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第14話 ある日、倉庫の中、四本脚に、出会った……死ぬわ!

 システム補助86%


 まぁ仕方ない。


 それよりヤバい。穴を抜けたら広い倉庫に出たけど、そしたら出たよ。


 よりにもよって四本脚が出たよ。既にダイをロックオンしてるし、ガトリングガンも構えているし。てか殺る気だし。


「ヤバッ!」


 取り敢えずコンテナの影に隠れて退避、その瞬間四本脚もガトリングガンをぶっ放してきやがった。無人機であるが故か、容赦ねぇ。


 よし、一先ず状況を整理しよう。


 場所は倉庫、身を隠すコンテナがいっぱいで弾除けには困りそうにない。通路に出る出入口はシャッターが下りて閉まっている。開かない限り増援はないだろうが、多分あれ簡単に開くだろうな。


 敵は四本脚、幸い1機で群れではなかった。はぐれか見張りか、なんにしても1機しかいないのは好都合、これならダイでも勝てる見込みがある。


 そしてマイ歩兵機イングリッド、怪獣と四本脚群衆の乱戦で所々に弾痕が残るし、外装はかなり心許ない状態になっているな。メインウェッポンのアサルトライフルは……そう言えば弾倉外したままじゃん。


「いけない、新しいのを……あれ?」


 あれ!? あれってなんだ!!? まさか……まさかダイお前―――


「弾倉のラックが、ない」


 ふざけんなぁあああああ!!


 なんで今の今まで気付かなかったんだよ! 空の弾倉を外した時点で気付いていいもんだろ!!


 てかなんでこう次から次へとトラブルを巻き起こすんだよ! お前あれか? トラブルを引き寄せる体質なのか!? トラブルを地で行ってる奴なのかぁ!!?


 どうすんだよ! 予備弾倉がごっそり無くなって―――


 ―――コロン


「ん?」

 ん?


 スキャニング開始。


 [MK992 攻撃手榴弾]


 またかい!!


 退避ぃー!


 ―――ドカァアアアアアン!!


 間に合ったぁー! って、1度踏まなかった轍を2度目で踏む訳ねぇーだろ! 割と余裕で躱せたわ。


 そして躱せたら直ぐBダッシュ、ガトリングガンが飛んできたけど構わずダッシュで別のコンテナに隠れる。ふう、更に外装が心許なくなっちまったよ。


 で、どうするよ? 弾倉ラックが無いとなると残っているのは収納ラックの予備弾倉1つ(30発分)しかない。それであの四本脚(盾持参)と戦えと? いや死ねと?


 盾も厄介だけども、四本脚はガトリングガンも撃ってきてるし手榴弾も投げてくるし、てか武装が揃い過ぎなんだよ! 軽く要塞じゃねぇーか、動く要塞。


 こんなのを前は群衆で相手にしてたとか、有り得ないだろ。


「どうしよう……こっちはたったこれだけの弾で、勝てる訳無いよぉ。向こうは幾らでも撃てるからって……撃てるからってって、そんな筈無い!」


 ああ、まぁそりゃそうだ。波動砲と違って実弾なら弾数に限りが出る。無尽蔵に撃ってるように見えるが、ありゃあ有限の代物だ。


「なら、それだけの弾はどこに……そうだ、ゲッコー!」


 ダイはゲッコーを出して隠れているコンテナの壁に張り付かせた。


 ゲッコー、ヤモリのような形をしたこれは索敵用の小型ロボットであり、もう1つの目(カメラ)だ。有線と無線の両方で声音操作が可能であり、頭部の索敵カメラでひっそりと覗き見る事が出来る。


 しかも位置や距離を正確に割り出せるしスキャニングも出来るからもう超便利なんよ。その上ある程度の指示を出せば自動操縦も可能ときた、地上だけでなく壁や天井から水中でも使用可能だから第3の目として非常に活躍が期待できる。今この場でもな。


