↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第3話 連れて帰って

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/127

14 優先事項

 彼女が2杯目のオレンジジュースを飲み終わった後、

 俺は片付けつつ、彼女に尋ねる。


「あと他にしておきたいことはあるか。風呂とかトイレとか」


『ありがとう。なら身体を拭きたい。汚水を流せるところがあれば案内してほしい』


 身体を拭くというのは、「風呂」という単語の知識がなかったからだろう。

 ただ「汚水」というところで引っかかったので、念のため俺の頭の中にある彼女の記憶を確認する。


 この「汚水を流す」というのは、トイレの代用的なもののようだ。

 彼女の任務は動かず潜んでいることが多く、トイレ等に行けないことも多い。

 だから、出るはずのものを魔法で収納して、出せる場所で全部出して捨てるという方法を取っているようだ。


 なら、トイレを先に案内して、それから風呂に案内すればいいか。

 でも、こういった細かい知識の相違は、気を抜くと面倒事を起こしてしまいそうだ。

 と、そこまで思った時だ。


『でもその前に、まずはお願い。私は兵士として、国や軍に逆らえないよう思考に枷がかかっている。これは自分では外せない。脱出する時に部下に一部を壊してもらったけれど、完全には壊せなかった』


 その流れは記憶を読んで知っている。

 だから俺は頷きつつ、彼女の説明の続きを待つ。


『枷そのものの構造は簡単。「■■■■■■■と■■■こそが己の拠りどころであり、絶対である」という原則を、絶対的な命令として思考に書き込み、これに反する行動を取りにくくしている。

 この拠りどころの対象を部下に消してもらったから、今の私は国や軍の呪縛に囚われない。

 しかし、あくまでこれは簡易的かつ応急的な措置。国や軍の名前を思い出した時点で、また枷に囚われることになる』


 この説明も理解できる。

 だから俺は頷く。


『再び枷に囚われるのを防ぐには、現在は思い出せない拠りどころの対象を書き換えてしまえばいい。そうすれば、国や軍の名称を思い出しても、もはや囚われることはない』


 なるほど。


『だからお願い。私の拠りどころとなってほしい。具体的には、私に名前をつけて、そのうえで枷である「■■■■■■■と■■■こそが己の拠りどころであり、絶対である」の文言の拠りどころの対象に、あなた自身の名前を入れて、私の前で宣言してほしい。宣言方法は、私の記憶知識に入っている』


 思い出してみる。

 確かにあった。

 この宣言に付随する知識も、一気に思い出す。


 名前は元の名前と同じ番号でも、新たにつけた名前でも、「■■■■■■■」の言葉でも日本語でも構わないとか。

 拠りどころとする対象は、宣言する人間自身か、宣言する人間が所属していてこの場で代表できる組織である必要があるとか。


 この宣言をして、宣言の枷が確実に効いた状態になれば、俺の言葉でこの枷そのものを解除できるとか。

 俺が拠りどころとして宣言しないと伏せ字部分、つまり国や軍の名前を思い出した時点で、元の枷に囚われることになるだろうとか。

 確かに、早めに宣言して彼女を元の組織と無関係にしておいた方がいいようだ。


 もちろんこの宣言で、彼女が俺に従属する立場になってしまうというリスクはある。

 ただ、実際にそう扱うつもりはないし、命令形で何か言わなければ問題はなさそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。