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ウチの魔王様が、すみません!  作者: ホマージュ
第一章 王国は割と元気
8/30

第八話 鐘の音はハラの虫

そういえば去年の夏のお話になるのですが


暑くて寝苦しい時、就寝時に眠りの質を上げるテクニック

なる、見出しの記事を見つけました。

最近の私には丁度いい記事だ事!

読むしかない!!


「寝苦しいのは暑いからです!一晩中、エアコンをつけておくのが快眠テクニックです。」


「は?」




そんなわかりきったこと…

というか、

違う、違うんだよなぁ。

寝る前にこれとこれをしておくとよい。

だとか、

この栄養素を摂ると快眠に繋がるとか。

そういうのを求めていたのに、

「エアコン」

違うんだよ、

既に毎日朝から晩までずっとつけっぱ、

夏も冬も冷房暖房を愛用して常に動かしています。


そんなんテクニックでもなんでもなくね?



因みに28度以上になると熱中症になるリスクが高まるらしいので、それ以下で。

湿度50%~60%で調節するのがよいそうです。



はぁ。そうですか。



途方もなく残念。。。


「オリビアさん!」

ちょうどギルドの受付業務を終えて昼休憩に向かうオリビアを呼び止める。

「えっと……マサモイツからいらした…」

「明日葉!明日葉豊です!」

「そうでしたね、明日葉さんいかがなさいました?」

かかる前髪を軽く整えつつ、色気のある仕草にどぎまぎする。

「いえ、その……僕、オロラントに来たばかりで、おいしいご飯やさんでも……知りたいなぁ。……なんて思って」


ダメだ!なんか緊張してゴモゴモする。

こういうとき元営業マンの力を発揮しなきゃいけないのに……


「……いいですよ、行きましょうか」

少し間があいてオリビアはニコりと微笑む。


「え?その」


「ご飯、食べるんじゃないんですか?」


天使かよ……

「はい!ありがとうございます!!」


オリビアは人差し指を頬寄せる

「ただし……男性から誘ったんですから、奢りでお願いしますね?」

いや、悪魔だ…

魔性の女だぁ…………



すっかりと骨抜きにされつつも、

失礼の無いように色んな話題を降りながら

オリビアさんオススメの店に着いたのだが、

緊張のあまり、道を覚えていない。



「へぇー、なんだかすごいなぁ。」

入り口には船のパドルが飾られ、

看板には日本語で『ふぁみれす』と書いてあった。

「ギルドからは少し離れてますが、ここのお店は色んな料理があってとてもおもしろいんです!」

オリビアさんはそう言うと嬉々として中に入りウェイターに人数を伝え席に着く。



「へぇー!ファミレスなんて、こっちにもあるんですね?」

席に座るなり、メニューを眺める。

「ファミレス?」

キョトンとして聞き返すオリビア。


「こういうお店ですよ。看板にも書いてありましたし。」

「……?ここはオークズィフっていうお店だったとおもうんですが、明日葉さんの故郷にも似たようなお店が?」


「そうですね……僕の故郷には沢山ありましたね!」

「そうなんですね!どちらからいらしてるんですか?」


「うーん、どちら……」

異世界転移でやって来たんです!

とか多分言うとややこくなりそうだし。

こういうときは定番の

「東の果ての国、かな?」

「東……?」

「あぁ、まぁ、それはさておき。ご飯食べましょ」


メニュー自体は一般的なファミレス仕様なのだが、文字のみで本当に自分の知っている料理が出てくるのかが疑わしい。


「ヌバヌスと森のカエレ……」

なんだか変な名前を見つけてしまう。

「それ、おいしいですよ」

すかさずオリビアさんに勧められてしまうが。

まず、ヌバヌスってなんだ。

森のカエレ?

森へ帰れ、ってことか?

森のカエルなのか?

怪しすぎる。


「明日葉さん、私決まりました!」

ニコニコとしながら注文を決めあぐねている明日葉にプレッシャーを掛けてくる

「早いですね、オリビアさんは何にしたんですか?」

オリビアはなにも言わずメニューの端を指差す。

「女の敵……?い゛!?1200G!?」

「ちょこーっと、高いけど元から決めてたの。」


「ハハハ……でも1200って」

「私ね、初めて男性とお店に食事に行ったら、これを出してくれる方がいいなって」


初めて……

「安いもんですよ!」

「さっすが!明日葉さん。明日葉さんは?呼んでいい?」


「うーん、悩む。どうしようかなぁ」

やはりいいとこ見せて高いヤツ頼むか?

いや、でも、

あー!

目の前の天使が微笑む度に……

とりあえず1200Gに近い1500Gのにしよう。


「これにします」

「へぇ!すごい大胆!」


「あのね、これと、これ!」

ウェイターが軽く御辞儀をしてオーダーを調理場に伝えにいく姿を見送った。


「オリビアさん、大胆とは?」

「え?だって値段」

「ん?1500G?」

「……あれ?こっち?」

「はぁ、こっち……」


急にあたふたし始めるオリビア。

「ご、ごめんなさい。こっち指さしちゃいました……」

「メコメコの血祭り……3800G?」

ん?


何を言っているんだ?

メコメコの血祭り?