 こう銃撃から身を隠している場合だと歩兵機が覗き見るには結構狙い所が出てしまうから、小型ロボットで覗かせて索敵に使うのも良い手段なんだ。的を晒さずに標的を観測できる、素晴らしいことだ。


 そのゲッコーによって四本脚を改めて見る事ができたんだが、こいつ正面からは分かり難い事に背中の左側にあるハードポイントにやたらでかいドラムマガジンを装備してやがった。


 推定でも1万発分の弾はあるんじゃないかと思わせるドラムマガジンから弾帯が伸びていて、ガトリングガン本体に繋がっている。こりゃあ暫く弾切れは無いな。


「でもいつかは弾切れになる筈、だったらそれまで持ち堪えていれば……ダメだ。これ増援が来て詰むパターンだ」


 おお、分かってきたじゃないか。


 そりゃいつかは弾切れになるとしても、それまでただ待ってるだけで済む筈が無い。実際今までそうだったろ。


 待ってたら詰むだけだ、こっちから打って出ないと勝ち目は無いぜ。しかも持久戦NG、短期決戦厳守でな。


「だったら何とかしてガトリングを止めるしか……あ、なんか投げてき―――って手榴弾!?」


 退避ぃー!


 ―――ドカァアアアアアン!!


 アブいアブい。


 ゲッコーを回収して直ぐに飛び退いたけど、その瞬間を狙い撃ちにされた。いかんなぁ、さっきと同じパターンだから予測されたか。


「だぁー!!」


 それに怯まずなんとか別のコンテナに飛び込めたのは、ダイにしては良くやった。しかし今のダメージは痛い、外装がかなり剥げたぞ。


 次食らったら終わりだと思っておいた方がいい、気を引き締めないとな。


「あーもうどうしたら……こっちも手榴弾みたいなのがあればいいんだけど」


 それが無いから困ってんだろ。放物線を描いた軌道で投げる手榴弾はコンテナを超えてダイのところに転がってくる。それがどうにも厄介だ。


 こっちも何かコンテナ越しに投げられるものでもあったらいいんだが、生憎そんな物はない。


「ビームを曲げて撃つみたいなのがアニメであったけど、ライフルの弾じゃ無理かな?」


 無理に決まってんだろ! アニメを参考にすなぁ!!


「あ、でもあれなら」


 何を思ったのかダイはまたゲッコーを出して四本脚の様子を見ながら、何故か天井の鉄骨に向けてライフルを撃っち出した。


 ……そうか、跳弾か。


 硬い鉄骨に当たったライフルの弾は跳ね返って地面に着弾した、つまり跳弾だ。これならコンテナに隠れたままでも撃てるし、おまけに頭上は盾の防御も無い。


 ダイはそのままライフルをフルオート連射、ゲッコーのカメラで確認しながら射角を調節して四本脚の頭上に37mm口径の弾丸を叩き込む。


 何発かは当たったんだが流石に反応がいいな、直ぐ盾で防ぎやがった。だぁー、くそ!


 やはり無人機だから一々行動が的確だ、盾を上に向けたから正面はガラ空きだけどガトリングガンを撃ちまくってるから付け入る隙が無い。


 それでもライフルは止めない。今止めると自由になった左手で手榴弾を投げてくる、どうせいっちゅうねん!


「だったら……!」


 狙いを定めたダイはなるべく盾からはみ出た本体右側を当てる。正確にはガトリングガンの弾帯だ。


 ドラムマガジンがどれだけ多量でも弾帯を切ってしまえば弾切れ同然だ。てかこっちも弾切れ間近なんだ、頼むから切れてくれ!


