↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/17

臨時休校二日目

翌日。

起きて朝ご飯食べて着替えて、外に出る。

「う〜ん……はあ。さてと!今日は何しようかな」

今日も休みだから遊びに行きたい。

せっかくだから、足を伸ばしてみるのもいいかも。

電車を使って、隣街とかさらに先の街とか。

そこに行くのもいいかもしれない。


「レミっちおはよー!」

門からピコちゃんが入ってきた。

「おはよ、ピコちゃん」

元気に手を振るピコちゃん。


「で。いつも通りあんたらもついてくると」

「当たり前だろ」

「私がいない時に死ぬと蘇られませんよ」

門を出ると、人間姿のグレッムと疫病神がいた。

「分かってるわよ」


グレッ厶が近づいてきた。

「で。今日はどうするんだ?」

「え……う〜ん、まだ決めてないかな……」

「未定か。それなら都合が良い」

「は……?」

都合が良い?どういうこと?

グレッ厶は口角を上げ、何か企んでいる顔をしてる。

「それ、どういう意味?」

あたしが睨みながら聞く。

「そろそろ、レミィも連れて行きたいと思ってたんだよ―――悪魔の国にな」


「え―――!」

悪魔の国!?

「マジで行くの?あたしを連れて?」

「ああ。俺が住んでる東側の地域の奴らは、人間狩りしてないからな。農家とか大工とか鍛冶屋とか。そういう職種ばっかりだ」

「マジで?じゃあ襲ってはこないと」

「たぶん大丈夫だろ。静かで内向的な奴らばっかりだし」


すると疫病神が目を伏せ、首を傾げた。

「静かで内向的というよりかは。無愛想と言いますか、対応が雑と言いますか……」

「うんうん。あそこのひと達、全然優しくなかったぁ。目が合うとすぐ逸らすし」

「え……マジ……?」

それはそれで嫌かも。


「大丈夫だ大丈夫!ぶっきらぼうで、似た考え方の連中が集まっただけだから」

「そうなの……」

少し心配だけど。

あたしは悪魔の国に行くことにした。


  △  △  △


やって来たのは駅。―――え?駅!?

「まさか。電車で行くって訳じゃないでしょうね」

その質問に、グレッムは首を横に振った。

「悪魔の国は厚い霧に覆われた島国でな。船や飛行機で行くのは無理なんだ」

「へぇ〜。そうなんだ」

「だから転送魔法で飛んで行くしかない。隣町の廃虚に、転送するための印を残しておいた」

いや、お前何やってんの。

勝手に他の国と通ずる扉なんて、造ってんじゃないわよ。


「てことで。今から電車に乗って隣町へ―――」

「見つけたど!」

どこからか、誰かが大きな声で叫んだ。

声のした方を見ると

「うわっ、何あいつ……」

駅の天井まで届くくらい大きな、肉の塊がいた。

肌は薄い水色で、人のような姿をしている。

頭には小さな角が生えていて、一応ズボンを履いてる。

周りの人達は距離を置いて、驚愕の表情で奴を見てる。


そんな周りを気にも留めず、奴が近づいて来る。

なんか薄い金色の雲みたいな物に座って、すーっと平行移動してきた。

なにそれ、觔斗雲?

あたし達から、3mくらい離れたところで止まった。

「金髪のチンチクリン、裏切り者グレッム、ガリガリ疫病神と―――誰?」

一人一人、指差しながら確認した。

てか、あたしのこと金髪のチンチクリンだって!?

「てめぇ、何なんだよ!いきなり現れたと思ったら、人のことチンチクリンだとか言いやがって!」

ぷっつんきて、吠えまくる。


「お前達が悪魔狩りをしているのは知っている。オデは、王様からチョコレートを受けてきたんだど」

「は?」

チョコレート?

