ペア?
ピビッ――ピコン。
「……え、なんか音、違くない?」
「そんなこと気にしてる場合じゃないよ。移動」
「はいっ!」
――――
「皆さん、急な招集になってしまい、申し訳ありません」
ざわつく空間。
「……谷死さん?」
「みたいだね」
谷死はゆっくりと全体を見渡す。
「現在、死後の世界は――死人で溢れています」
空気が一気に張り詰める。
「なぜだと思いますか?」
「……」
「……」
誰も答えない。
「理由は単純です」
淡々と告げる。
「あなたたちが、救えるはずの命を救えていないからです」
空気が凍る。
「……そりゃ無理だろ」
一人の男が吐き捨てる。
「相手の気持ちなんて、分かるわけねぇんだから」
「佐藤さん……!」
周りがざわつく。
「黙っててよ、私まで怒られるでしょ」
「……」
導子が一歩前に出る。
「確かに、全部を理解することはできないと思います」
「……」
「でも」
まっすぐ前を見る。
「寄り添うことは、できるはずです」
「……」
「その人の苦しみを、少しでも軽くすることは」
静かな説得。
「……それが難しいんだよ」
佐藤がぼそっと言う。
谷死が目を細める。
「……あなたのような者を選んだのは、失敗でしたか」
「なんだと――」
その瞬間。
「黙りなさい」
パチン、と音が鳴る。
気づけば、佐藤は宙に浮かぶシャボン玉の中に閉じ込められていた。
「う、うおっ!?」
「……」
「彼のことは無視して、話を続けます」
何事もなかったかのように言う。
「本日より二週間、全員ペアで行動してもらいます」
ざわめき。
「互いのやり方を学び、成功率を上げるためです」
「……」
「ペア表は、あちらの壁に貼ってあります」
谷死は背を向ける。
「以上です」
静かに空間がざわつき始めた。