「っ!? しまった!」


 しかし結果は残酷、ダイの方が先に切れた。終わった……。


 と思ったら四本脚のガトリングガンも止まった。流石にゲッコーのカメラじゃ見辛いけど、よくよく見れば切れた弾帯が下に垂れている。


 く、首の皮一枚繋がった……。


「だぁー!!」


 この機を逃す訳にはいかないと散々痛い目に合ってきたダイの経験が、こいつの背中を押した。


 四本脚はガトリングガンが撃てずにいるから手榴弾を投げてくるが、それもイングリッドのレーザーCIWSで迎撃出来る程度。あとは盾で防御する他ない、つまり手詰まりだ。


 対するダイはBダッシュで突撃、ライフルは弾切れで捨てたが、まだ手はある。接近さえ出来ればな。


 防御する盾を横から回り込んで四本脚と対峙する。その犬っぽい頭がこっちを振り向いて見据えた。レーザーのおまけ付きで。


「あぁあああああ!!」


 犬っぽい頭の目から放たれたレーザーCIWSだが、ダイはそれにも臆さず攻めに前へ出る。


 まずはその首をいただく!


「ナイフ!!」


 右太腿の収納ラックからナイフと取り出した。狙うは喉元。


 歩兵機の腕力を以てすれば例え切れ味の悪いハードナイフでも突き刺すくらいは出来る。


 ダイは勢いをつけて四本脚の喉元にナイフを刺突、想像以上にすぅっと突き刺さったナイフをそのまま横へ引き裂いた。


「や、やった!?」


 少し下がって見てみると首はまだ繋がっていたが、メインカメラと思われる口元の光が消え失せてガクンとした様子を見る限り機能は停止したようだった。ただし頭だけな。


 四本脚は身体を向き直してダイと対峙する。メインカメラをやられてもまだ胴体にサブカメラがあるんだろうな、明らかにダイをロックオンしてるし。


 そして弾の出なくなったガトリングガンを捨てると、それを持っていた手をグーに握りしめた。マッチョ腕だからな、そんなんで殴りとかやられたら一溜りもないな。


「くっ……!」


 ダイもナイフを構えて迎え撃つが、これはちょっとヤバい。


 四本脚のマッチョ腕は意外と長いからナイフを持っていてもリーチで負けている。無人機ならそれを活かして一方的に攻めてくるに違いない。


 そして先に仕掛けてきたのは四本脚だ、無人機故に躊躇が無い。


 ダイは振りかぶってきたストレートパンチを早めに回避したが、胴体を少し掠った。いきなり目測を誤りやがったよ。


 危ないと感じて一旦距離を取ろうとしたが、その時突然にも四本脚が躓(つまず)いた。4本も脚があるのに躓くのか?


 いや、よく見ると四本脚は躓いたんじゃない。脚を1本損傷して怯んだんだ。


 その損傷した脚には2箇所ほど目立つ弾痕があった。さっきの跳弾が運良く脚に当たっていたんだな。


 そしてストレートパンチを出した時に踏み込んだ事で脚に負荷がかかり、損傷に到った訳か。しかし脚4本もあるのに1本損傷したくらいで怯むのか……待てよ? だとしたら―――


「でりゃあー!!」


 四本脚が脚の故障で怯んだ隙にダイは飛び込んで損傷した奴の脚にナイフを突き刺した。ダイの考えが正しければ、これで奴はもう動けない筈だ。


 そしてそれは正解だった。ナイフを突き刺した途端、損傷した脚は脱力して本体質量を支えられなくなった。


 それは無事な脚が3本あっても結果は同じ、余程身体が重いのか支えられなくなって地盤にドンと座り込んでしまった。まさか脚1本でこうなるとはな。


「やっぱりだ。こいつら、脚が弱点なんだ!」


 良いことを発見したぜ。


 弱点を突いた以上、四本脚は動けなくなった。だが動けないのは下半身だけで、上半身はまだまだ動ける。


 パンチは恐いが近付かなければどうと言う事は無い。あまりダメージは期待できないが、ここはレーザーでちまちまとダメージを与えていくか。


 なるべく近くからイングリッドのレーザーCIWSを連射する。四本脚も食らい続けるのは危険だと判断して盾で防ぐが所詮盾も消耗品、弾切れの無いレーザーで撃ち続ければいつかは溶解するだろう。