「お前、チョコに釣られて来た訳」

「違う!確かにチョコは大好きだけど、そんな単純じゃないど!」

だったら、どういうことなんだよ。


あたしは後ろにいる三人の様子を伺う。

三人とも、ぽかんとした感じだった。

グレッムと目が合う。すると、首を横に振った。

あたしは奴と向き合う。

「お前、あたし達のこと殺しに来たの?」

「えっと、チョコレートじゃなくて……う〜んと、えっと……ちょくれーと?ちょ、ちょくれ?」

無視すんなよ。

奴は頭を抱え、さっき言った“チョコレート”について考えてる。


「お前、さっきチョコレートを受(・)け(・)た(・)って言ったよな」

後ろからグレッムが入ってきた。

「ああ、そうだど」

「もしかしてお前、勅命って言いたかったんじゃないのか?」

「ああー!!」

奴はどデカい声を出して、グレッムを指差した。

「そうだど!それそれ、勅命を受けたんだど!」

奴は何度も頷いた。


「ちょくめい……?」

「王の直接の命令ってことだ。なるほど、サタンも動き出したわけか」

グレッムは不適な笑みを浮かべて頷いた。

「面白くなってきましたねぇ……」

疫病神もクククと小さく笑う。

いや、何笑ってんの。全然面白くないんだけど。


「オデの名前はトンドル。貴様らを殺しに来たんだど!」

頼んでもないのに、自己紹介してきた。

「トンドル……あーはいはい。いたね〜そんな奴。西側で一番の大食らいの」

グレッ厶の言葉を聞いて。トンドルはニヤリと笑った。

「そう。オデは西側で一番の大食らいだ。スイカ一玉でも、樽いっぱいの酒でも。口に入る物なら、何でも一口で丸飲みできるんだど!」

「ははぁ、それはすごいなぁ」

グレッ厶は、全然感情の籠もってない言葉を返した。

トンドルは気づいてないのか、さらに口角を上げる。

これ、本気で喜んでるなー。バカだなー。


「ケケケ……オデの恐ろしさが分かったか……?さあ、覚悟するんだど!今からお前らを皆殺しに―――」

「喋ってる暇があったら攻撃しろよ」

グレッ厶はトンドルの額目がけて、何かを投げた。

「いだあああ!!」

どうやら直撃したみたい。

額を押さえて、絶叫した。

「何投げたの」

「小石だよ。ここで発砲する訳にはいかんだろ」

確かに。ここで拳銃なんて使ったらパニックになる。

「いつの間に拾ってたのよ、小石なんて」

「ポケットに常備してたんだよ」


「貴様らぁぁぁ!!」

トンドルが痛みを堪えて、こちらを睨みつけてきた。

小石が当たったところは赤くなってた。

目に涙を浮かべて、全身から汗を流してる。

そんなに痛かったのかな。

「不意打ちなんて卑怯だど!」

「うるせぇーうるせぇー。勝つためなら手段を選ばないのが、悪魔なんだよ」

そう言うと、グレッ厶はニタリと笑った。

「な……。さてはグレッ厶貴様!」

トンドルは勢いよく、グレッ厶を指差した。


「性格が悪いな!」


そう言われたグレッ厶は。

ため息をついて、目を伏せた。

「何だ!文句があるなら言え!」

「そうか?んじゃ遠慮なく―――」

グレッ厶はトンドルに近づいて行く。

「な、何だ……!」

「グレッ厶!?何で近づいて―――!?」

「まあ見てろって」

トンドルのすぐ目の前まで寄っていった。

もう、息が吹きかかってるんじゃないかってくらい。

トンドルの顔を見上げて喋り出した。


「俺達はこれから殺し合うんだぜ?殺すってのはなぁ、相手の命を、人生を、幸せを奪うことなんだ。なあ、トンドル―――」

グレッ厶が今、どんな顔してるかは分からない。

分かっていることは一つ。

向き合うトンドルが、体をぶるぶる震わせてることだけ。

「お前本当に、その覚悟があって俺らに向かって来たのか?奪う側なら当然、奪われることも覚悟して来たんだよなぁ?」

「ひっ―――」

トンドルは顔を青白くして、固まってる。

顔から滝のような汗を流して、歯をガタガタ震わせてる。

……めちゃくちゃ怖がってんじゃん。

ちょっと可哀想になってきた。


「ねぇグレッ厶。もう十分だとおも―――」

「おい。どうした?こんなにも敵が近づいて来た―――これ以上ない攻撃のチャンスだろ。かかって来ないのか?だったら俺から―――」

あたしの制止も聞かず、グレッ厶はさらに迫る。

「ひ、ひ、ひぃぃぃぃ……!」

トンドルは情けない声を出しながら。

觔斗雲をぶっ飛ばして去って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。