131 後半の合宿開始
GW前半とGW後半の間は、今年は30日火曜日、1日水曜日、2日木曜日の3日間しかない。
更に言うと2日木曜日の放課後に、あの島の合宿場へ行く予定。
ただ授業があると、眠くなるまで魔力を使う訓練がやりにくい。
場合が場合だし、授業を休んで訓練しようと思っていたのだ。
しかし残念ながら、ケイトさんだけでなく、衣緖菜や花音さんからも釘を刺されてしまった。
『保護者として連絡しておく。学校の授業や行事はサボるなよ』
「学校はちゃんと通って」
「授業はちゃんと受けてくださいね」
ケイトさんからはメールで、衣緖菜と花音さんからは直接。
だから授業が終わると、部室に行かずに速攻で帰って、窓から見える外の気温を上げ下げして気を失って、目が覚めたら夕食を食べてまた魔力を使い切って、真夜中に目が覚めるので更に魔力を使って。
そんな感じで可能な限り魔力を上げる訓練をした結果、この3日間については、ほとんど覚えていない。
一応予習復習は先週中にやっていたし、授業は真面目に受けたから問題ないとは思うけれど。
食事は衣緖菜が収納していた、惣菜や合宿で作ったおかず等中心。
あと衣緖菜と香里奈は、花音さんたちと2日とも露天風呂に入っていたとのこと。
マンションで倒れている俺については『このくらいの距離ならモニターできるから、安全面に問題はないからそのままにした』とのこと。
まあこれは、参加しなくて済んで気が楽だったけれど。
◇◇◇
そして2日木曜日16時過ぎ。
「それでは、全員で移動します」
愛美さんの言葉で、周囲の風景が一変する。
異世界魔法部の部室から、合宿場の玄関へ。
ただ前回とは、ここからが違った。
「やあ、来たな」
「学校お疲れ様」
「とりあえず、追加整備はしておいたのですよ」
身長高めの女性2名、中くらいの女性1名、小柄な女性2名。
うち身長が2番目に高いのは、おなじみケイトさんだ。
年齢は全員が多分、20代後半くらい。
そしてケイトさん以外の4人は、魔力が洒落になっていない。
特に小柄でふんわりとした感じの女性の魔力が、とんでもない強大さだ。
衣緖菜や花音さんと比べても、圧倒的と言っていい程度。
ただこの魔力、どこかで知っている気がする。
あとやっぱり小柄で細身なもう1人の女性から、異質な魔力を感じる。
衣緖菜や香里奈さん、愛美さんたち、更にはメイとも違う、独特な感じだ。
魔力をコンピューターのプログラムに例えるなら、他の人と違う言語で書かれている感じ。
あとの2人は……と思ったところで。
「少し早いですけれど、ご飯にしましょうか。準備は出来ています。今後のこともありますから、食べながら話しましょう」
これは小柄でふんわりとした、でも魔力が強烈な女性から。
彼女が花梨さんなのだろうか。
誰かに似ているなと思って、そしてすぐ気づいた。
花音さんたち、特に愛美さんとそっくりだ。
年齢差も、あまり感じない。
服装と髪型と化粧で年齢差というか、大人だとわかる程度。
そして魔力に知っているような感じを受けた理由も理解した。
魔力の質も、愛美さんとそっくりなのだ。
ただただ強大だから、そっくりだとすぐには気づけなかったけれど。
さて、それぞれの魔力はともかくとして。
今後の話というのは、きっと敵のことだろう。
そう思ったところで、花音さんが頷く
「お願いします。こちらはまだ完全に状況を把握できていませんから」
「了解。それぞれ自己紹介もあるしな。こっちは全員把握しているけれど、そちらは私か花梨、どちらかしか会ったことはないだろう。誰にも会っていない者も1人いるけれど。
それじゃ、大広間に行こう。今回は豪華な料理だぞ。プロが調理したからな」
「プロといっても、普段は定食屋ですけれど」
これはケイトさんと、中肉中背の女性。
誰にも会っていないというのは、メイのことだろう。
なんて思いながら、大広間へと向かう。
座卓を並べて大テーブル状にしているのは、前回と同じ。
料理が並んでいないけれど、どうせ魔法で収納してすぐに出せる状態なのだろう。
そう思いつつ適当に、今回は端に陣取ったところで、予想通り食事一式が出現する。
「今回の魚は、白アオリイカ、マダコ、マダイ、クロダイ、イサキ、ブリ、アジ、カレイ、コチ、アワビってところ。明美さんが手当たり次第確保したから、かなり雑多な感じです。今日獲ったばかりだから、まだ旨みという点では熟成が足りません。ですが歯ごたえとさっぱりした味わいは、この新鮮さでないと味わえないから、割と貴重だと思います」
基本的には刺身盛り合わせ、天ぷら、サラダ、味噌汁、ごはん。
ただ刺し身の切り方からして、ただ切ったのと違う雰囲気がある。
たとえば生タコの刺身は、半ば透き通るくらい薄く切ってあるし。
あと刺盛と言っても全部生ではなく、皮目を炙っていたり、酢じめになっていたり。
アワビらしい塊は、表面をバターか何かで焼いているけれど、中は生。
「それでは、美味しいうちにいただきましょう。いただきます」
と、小柄でふんわりした感じの、おそらく花梨さんと思われる女性の言葉で、夕食会が始める。




