呼び出し
序盤、あらすじみたいのが続きます、よろしくお願いします
異世界へと連れて来られ七ヶ月目になった。
そこで、これまでの事を振り返ってみる事にする。
俺は、簡単にこれまでの出来事を、文章で記録する事にした。
ある夜、ロゼによってこの世界フォーチュンへと連れて来られた俺は、気が付いたら一人ぼっちにされていた。最初に出会った老人から、この世界が地球でない事を知り、一番近い森林の街を目指すが、途中で襲われていた幼女から、助けを求められる。
幼女を襲ったのは、巨大な山犬でこの世界は怖い魔物が居る事を知った。
その後、街へと向かう途中で、又、オークに襲われピンチに陥るが、アリアネスに救われる。彼女とは、森林の街ゾーイで再会し、彼女は俺の力を解き明かす為に、町に住む賢者に引き合わせた。
賢者に異世界人の力を試されたるが、無事にそれを果たし約束である、元の世界への帰還方法を知る魔女ラケニスに会う為に、アリアネスと賢者の弟子であるハルに連れられ、ネーブルという街を目指す。港町で、遂にロゼとブラッディそしてマリネと逢う、この時に初めて黒衣の者をその目にした。
俺は、海を渡る船中でマリネの姿に感銘を受け、この世界へ残る事を決めるが、一応はネーブルへ渡りそこでラケニスに会った。彼女から聞いた元の世界へ帰る方法とは……、相愛となった相手を自らの手で殺し、血に触れるしか帰る方法は無いと知る。
ラケニスの塔でも新しい仲間が加わり、俺達は総勢八名と成る。
最初の邪龍戦で、真に異世界人の力の解放するには、七名の女性から愛されねばならない事を知り、その戦闘中に七人目の愛を受け、邪龍を圧倒して倒す。
帝国との戦争の危機が起こり、それを回避する為に向かった帝国領内で、再び邪龍戦を経験する。邪龍討伐後、報告に戻るとそこで黒衣の者の罠にはまり、マリネが宰相殺害の犯人にされてしまう。辛うじて決闘裁判に勝利して彼女を解放でき、ついでに帝国皇帝とも謁見することになった。
皇帝から和平の条件に、妹の命を救う事を提案され、俺達はその地へと向かう。彼女を襲っているのが吸血地と知り、それを討伐する事に成るが、意外にも吸血鬼は二人居た。父親の吸血鬼から自分の命と引き換えに、ハーフである娘の命は助けて欲しいと、懇願され承諾した。
皇帝に報告した後、妹が仲間に入るが一人の仲間と別れも待っていた。
イリスはサラトと融合し、その全てを受け継いだ者と成った。
俺達はその後も、一人仲間を喪った。
ロゼの伯母の領内で、ブラッディが暴漢に襲われ命を喪ったのだ。この地では、ロゼは二人の近親者を亡くす事と成る。ロゼの伯母は、自らの願望を叶える為に俺の命を奪おうとして失敗し、死んだ。
悲しい出来事を忘れる為に、新しく仲間になったハーフのラミカの故郷へと向かうが、そこでも事件が待っていた。思念体と成った破壊の女神ニクスを復活させようと、俺達の仇敵が暗躍していたのだ。
ラミカを攫った黒衣を倒す為、俺はラミカの愛を受け取り黒衣を倒し、女神ニクスも解放する事が出来た。
全てが終ったに見えたが、半年後に別の黒衣の集団が現れ、ニクスを連れ去る。黒衣達の潜伏先を知っていると思われる人物、第一の魔女に会いに行くが、スキを衝かれ彼女は殺され再び暗礁に乗り上げた。
ラゲニスの捜索で、黒衣達の居場所が特定され向かうが、その時に俺達は二組に分断される事になり、それぞれの地で黒衣と遭遇する。俺達は黒衣に狙われる女性を助け、ロゼ達は第二の魔女と合流しラクテルは二人の黒衣を倒した。
そしてロゼ達と合流する事で、力の解放を得て黒衣を圧倒して倒す筈が、奴らから 尋常ではない数の魔族の召喚をされ、全滅の憂き目に陥るが黄泉の軍勢の参入でこれを回避し、黒衣を殲滅した。
破壊の女神ニクスは、悲しい物語と共に、この世界から滅していった。
俺が記録を書き終えると、マリネが呼びに来た。
「ユキヒト様、皇王様が全員に集まって欲しいとのことです!」
皇王が全員に召集をかけると言う事は、何かが起きたと言う事なのか?
「分かった……、今行く」
俺は、書き止めた物を引き出しの中へとしまって、マリネと一緒に部屋を出た。
「ユキヒト様……、何か書かれていたの?」
彼女は声を掛ける前に、俺の事をよく観察していた様だ。
謁見の間に向かいながら、これまでの事を書いていたのだと言おうと。
「うん……、実は……
「私達の誰かに個人的に書いた物では無いだろうな?」
いきなり後ろから、アネスに声を掛けられた。
「ち、違うってアネス、あれは……」
「あれはって、何ですか?」
今度は、ハルが前方に現れ問い詰められる。
「だから、これまでの事を紙に記録して書いてただけだって……」
ニクスの一件以来、俺は一人で行動する事が出来なくなった。又、一人で何処かへ居なくなるのではないかと、監視されている様で……、首輪をされた犬の様な気分だ……。
だが、そんな気分害している訳でも無い自分が居た。
「処で……、俺達に何の用があるんだろ?」
「うーん私も何も聞いて無いです……、只皆を集めてくれと」
「ふーん」
「マリネも聞いていないのか……」
「はい、何も……」
「私も、皇后様から何も聞いてませんよ」
ハルは、この城に常駐する様になってから、皇后からよく呼び出されている。
かなり、気に入られている様だが、そのハルも何も知らない様だ。
俺達は、宮殿内の様子を窺いながら、謁見の間に向かっているが、衛兵達や女官達の様子からは、とりわけ何かが起こっている様にも見えない。
「まぁ、行けば分かるさ」
「それもそうだ……」
謁見の間に着いた俺達は、番兵に目配せすると中へと入っていった。
皇王の前には、ロゼ達四人が既に待機していた。
俺達がその横へと並ぶと。
「もう……、何してたのよ」
「ちょっと……」
「ちょっと何よ?」
恋人から、自分の見て居ない所で何をしていたのか?と、問い詰められている男の図、そのものではないか……。
「オホンッ、ロゼよ話をしても良いかな?」
「あっ! 、すみません陛下……」
娘に問い詰められ、苦境に立たされている俺を見かねた皇王は、助け船を出してくれたのか?。横で笑っている皇后に、ばつの悪そうな顔をするが、気を取りなおして話を始めた。
「皆に話とは……
皇王の話の途中であるにも拘らず、大広間の扉が急激に開かれた。
一人の衛兵が、息を切らせ皇王の前へと跪いた。
「陛下、緊急の御報告です、外に……、天空に城が現れました」
その知らせを聞いた皇王は、玉座から飛び立った。
「なんと! 、もう現れ居ったのか!」
「一体、何が?」
天空に城が現れたと衛兵は言ったが、空に城が現れるとは?……。
「父上……いえ陛下、もしや城とは……」
皇王は、ロゼの言葉を聞いて、険しい顔を崩さないまま答える。
「うむ、千年の時が過ぎた……、七夜城が現れおった…」
七夜城とは……?。
この世界で、又、新たな厄災が訪れてしまった様だ。
有難うございました