波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー1ー
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「はぁ?一体何の用かと思えば……馬鹿じゃないの!」
サイガはエリスに会うために腕輪の機能を使う事にした。魔力を消費する事で、パートナーがいる場所に瞬時に移動が可能となる。それにはパートナーの了承が必要なのだが、エリスからOKが出て、移動した場所はエリスのバイト先だった。
店内はTVが設置され、アニメが流れている。そのアニメは勇者エルナの冒険で間違いないのだが、第一期ではなく、第二期。
第一期が魔界編であり、第二期は機界編。機界も最初から友好な関係があったわけではなく、魔界と同じ人間界を侵略しようとした。それを救ったのもエルナなのだ。エルナは人間界を二度救っただけでなく、二つの世界の架け橋となっていた。
両方とも放送は終わっているのだが、第一期はあまりの人気ですぐにテープとなり、そのテープを使えば何度もTVで直す事が出来る。今回はやっと二期の発売も決定し、その告知として映像を流している。
その機界編の映像は人気のある場面なのか、三つの機体が合体し、巨大ロボに変形して、機人が乗り込む。そのロボの肩にエルナが立っているというもの。
サイガはアニメというのを初めてみたのだが、三体合体に心熱くなり、エルナも本人とよく似ていた。第一期が女子に人気であるなら、第二期は男のロマンがあった。
そのエルナと似ているエリスは勇者という事も総じて、客に写真を求められたりしており、お金を貰う事で一緒に写ったりしている。その他にも店には貴重な品物が置いてあるので、客の姿もチラホラとある。
サイガは邪魔にならないように、レジに立っているエリスに小さい声で、生徒会の事について話すと案の定な結果になった。
「アンタも何で生徒会に入ろうとするわけ?私を誘うのも意味分からないし」
生徒会に入るのは世界征服のためであって、エリスはそれに利用するためだとか、サイガは言う事が出来なかった。
「えっ……と……それは」
答えられないサイガを、エリスは怪しい目で見る。
「……まぁ……聞かないであげるわ。でも、私達が生徒会に入るなんて無理だから……いらっしゃいませ!こちらの一点……増やしてくれるんですか。プラスもう一点で会計はこちらになります」
普段見せないような笑顔を客に向け、会計をすませるのだが、サイガの方を向いた時には、いつものダルそうな顔に戻っていた。




