表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチの魔王様が、すみません!  作者: ホマージュ
第二章 後を引く余韻
19/30

第十六話 ポニーテールはフェイティ

短め。

最近寒くなってきたですね。

こたつが欲しかったのですが、なぜか室内ハンモックを買いました。

買って家に届いて寝転がってふと、

あれ?炬燵は??

「ふむ。しかと確認致しました。」

神父はギルドからの証書に目を通し、

咳払いを1つし、後ろを向く。


「オロラントであれば……」

神父は後ろに控えるシスターを眺め、少し考え込んだあと名前を呼んだ。

「ナディア、お前が行きなさい。……できるね?」

「はい、お任せください。」

ナディアと呼ばれたシスターは金髪の巻き髪で真面目そうな印象だった。


「それでは明日葉さん。出発の用意をさせますので、またのお越しを」

「……?準備とは?」

「我々も何日か出ることになりますので各々身支度がございます。」

そうか、

確かにそうだ!

今日言って今日出発は確かに急ぎすぎていたかもしれない。


「では……明日?に」

「えぇ。明日で構いません。お布施もお願いしますね」

「お布施?」

「はい」

神父は表情は崩さず微笑む。



「……額はおいくらほど?」

「さぁ?お布施はあなた様の神に対するお気持ちですので。」


「なるほど」

多分最低額はあれど、多い分には全然構わへんで。

というスタンスのようだ。

……で額は?


いずれにせよ、明日にならねば出発はできないようで、脳内サミットを開く。


結局、明日出発するとして……

パパガヤに会いに行き

荷物を受け取り、

生活必需隊と合流、もしくは先に教会か。

そしたらやはり食料は用意しなければならないか。


……ナディアさん綺麗だったな。

せっかくだし、奮発していい昼食にしようかな。


なんて少し見栄をはろうか考えていると、





「ありがとうございましたー」


紙袋を大事そうに抱えた客の後ろ姿に礼をして見送る娘。


「あれ?今日もおっさん休み?」


「あ。昨日のお客さん!」

お辞儀して前に来ていたおさげを肩の後ろに戻しながらこちらにも愛想を振り撒く。


「おじさんはまだ寝かせてます、無理させられないので!」

ええ子や……

マオもこんないい子に育てばよいのだが……


「にしても、偉いね!よく働くね」


「養って貰ってますから、何か私が出来ることはしなきゃ……ちょっと悪くて」

「そっか、いい子だね……そうだ!明日オロラントに向かうからお弁当とかって作れないかな?明日取りに来るし。ちょっとお兄さんも手伝ってあげたくなっちゃうな。」

「ふふ、なんかおじさんくさい。」

「おじ……!?」

「でもお弁当かぁ……」

「6人分お願い出来ないかなぁ。」

「うー……ん、いけるかな。」

「そしたらとりあえず、2000G渡しておくね」


「え。が、頑張りますね!」


一度に大金を手にした所為か、ぎこちない動きになる。


「多分朝になると思うから、宜しくね!」

そういって手を振り、別れたのはいいのだが。


完全な無駄遣いである。

やはり2000Gは高すぎるか……

Gの数字が少なくて忘れがちだが、

日本円換算すると

400Gがおよそ10000円それの5倍、弁当6個で50000円。

テレビで見るような高級弁当のそれである。


「しくったかな……」

なんて考えながらも、脳内ではそろばんが弾かれる。

街道の整備(結界の張り直し)で90000-35000=65000

ル レクチェの配達で60000。

そこにこないだの指名手配犯確保の褒賞金がいくらか……。


12万は堅いし、褒賞金次第だがなかなかいい金額ではないだろうか。


内心褒賞金に心躍りながら宿に戻る。



「あしたば!メシ!」

「そうだな。昼結構食ったと思うけど食えそうか?」

「まだまだ序の口じゃ!」

笑顔でお腹をポンポンと叩くマオにとりあえず、いつもの弁当を渡す。


「ぬ。また餅か?」

「なかなか腹持ちがいいだろ?」

「でもこれ……味が……あしたばぁ、メシは??」

「これ食べてからな」

「うぬ……」

弁当の中には白1色で統一された餅が詰め込まれている。

マオの延びる手はいつもよりは緩やかで、

餅を食べ終える頃を見計らい明日葉はマオに声をかける。


「そしたら、メシ行くかー」

「うぬ!」


とりあえず、バーが複数連なっている通りに向かう。

子供をこんなところに連れてくるのも気が引けるが、コイツはただの子供ではない。


客引きがいる通りを歩いていくと、一際中が盛り上がり繁盛しているであろう酒場に入っていった。


店の中では大きな男が一部で腕相撲をしており、

カウンターでは飲んだくれが何人か潰れている。

ホールを慌ただしく走り回る……あれ?


走り回るウエイトレスには見覚えがあった。

金髪でポニーテール、

ついさっき見た気がするのだが。


「いらっしゃい!何名様?」

「あ。2人だけど」

「あ!」


やはり肉串のとこで店番をしていた女の子である。

少しだけ、沈黙が流れた後

肉串の娘は明日葉とマオをカウンター席に案内する。


「昼も会ったな!」

「そうね、何かジュース飲む?」

「肉串でいいぞ!」

「ごめんね、ここでは肉串売ってないんです。この中から選んでね」

そんなマオとのやり取りを見つつ


メニューに目を通す。

ふと、昼も夜も働いているところを見るとお金が必要なのだろうか。

無粋かもしれないが

「すごく働くじゃん。何か入り用なの?」


ついつい口にしてしまう。

「うーん、おじさんには内緒なんですけどね。」

「それは理由?それともここで働いてること?」

「どちらもです。」


「私、父と母が国外にいて帰りを待っているんですけど……元々この街で宿屋を営んでいたんです。もし両親が戻ってきたときにまた一緒に宿屋をやりたいなって。

両親との思い出って幼い頃の宿屋の事しかなくって……」

照れくさそうに頬を掻くポニーテールは想像に違わぬいい子であった。

というか、

名前知らんな。今更ながら

「そう言えば自己紹介もまだだったかな、俺は明日葉、こっちがマオ。君は?」


「私はフェイティです、」


「メシを頼んでよいか?」

横からマオが注文をぶっこんでくる。

まぁ、あまり仕事のジャマをしても悪いし。


出発前夜、

たまにはこっちの酒でも飲んでみようか。




フェイティさんはポッと出ですが、

実はあのことも縁のあるキャラです。

割りとすぐネタバラシになりそうですが、

次の閑話でマオのルーツが出てきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