メコメコにされて血祭りにされるのか?

そもそも料理なのか?

厨房から鈍器とか持った屈強な男が現れたりしないだろうね?

ここは飯屋だよね?

美人局とかじゃないよね?


金額よりも名前が気になって仕方がない。


「あの、あの、流石にこれは私が……払うから、その、えっと」

おっと?しどろもどろになってるオリビアさんも可愛いぞ?

5000G程度。別にいいかなって思えてくる。


「いやいや、大丈夫ですって。」

「ほ、ホントに?」


「任せてください」

「ありがとう」

ホッと胸を撫で下ろすそんな仕草にも惚れる。


「それよりもメコメコ……」

「なんだろうね?」

「え!オリビアさんも知らないんですか?メコメコ!」


「だってよくここ来るけど頼んでる人見たことないよ」

「え、じゃあ女の敵は?」

「見てのお楽しみってことで~」


女の敵はわかっているようだが、

メコメコ……明らかに金属かなにかで殴られるイメージだ。

そして血祭り……これは殺しにかかってるな。











「ごちそうさま!おいしかったですね」

オリビアさんに笑顔でそう言って貰えるとなんだか支払った5000Gは元々無かったものかのように気にならなくなっていた。


「また……会えますか?」


「なーに?ギルドで納品の時会えるんじゃないんですか?」


「いえ、その。こうやって、また二人でお食事とかでも」

オリビアは一瞬曇った表情をしたが、

直ぐに笑顔で


「そうね、あ。でも今度は私が出しますからね!」

受かれていた明日葉はその一瞬を見逃した。


「はい!」


財布の中は絶対零度の極寒だったが、

オリビアと隣で一緒に歩いているだけで

身体はポカポカとしていた。


歩きながらお互い無言の時間が流れる。

折角二人でいれてるのだから何か話さなければ、とても勿体無い。

先程の料理を話題に出そうとしたのだが、


「そういえば、さっきのー」




「なぁ、あしたばってヤツ知らねえか?」




ふと自分の名前を話す声が背後から聞こえる。

声の主は背丈140位の少年で。

傷だらけでアザ多数で、膝や肘は擦りきれ出血し、とても痛々しい見た目の子だった。

スラムの子か何かかなと思った

子供は嫌いじゃないが、今はオリビアさんとの時間を邪魔されたくない気持ちが強く、何故自分を探しているのかわからず、

関わりたくなかった。



ー背中にマオが担がれていなければ。



「マオ!?」

思わず少年に駆け足で向かっていた。


マオも少年と同様かそれ以上に酷い見た目でそれこそメコメコの血祭りであった。

顔にまで青アザが出来ており気を失っているようだった。


「おっさんが、あしたばってやつか?」

そういう少年が傷を負っているのを気にもとめず明日葉は勢いよく掴みかかった。



「何があったんだ!!」


少年は表情一つ変えずに

「……コイツに殴られたけど。」

明日葉の怒りはその少年に向かうところだった。


「でも……助けて貰った。コイツもやられたけど……。明日葉っておっさんの事だろ?コイツやられておっさんの名前、呼んで泣いてたからよ。その…起きたら、ありがと。って言っといてくれよ……」


そういうと少年はマオを明日葉に丁寧に預けると背を向けた。


「え?君が」

どういうことか。

少年は被害者で且つ……


「とにかく君も医者に!」


明日葉がそう言った頃には既に少年の姿は見えなくなっていた。



オリビアとの時間だったが甘い雰囲気は明日葉には残っておらず、

マオを抱えてそのまま病院に走った。







医療費に糸目を付けず

出来る事はやった。

勧められるがままに高価なポーションと、

高額な回復魔法もしてもらった。


あの強いマオがこんな状態に……?


あの少年と戦ったのか?

それともまた別の?

そんなことを考えている内にマオが目を覚ました。


「明日葉…?」

ベッドで絶対安静で寝ているマオは明日葉を見て呟く。

「起きたか?大丈夫か?」

あまり状況を捉えきれずに


「ぁ……あの、ワシは、」

視線を泳がせつつ布団をギュッと握りしめるマオ。



「……あしたば?」


思わずマオを抱き締めていた

「すまなかった!ごめんな、意地悪しすぎたなぁ」


明日葉の温もりに触れマオの目尻に涙が浮かぶ

「……う、ぁああ 」

キュッと抱き返す。マオは泣いた


それをほのぼのと静かーに眺める医者と看護士。

少し間をあけて近寄ってくると

「よかったですねぇ、お父さん」

などと(のたま)う。

「へ!?お父さん!?」

「違うんですかー?」

「ま、まぁそんなかんじかな…?」


そんなほのぼのしてる空間に

場違いな音が鳴り響く。



ぐぎゅるるるるる



間違いなく、ハラの虫だ。

居心地悪そうに明日葉を見上げるマオ。


そういえば朝も昼もあまり食べていなかったように思える。


マオの頭を軽く撫でつつ笑顔をつくる。

「メシ行くか!」



「うむ!」

とても嬉しそうにマオは頷いた。


はいはい、なかなおりなかなおり。


骨組みは既に書き出してあるのであとは肉付けするだけです

出来たら今週中の更新を目指します

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