Step:4【過去は忘れよう】
部活見学から数日。
俺はマジメに講義に出ていた。
あれから綱本さんとは会えていない。
広いキャンパスなのだ。
同じ講義を履修していないかぎり、そう簡単に会えるはずもない。
メールしても返事はなく、電話には出てくれもしない。
綱本さんはあきらめたのかもしれない。
友達つくりに協力している俺と顔を合わすのが辛いのかもしれない。
そもそも俺はなぜ協力していたのだろう。
半ば強引に連絡先を交換させられて、アイデアさえ出して、部活見学までついて行った。
これ以上、ないくらいに尽くしたはずだ。
これ以上、俺にできることはない。
ここら辺で、もういいだろう。
大学で偶然すれ違ったとき、ちょっと気まずくなるだけだ。
そう思ったときだった。
講義開始をおとなしく待っていた俺の前に見知った女性の姿。
「ちわっす」
綱本さんだ。
黒シャツに赤のネクタイとミニスカート。ゴシック風なファッションはよく似合っていた。
しかし、こういう目立つ格好が、友達のできない要因ではないだろうか。
いわゆる美人すぎて声をかけにくい。
俺だってあんな出会いかたでなければ、声なんてかけなかっただろう。
「な、何すか?」
俺がジッと見ていたからか照れたように後ずさる綱本さん。
「……この講義でてたっけ」
「今日はじめてっす。レジュメ見せて」
はにかみながら綱本さんは俺の隣に座った。
「で、今後はどうする?」
講義終了後、真っ先に俺は口を開いた。
まず、今後の方針を決めなければどうにもならん。
友達をつくるにせよ、あきらめるにせよ。
「そうだね。どうしよっか」
考えなしだった。
「違うよ。緊張しない方法とか会話術とかネットで勉強してきた」
弁解するように綱本さんが早口で言った。
ネットで勉強か。知識と実践はまるで異なるんだけどな。
「それで、また見学でも行くか?」
しかし、知識は得たらしい。つまり前提は整っている。
あとは実行するのみ。
「うーん。やっぱり無理に友達つくらないでいいと思うんだ」
机の上で手を組みながら、綱本さんが淡々と話していく。
「友達っていうのはさ。自然とできてるものじゃないかなって考え直したの」
緊張で赤くなっているわけでもなく、落ち込んで青くなっているわけでもない。
その表情には強い意志が見えた。
「ほら、私たちって、そんな関係じゃない?」
「確かに」
最初は早く立ち去れとさえ思っていた。
敬語で対応していた。
いつの間にかタメ口になって、友達を作ろうだなんて意気込んで。
一緒に行動していた。
「ねぇ……コーヒー飲みに行かない?」
綱本さんが笑顔で誘ってくる。
無言で俺は席を立つ。
ふたりならんで大学の敷地から出たと同時にあることを思いついた。
「綱本さんに聞きたいことがあったんだ」
「何?」
「喫茶店についてからでいいや」
前にふたりで喫茶店に来たときから疑問に思っていたことだ。
コーヒーに砂糖は入れないのかってさ。
終わりです。
めっちゃ短い!
実はこの話、私が初めて部活で書いた短編の焼き直しなのです。
これで焼き直しかよって思ったあなた……その反応、Yesだね!
というわけで、いま別のもの書いています。
書ききって投稿するので、間があくかもしれません。
最後まで読んでくださりありがとうございました。




