↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦ぎの淡い影 ― 平安戦御体戦記  作者: ひろくま
影狼 (かげろう)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

373/424

5-06 影狼ノ章 六

・・・・瑞奈様のとんでもない秘密を知ってしまった。


蓮華は淡影の屋敷の縁側で庭を眺めながら、膝の上の狐白丸を撫でていた。

ずっと一緒に旅をしてきて、いつも同じ部屋で寝ていた。

全然気が付かなかった。

同じ部屋で寝て、同じように着替えていたのに・・・・。


「それに、あの時も・・・・」


鷹根峠で瑞奈様は何も纏わずに石の中に閉じ込められていて・・・・。

すぐに狐白丸が布で体を隠したとはいえ・・・・。


・・・・気が付かなかった。


そのあとの・・・・。


「蓮華殿の”初めて”をひとつだけわたしのものにしようと思います。そうすれば、蓮華殿の中にいつまでもわたしが残るから・・・・」


そう言って、瑞奈様はわたしに・・・・。




く、唇を・・・・。




・・・・顔が、熱い。



あれは、殿方として・・・・かしら・・・・・・。それとも、女として・・・・?



ど、どうしたらいいの!?よけいに瑞奈様の顔が見れなくなってしまう・・・・。



わたしだって・・・・瑞奈様のこと・・・・・・。




「あーっ!!わかんなぁいっ!!」




「ど、どうした!?急に叫んで!?」

「淡影様っ!?」

いつの間にか、近くに淡影が立っていた。

「どうして淡影様がここにっ!?」

「い、いちおう、おれの屋敷だから・・・・。皆、勝手に住み着いてしまっているけど」

「そ、それもそうです!じゃなくて、いつからそこに!?」

「いや、つい今だけど・・・・」

「・・・・・・」


・・・・はぁ。


大きなため息をつく。


「・・・・淡影様、わたしのこと、どう思っています?」


「急に、どうした?」


「いいから、答えてください」


「うぅん・・・・」

淡影は眉間にしわを寄せて考え込んだ。


「大切な仲間だ」



「・・・・そうでしょうね」

蓮華はつまらなさそうにそっぽを向く。


「だが、仲間の中でも、蓮華は特別なんだ」

「・・・・どういう?」

さして期待もしていない。

「蓮華は・・・・そうだな、おれが帰ってきたときにいつもいて欲しい」

「・・・・どういう意味ですか?」

「蓮華の顔を見ると、落ち着くんだ。蔵馬にいた頃みたいに、天狗と厳しい修行をして傷だらけになっても、蓮華の顔を見ると帰ってこれたな、って思う。安心するんだ」

「・・・・」

「だから、おれの帰る場所にはいつもいて欲しいって思っている」

「だからわたしを戦には連れて行かないの?わたしは淡影様と一緒にいたくて修行して強くなったつもりだし、戦御体も使えるようになったのに・・・・」

「蓮華には戦いなんてしてほしくない。強くなるのはいい。自分を守れるからな。だけど、泥まみれ、血まみれになって、それでも這い回って人を殺し合うような場所に、蓮華を連れて行きたくはないんだ」

「・・・・それは、わたしだけなの?」

「そうだ。他の誰よりも、蓮華にはそう思っている」

「淡影様。わたし・・・・」

「まあ、妾(めかけ)じゃがな」

「わたし、わたしね・・・・淡影様のこと・・・・ずっと・・・・」

「蓮華・・・・」

「まあ、おれのようにいつもひとつというわけにいかんからのう」


「淡影様のこと、どうしてそんなに無神経なのか本当にわからないの。ずっと悩んでる」


「?」


「どうしてそういう話をするときに、ミカナを連れてくるの!?」

「え?駄目か?」

「あたりまえでしょっ!!」

ミカナが淡影の袖をつまんでこちらをじっと見ている。

「おれがおらんと、淡影はそこかしこの女に色目を使うでの!」

「・・・・ひどいことを言うよな、ミカナ」

否定できない蓮華。

「無意識の悪意が一番たちが悪いのじゃ」


「でも、なあ・・・・。そもそもこういう話をするつもりじゃなかったし・・・・」

「なら、しないでください!!」

「あ、でも、おれ・・・・戦に出ることになった」


「・・・・はぁ!?なぜそれを先に言わないのですか!?」

「いや、言おうとしたら蓮華が・・・・」

「どこに!?誰と!?」


「・・・・蓮華は天狗から聞いていると思うけど・・・・木曽の宗影殿のこと」


「・・・・まさか、宗影様と・・・・?」


「そうだ。木曽宗影の討伐・・・・おれの兄上、霞宗矢だ」


「どうして!?そんな・・・・」


「戦いたくない気持ちと、戦って兄上を越えたいという気持ちが半分づつある。だから、蓮華に話をしようと思って」

「そんなこと・・・・わたしは、わかりません。でも、淡影様にも、宗影様にも、死んでほしくない・・・・」


「・・・・そうか。ありがとう、蓮華。それでいいんだ。決心がついた」


淡影は蓮華の肩に手を置くと、その場を去っていった。


「・・・・え?それだけ?」


「蓮華よ、お互い、苦労するのう。惚れた相手が悪いのじゃ」

ミカナはそう言ってうんうんと頷くと、淡影を追って去って行った。




なによ、それ!


・・・・帰る場所!?




わたしは、ただ待っていろってこと?



狐白丸が膝の上でひとつ大きな欠伸をした。


「まったくあいつはっ!なんにもわかってくれないんだからっ!!」

ぐっ!と思わず狐白丸の尻尾を掴んだ。


「ぎゃんっ!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。