にちひろが纏まり着いてくる。

詩織が見たら嫌がることをちひろ(こいつ)は、やってくる。

オレ的には、何とも思ってない奴に絡まれたって鬱陶しいだけ何だが。

オレは、腕に巻き付くちひろの手を振り払った。

「玉城君……」

ちひろがオレの行動に戸惑ってる。

当たり前だろうな。

「いい加減にしてくれないか。オレは、ちひろの事何とも思ってない。強いて言うならただのクラスメイトだ。それ以外何もない」

オレは、それだけ言い捨てて教室に向かった。






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