 それに対してガトリングガンも頭のレーザーも失ってる四本脚は動けないし拳も届かない、まさに袋叩き状態だな。


 盾で防ぎ続けられるのも時間の問題だし手榴弾もこの至近距離では自爆になる。なら残された手段は1つ、ガトリングガンとは別のサブウェッポンを使う事。


 四本脚の背中の左側、そこにドラムマガジンがあるのを見つけた時にな、右側にも何かあるのをダイは見つけていたんだ。


 おそらくそれはアサルトライフル、ガトリングガンが使えなくなった時の予備兵装に持っていたものだろう。四本脚はそれに手を伸ばした。


 しかしな、ダイもそれを見逃す程もう間抜けじゃないんだよ。寧ろ見越していたのさ。


 ライフルに手を伸ばしたって事は、つまりパンチを封じた訳だ。今近接戦に対応する術は無い、墓穴を掘ったな!


「でりゃあー!!」


 四本脚がライフルに手をかけたところを見計らってダイは突撃した。盾を上手くかい潜って無防備なところへ、再び構えたナイフを突き付ける。


 狙うは……直感で心臓部!


 心臓部は本来コックピットがある場所だ。無人機には無いだろうが、それでも機体を動かすためのコンピューターとかならある筈。


 それを潰せば、THE ENDだ!!


 ―――ザクッ!


 鈍い音と共にナイフの刀身が根元まで心臓部に突き刺さり、程なくして四本脚は機能停止した。


 ナイフを抜いて1歩さがる。四本脚が復活しないか見極めて、ちょいちょい突いてみたが反応は無し。完全に機能停止なった。


「……やった?」


 ああ、やったぞ。


「本当に、やった?」


 本当の本当にやったぞ。


「や……やったぁあああああ! 遂に四本脚に勝ったぁあああああ!!」


 勝利を実感して、ダイは雄叫びを上げながらガッツポーズを決めた。


 大袈裟かもしれないが、これはマジで命懸けの戦いだ。それに勝利を納めた達成感は素晴らしいものだろう、今までの経緯を鑑みれば尚更だ。


 初戦の眼帯野郎にしても美女軍団にしても、ここでの頭無しの群れを撃退した事にしても、到底勝利と呼べる勝利では無かったからな。てかグダグダの連続だったしな。






『―――ある意味これが本当の初勝利だな』






「そうだよ! もう今までのなんか……って、誰!?」


 ダイは咄嗟に四本脚を見たが、そいつが喋ってる様子じゃない。完全に機能停止してるし。


 それから倉庫の中を全周囲、天井も含めて隈無く探したが人の姿もいなければ歩兵機の姿もなかった。


『探しても無駄だぞ。イングリッドの通信回線を使って話しているんだからな』


 それに気付いてダイは機内を見た。すると繋がらない筈の通信回線が起動ランプを点灯させている。繋がっているんだ、何処かの回線に。


 それだけじゃ無い、いつの間にかモニター画面に[M]と書かれた文字が表示されていた。まるで声の主を表しているかのようにな。


『取り敢えず祝福しておくか、初勝利おめでとう。お前にしては上出来だったぜ、ダイ』


 名前を呼ばれた瞬間、ダイの身に怖気が走った。


 声の主は明らかにダイの事をしている、しかも今の戦闘を何処かから見ていたような口振り、正体が分からない事もあって余計に不気味だ。


「だ、誰……あんたは誰だ!?」


 しかしそれに臆する事無く、ダイは威嚇混じりに声を上げて問い質した。臆病なダイが初めて度胸を見せた瞬間だったな。


 記念すべき瞬間だ、お互いに。


 思えばこれが最初の会話となった訳だからな。ダ(・)イ(・)と(・)俺(・)の(・)、最初の会話にな。






『マクシミリアン・ダオスロード、お前の良き隣人さ』

大事な事だから敢えて今言うけど、俺も主人公なんだぞ。なのに出番が今更とか……ダイにしてもそうだけど、主人公の扱いが酷くてヤバい。

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