討伐報酬
ルナリエを連れてギルドに入った俺は妙な違和感を覚えた。
なにやら周りからすごく視線を感じるのだ。
特に冒険者の男たちは、なぜだろうか……嫉妬に満ちた表情で俺をにらんでいた。
「な、なんだあのとんでもない美少女は!?」
「隣にいる奴、例の劣等民じゃないか? な、なんであいつが、あんな可愛い子と一緒にいるんだよ!?」
彼らはいったいどうしたのだろうか。
やれやれ……まじめに仕事をしてほしいものだが。
「ねえ、ナガト? お願いがあるのだけど……手、繋いでてもいいかしら」
ルナリエが顔を赤くしながら俺に言った。
「え、どうして?」
「そりゃあ、逃がさないため……じゃなくて。ま、迷わないためよ。こっちのギルドに来るのは久しぶりなの」
「ルナリエも冒険者なのにギルドに来るのが久しぶりなの? 変わっているなあ。まあ、かまわないよ。ほら?」
「わぁい、やったあ!」
そう言うと、差し出した俺の腕にルナリエが抱き着いてきた。
ルナリエのまとう深紅の鎧は、胸元が露出したデザインになっており、そこから顔をのぞかせる二つの柔らかなものが俺の腕に押し付けられるのだった。
それは大きく、そしてとてもやわらかかった。
その暴力的なまでの魅力の前では、少しでも俺が気を抜けば、たちまち正気を保つことは難しいだろう。
「おいおい、ルナリエ。そんなにくっつかれたら歩きづらいだろ?」
「んもう、いいじゃない。もう少しこうしていたいわ」
「やれやれ、しょうがないなあ……」
俺がルナリエの銀色の髪を優しく撫でてやっていると、ギルドの奥から聞きなれた声が聞こえてきた。
長い金髪を揺らしながらやってきたのは受付嬢のシェリルだ。
メイド服のようなギルドの制服がよく似合っている。
「ナガト、もう帰ってたのね! ずいぶん早いじゃない、流石だわ!」
「ああ、シェリルか。例の緊急依頼の件なら終わったよ。ほら、これが倒したブラッドフェンリルの毛皮さ」
「す、すごい……! こんなに状態のいい毛皮はなかなか見られないわよ、これなら最高品質の扱いで買い取れるけど、どうする?」
「ああ、悪いんだけどこれで作りたい防具があってね。今回は買い取りには出さないかな」
「わかったわ。これならすごい防具ができるわよ……じゃあ討伐の成功報酬だけ持ってくるから。待っててね!」
シェリルがカウンターの裏から、報酬の入った袋を持ってきた。
こぶしくらいの大きさの袋に金貨がぎっしりと詰まっている。
「はい、どうぞ! ナガト、冒険お疲れ様。あなたがこの緊急依頼を受けてくれなかったら、きっと受けてくれる人が誰も見つからなかったわ。本当にありがとう!」
「ははは、これぐらい大したことないさ。また困ったことがあったら俺に言ってくれよ」
「ええ、頼りにしてるわ。ね、ねえ、ナガトはこの後予定はあるの? ……よかったらお祝いに酒場で二人でどうかしら?」
シェリルは顔を赤らめて上目遣いで俺を見ていた。
「ああ、その件なんだが……」
その時だった。
シェリルが何かに気づいたようで、その顔がさっと青ざめた。
「……!? ね、ねえナガト? さっきから気になってたんだけど、その後ろにいる女の子はいったい誰?」
「ああ、紹介するよ。彼女はルナリエ。さっきブラッドフェンリルを探しているときに知り合ったんだ」
「初めまして、シェリルさん。私はルナリエ・フォン・アクトゥス。先ほどはブラッドフェンリルとの戦いで危ないところをナガトさんに助けてもらいました。私、本当に驚きました……一瞬で、四匹の群れを全滅させてしまうなんて。すごくかっこよかったです……」
ルナリエはそう言うと、俺の隣にぴったりと体を密着させるのだった。
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