ルナリエのお弁当
ミラー山の台地の上を進む俺とルナリエ。
白い花たちが咲き乱れる草原を涼やかな風が撫でていた。
小高い丘に登ると、その向こうに大きな湖が見えた。
「ルナリエ、見えてきたぞ。あれが【ミラー湖】だ」
「へえ、すごいわ。山の上に湖があるのね」
湧き水が集まってできたミラー湖は、青空の色を映して輝いていた。
そしてその向こうには、家が集まって村が出来ている。俺はそちらを指さして言った。
「あの湖の向こうにあるのが【メディナ村】だ。あそこを拠点にすれば、ゲイルワイバーンの周回プレイもやりやすいはずさ」
「うわぁ結構大きな村ね。山の上なのに不思議だわ」
「ははは、この山は色々な薬草が取れるからね。それを売って生活してるんだってさ」
村のまわりに見える白いものは、村人たちの飼っている家畜だろう。
なんというかのどかな場所だな。
ルナリエが荷物をおろして俺に言った。
「ねえナガト。ここは景色もいいし、そろそろこの辺でお昼にするのはどう?」
「ああ、そろそろいい時間だな。じゃあそうするか」
俺たちは近くにあった倒木の上に並んで座る。
ルナリエが荷物のなかからバスケットを取り出した。
「うふふっ、今日はお弁当を作ってきたの。いっしょに食べましょ」
「そうなのか。悪いなぁ気を使わせちゃって」
「いいのよ。ほら、じゃーん!」
バスケットには色とりどりの具材をはさんだ、サンドイッチが詰められていた。
おっと……これはうまそうだな。
彼女はその一つを手に取って言った。
「はい、じゃあナガト。あーんしてね」
「え? いいのか。なんだか恥ずかしいな」
「大丈夫よ。ここなら誰も見ていないから」
「そうか。じゃあいただくとするか」
俺は口を開けてサンドイッチをほうばった。
はむ……おお。これはうまいな……
野菜は新鮮だし、ソースの味付けもよく合っている。
これをルナリエが作ったのか……彼女の料理の腕前は相当なものらしい。
彼女は上目づかいで俺を見ながら聞いてきた。
「ねえ、どうかしらナガト。おいしい?」
「ああ。これはうまいな! びっくりしたよ」
「本当!? よかったわ」
顔を赤らめて照れるルナリエ。
しかし、こうやって明るいところで近くで見ると……本当にルナリエはとびぬけた美少女だと改めて思ってしまう。
街を歩けば男は皆、振り返るだろう。
それでいてここまで料理が上手だというのだから、まったく恐ろしいことである。
「じゃあ私もそろそろ食べようかな。ねえナガト、私にもさっきみたいにやってくれる?」
「え、あれを? いやしかし……」
「私もやったんだから、別に変なことないわ。ね?」
「ああ。確かに、そうだな」
俺はバスケットからサンドイッチを手に取りルナリエに言った。
「ほらルナリエ、あーんしてくれ」
「うふふっ……はぁい」
俺はルナリエの口にサンドイッチを運ぶ。
彼女はそれを嬉しそうにほうばった。
「むぐ……うん。おいしい……あっナガト。指にソースがついてるわ」
「おっと本当だ」
「いま取ってあげるね。ほら指をだして?」
「ああ。これでいい?」
ルナリエはソースのついた俺の指を口に含んで舐めた。
指を舐める水音が小さく響く。
「んっ……ちゅぱ……。はむ……」
俺の指先をルナリエはいとおしそうに舐めていた。
指先にあたたかい感覚。彼女の柔らかな唇におもわず体がびくんと反応してしまう。
「ぷはぁ……ごちそうさま。ナガト、おいしかったわ」
「あ、ああ。どういたしまして」
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