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最強吸血鬼である男子高校生と最凶ヴァンパイアハンターである女子高校生が出会ったら  作者: 田丸 彬禰


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6/6

真実は小説より奇なり

放課後の教室。

絶対的強者と対峙するのだ。

生存確率を高めるために一対一の場面は避けねばならない。

つまり、こういう場面でのお約束である屋上は今回にかぎり最悪の場所といえる。

むろん、教室が最高の場所かといえばそうでもない。

なにしろ可和羅にはあの能力があるのだから。

そして、当然のようにそれは発動される。


「人殺しをするには絶好の能力ですね。もしかして、私の同僚もこのような形で殺したのですか?」

「そのとおり」


綺羅はプラスの要素など一パーセントも含まれない言葉を口にすると、可和羅は黒い笑みで応じる。


「むろん殺すのは簡単だ。だが、後始末を考えれば多くの人間がいる中で殺すなど愚か者のやることだ。その死すら隠蔽する。これこそが最高のやり方だ」

「私もここで殺すわけですか」

「どうしてもというお望みなら」


「だが、せっかく日本に来て、わざわざ高校に入学したのだ。死ぬのはもう少し楽しんだ後でもいいだろう」


可和羅はそう言ったところで大きく息を吐く。

その顔には西日が当たる。


「太陽が気にならないようね」

「もちろんだ。これでも元は人間だからな」

「でも、あなたの同胞の大部分はそうではないようだけど」

「あれは血の劣化によるもの。高位の吸血鬼が昼間に活動できるのはそのためだ」

「では、他の弱点は?」

「十字架やニンニクか?」


「私は観光でバチカンに行ったこともあるし、ラーメンやピザ、パスタも好きだ。むろん、ニンニク抜きなどではない」

「まるで無敵ね。というより、パスポートを持っているの?」

「もちろんだ。もっともそんなものがなくても行くことは可能だが」

「便利なこと」

「まあな。だが、便利であればすべてがいいわけではない。不便さに喜びを感じることもある」

「たとえば?」

「料理」

「はあ?」


綺羅は胡散臭そうに相手の顔を見る。

可和羅はため息をつく。


「もしかして、私が人間の血で飲んで生きていると思っているのか?」

「もちろん」

「冗談ではない。人間の血で栄養を取り、空腹を満たそうとしたら毎日数人の血を吸わねばならないではないか。それに毎日血ばかり飲んでいては飽きるだろうが。私はこれでもグルメを自認している。ありえん話だ」

「では、何から」

「さっき言っただろうが。ラーメンだのピザだのと。当然人間が食べるものだ」

「まさか……」

「それはこっちのセリフだ。ヴァンパイアハンターなどと言いながらそんなことも知らんのか。おまえたちは」

「では、何のために吸血を……」

「僕にするためだな。ちなみに、同類をつくるのは自身の血を与える」


「えっ」


「こんな無知だとは思わなかったぞ」


「で、でも、吸血鬼に襲われた人の多くは血がなくなっているのは事実でしょう」

「まあ、吸血鬼にも馬鹿はいる。本当に人間の血を飲んでいる奴もいるかもしれない。だが、実際に血を飲んでいる大部分は吸血鬼ではなく人間だ」

「人間?」

「そうだ。お前たちと同じように吸血鬼は人間の血を吸っていると信じている吸血鬼に憧れた人間がやっている。それと、我々とは別の種族の中には人間の血肉を好む者もいる。人狼とか食人鬼とか。そいつらならそれくらいのことをやるだろう」


「本当なの?……」


「もちろんだ。ついでに言っておけば、おまえたちヴァンパイアハンターは我々の同族だ。つまり、有能なヴァンパイアハンターであるおまえも吸血鬼だということだ」




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