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Step:3【積極的に動こう】

 料金精算を済ませ、勢いよく飛びだしたものの、まだ大学は講義時間だった。


 どうすることもできず、俺たちは泣く泣く自販機でジュースを買い、ひと気の少ない『幽霊号館』と呼ばれる建物で時間をつぶすことにした。


 そして放課後。部活動の時間。


 やってきたのが部室棟。


 どんな部があるのか、今日活動している部はどこかは、すでに『幽霊号館』で確認済みだ。



「文化系がいいわよね」


「いまさら運動部はちょっとな」


「人の多いところも嫌だし」


「少人数のところだな」



 そして、候補を絞りに絞って厳選していった結果。


 俺たちは映画研究部の部室に来ていた。



「おー、いらっしゃい!」



 見学希望だと言うと、部長らしき人物が快く迎えてくれた。


 映研は、その名のとおり映画好きが集まって自主制作しているらしく、部室には過去制作した作品が置いてあった。



「君たちは何か作りたいほう? それとも見る専門希望かな?」


「見るほうですね」


「好きな映画とかある?」


「あー、過去や未来に行くやつですかね……」



 用意されたパイプイスに腰を下ろしながら、部員の方々と映画の話をした。


 その頃には気づいていたのだ。


 でも、笑顔で迎えてくれた先輩たちの手前、すぐにお暇するのは申し訳なく、そのまま喋り続けた。


 しかし、映画に詳しくない俺は部員たちのマニアックな質問に対応するのは厳しく、

だんだん大学生活の話になった頃。


 気を使ったであろう部長氏が、綱本さんに話を振った。



「君はどう? エキストラとしてウチの映画出てみない?」



 今にして思うと何だか怪しい勧誘っぽくも聞こえるが、ひと言も喋らない綱本さんに気を使っただけだと信じたい。



「あ……う……え……い……」



 肝心の綱本さんは言葉にならないほど緊張していた。


 本人には悪いが赤く染まった顔はかわいかった。


 もちろん見惚れるだけではなく、フォローもしてあげたが、うんともすんとも言わなくなってしまった。


 これは本格的にダメかもしれない。


 そう思って、話もそこそこに切り上げ逃げてきた。


 そんなこんなで、またもや『幽霊号館』最上階。



「映画が趣味だっていうから映研に行ったのに」


「……ごめん」



 日が照って蒸し暑くなった空間のなか、綱本さんは謝罪するばかりであった。


 しおらしいっていうレベルじゃないぞ。


 連絡先を教えろと迫ってきた網本理穂はどこに行ったのか。



「と、とりあえず、今後の課題はわかったからいいんじゃない?」



 緊張して喋れなくなる。


 これを克服しないことには友達百人どころの話ではない。



「……今日は帰る」



 そう言って綱本さんが立ち上がった。


 友達百人の道のりは長そうだ。



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