勇者と王女の関係に、魔王巻き込まれるー9ー
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「おお!エリスが勝ったようだぞ」
勇者であるエリスとっては当たり前の事なのだろうが、武器が破壊された時にはサイガもドキドキした。魔王以外の相手に勇者が負けるのが嫌だったのか、何故そんな気持ちになったのかはサイガにも分からなかった。
武術戦闘が終わり、気絶した選手達が担架で運ばれていく。勝利したエリスもその場から退場する中、店長は勝ちどきを上げ、旗を勢いよく振り回しているのだが、観客の生徒達はエリスにブーイングを投げつけた。
ルールではエリスの勝利なのだが、武器を破壊された時点で負けを認めるべきだと生徒達は言っているのだ。
エリスはそれを無視して、さっさと闘技場をあとにしたのだが、マキナだけは退場する様子がなかった。
「エリスに祝いの言葉を言いに行くぞ。勿論サイガも来るのだろ?」
エリスが勝利したはずなのに、罵声しかないのは悲しい事だとサイガも思い、店長と共にエリスがいる場所に向かうつもりでいた。だが、観客席にいたはずなのに、気付けば先程までエリスとマキナが戦っていた場所にサイガは立っていた。それもサイガだけではなく、魔法戦闘に参加する選手全員が一気に集められていたのだ。
「今回の魔法戦闘の主宰は私、アイシャが務めさせてもらう」
サイガや他の選手達はアイシャの魔法で移動させられたのだ。マキナに至っては事前に聞いていたのか、動けなくさせられていたかであり、アイシャだと後者と考えられる。
他の選手達は魔法戦闘の準備を始めていたのか、杖や魔導書を所持しているのだが、マキナは武術戦闘が終わったばかりでそれを持っているわけがなく、サイガは準備どころか、その二つを持ち合わせていなかった。
「ルールを説明する。まず、回復魔法は禁止。補助魔法は可だ。属性効果も均一。杖や魔導書の使用も認める」
魔法とは体に宿る魔力、自然などに満ちている魔力、二つの魔力を掛け合わせる事で発動する。その方法は大陸や国などで違うのだが、基本は呪文の詠唱によるものだ。
次に魔法分野では攻撃、補助、回復が基本分野とされており、アイシャが使った移動魔法、それに関連した召喚魔法などがあり、他にも色んなジャンルがある。
属性に関しては四大元である風、火、水、土があり、その他には光と闇がある。一人一人の体に何かの属性が宿っており、曜日によって威力などが増減したりする。それに体に属性が宿っているとしても、その属性しか使えないわけではない。相反する属性は不可能だが、それ以外は威力は低下するだけ。二つの属性を配合した合体魔法も存在する。そして、それ以外の属性もあるのではないかとも考えられている。
最後に杖や魔導書であるが、魔力増幅、威力拡大、詠唱速度を上げるなどの装置のような物であり、宝石にも属性効果が宿っている物もある。杖や魔導書、宝石は高価な物であり、強い魔法使いの大半は金持ちであると噂されているほどだ。




