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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第4話 最初の作戦

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30 軍資金

 それで元部下を探せるかどうかはわからない。

 でも、何もしないよりは、よっぽどましだろう。


 それに衣緖菜には、近未来予知魔法がある。

 たとえ悪意をもった連絡が来ても、返答していいかは判断可能だ。

 なかなかいい案だと思って、そして気がついた。


「ひょっとして、スマホが必要というのは、このためだったのか?」


「主な理由は、近未来予知魔法で、あった方がいいものとして出て来たから。SNSに書くというのは、スマホをどう使うか考えて思いついた。近未来予知魔法では、応答は見えていない。それでも作って陽翔に報告することには、意味があるように感じた」


 近未来予知魔法で見える未来の範囲は、一定ではない。

 この魔法は、最も可能性が高い未来を見る魔法だ。

 だから状況が刻一刻と変化しているような場合は、1時間程度先のことだって見えない。


 それでも、見る対象と、見える範囲を絞れば、近未来予知魔法は、判断材料として有用だ。

 衣緖菜がよく使うのは、『ある選択をしたことについて、その選択をしなかった場合に比べて、将来の自分が良かったと評価出来る可能性が高いか』という形。

 これなら、将来の自分が存在する限り、『良かったと思う』『悪かったと思う』『何も感じない』『わからない』というのが見えるからだ。


 衣緖菜が言った『意味がある』というのは、そうやって限定して、近未来予知を使った結果だろう。

 しかし、『応答は見えていない』けれど、『作って俺に報告する』ことには意味があるというのは、どう捉えるべきだろう。

 今の衣緖菜が作ったSNSを見たことによって、俺が何か行動する必要があるのだろうか。


 わからないけれど、今は、少しでも思いついたことをやっておこう。

 もちろん、問題が起きないだろう範囲で。


「わかった。俺も、あとで同じSNSに登録するから、そうしたら連絡できるように、友達登録をしよう」


 俺が今、思いつくのは、このくらいだ。

 このスマホは、電話番号がないので、そのままでは、いざという時に衣緖菜と連絡が取れない。

 今は一緒にいるけれど、俺は月曜から、学校に通う。

 だから、連絡方法として、SNSを使えるようにしておくのは、間違いなく正しい。


 それに衣緖菜だって、独自に、あちこちに出かけたりするかもしれない。

 衣緖菜には、俺の記憶と知識があるし、便利な魔法だって持っている。

 だから、それなりに、自由に行動しても問題はない。


 あ、でも、軍資金を夕食後に渡しておこう。

 競輪で儲けた金は、今は俺が持っている。

 けれど、これは本来、衣緖菜の魔法で儲けた、衣緖菜のお金だ。

 だから、本当は、衣緖菜が持っているのが正しい。


「あと、今日儲けたお金も、あとで渡しておくから、衣緖菜が持っていてくれ。俺は、魔法収納みたいな便利なものを持っていないから、落とす可能性がある。それに、学校で持ち物検査なんてされたら、大変だから」


 こう言っておかないと、衣緖菜が受け取らない可能性がある。

 食事を買うときにも、『2人の分』と言っていたし。

 俺としては、衣緖菜のお金のつもりなのだけれど。


「わかった。でも陽翔も、ある程度持っていて。これは2人のお金だから」


「ああ。学校で見られても、不自然ではない程度に入れておくよ」

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