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元義妹の親友と映画を見る。けっこう楽しむ。

ウィンドウショッピングでしこたま歩き回って、足が棒のようだ。結局気に入ったバッグがなかったようで、午後からまた別のところへ探しにいくと言われて気が遠くなった。



休む暇もなく映画館へ。けっこう混んでいたが、割と早めのチケットがとれた。まだ入場が始まっていないので椅子に腰掛けて、予告映像を眺めながらぼ~っと一段落つく。


「そうだ。俺飲み物買うけどまり・・・・・・セカンド・リトル・シスターは?」


 入場開始が始まりそうになってから提案すると、まりあちゃんは値踏みするようなじっとりとした様子で、


「言っておきますけど点数はプラス形式じゃないッスから」

「そんなん期待してないから」


 俺が年上だし、バイト代もそこそこある。飲み物とポップコーンは高めだけど、雰囲気に合っているしいいだろうって気分になっているし、俺だけ買うのに相手が買わないっていうのは・・・・・・ねぇ?


「そッスか。じゃあポップコーンキャラメルと塩味を一つずつで」

「もしかして両方食べるの!?」

「もちろんス。しょっぱいものを食べたあとに甘いものを食べると∞に食べ続けられるっス」

「お腹壊すよ?」

「なに言ってるんスか。カロリーゼロ理論知らないんスか? 甘いものとしょっぱいものを食べるとそれぞれのカロリーがぶつかりあって相殺するんでゼロになるって画期的な――」

「懐かしいなおい。その理論提唱した人は栄養士にお叱りの手紙をもらったくらいだし最近はお風呂に入っただけで鼻血が出てるそうだから成立してない理論だよ」

「ええ~~? じゃあハーフサイズにするっス」


 まぁそれくらいだったら。なんだったら俺も食べたかったし、ちょうどいいサイズだろう。


「あとはホットドッグとチュリトスとホットサンドとチキンナゲットとアイスとクレープとウーロン茶で」

「本当にお腹壊すよ!?」


 しかもなに飲み物だけは気を遣ってるんだ。


「ケチケチした男は嫌われるッスよ?」

「ケチじゃない! 心配してるだけ! 君が食べられなくなっても俺食べきれないよ!?」

「れみにも毎回そう言われてるっス」

「常習犯じゃないか! へへ、みたいに照れても褒めてないから!」

「だって買い物してたら疲れたんスもん。れみは文句言いながらも食べてくれるッスよ?」

「少しは罪悪感を持て! なんでちょっと誇らしげ!? それと俺はれみじゃないし!」

「あ、ついでにポテトもケチャップソースで」

「ここでカロリーの塊まで追加する度胸はなに!? どこからそのチャレンジ精神出てくんの!?」

「若いウチはなんでも試して行動に移せってのがアタシのモットーなんで」

「だからってそんな一度に食べたら太るよ!?」

「減点十点。乙女心を傷つけたッス」

「ぎゃあああああ! しまったああああ!」


 俺としたことが。調子にのって女性にとっての禁句を言ってしまった。


 前に健が皆の前で、「太りました?」って先輩に指摘して全女子に総スカン喰らったのを目撃していたのに!


「グダグタしてたら映画始まっちまいますよ。ほら、さっさと買ってくださいっス」


 うう、これ以上喋ると減点地獄に陥りそうだから従うしかない。


「あ」

「いらっしゃいませ。メニューはお決まりでしょう・・・・・・か?」


 売店の店員さんとまりあちゃんは、二人して硬直している。店員はキッ! と睨みつけながらこわい表情で、ありったけの憎悪と嫌悪感をぶつけんとしているかのようだ。


 店員さんを観察していると、以前駅で揉めていた女の子だって気づいた。


「君は?」


 あのときは気づかなかったけど、まりあちゃんやれみと同年代くらいの子だけど、どこか荒んでいる。髪の家は茶色だけど、張りと艶がなくてパサついていて頬がやつれ痩けて肌が多少汚い。制服で大人っぽく見えるけどちぐはぐとしたミスマッチ感が否めない。


 なんとなくヤンキーっぽさと生活の余裕のなさが同居している。そんな印象の女の子だ。


 まりあちゃんだけじゃなくって俺にまで睨みをきかせられて黙りこんでしまった。


「あ、あははは。さぁ~せん。お兄さん、やっぱりいいっス」

「でも――」

「いいスから。ほら」


 ぐいと脇の下に腕を突っ込んで、そのまま絡ませながらぐいぐい引っ張っていく。体が密着しているが、ドキッとする余裕もないくらいまりあちゃんは力の強さで引っ張っていく。


 なんとなく売店のほうを振り返ると、店員の子は次のお客さんの相手をしているけど、俺達のほうに視線を送ってきてゾクッと身震いがした。


「あ、電源切らないといけないっスね。トイレいっときます?」


 それからまりあちゃんは一転して映画が始まるまで話し続けた。映画に出ている監督とか前作とか俳優、女優の魅力。俺への嫌悪感バリバリに剥きだしていた名残なんてなく、コロコロと笑いながらだ。


 よっぽど楽しみにしていたんだろうって、普通はおもうだろう。けどさっきの子とのやりとりがあったからか、俺はなにかを隠そうとしているようにしか見えない。


 時折まりあちゃんをチラ見してしまった。大画面に顔は向いているのに心ここにあらず、という印象は、俺の先入観のせいだろうか。


 とにかく、映画は面白かったけど、中々集中ができなかった。


 



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