3-8. この先もずっと一緒にいたい
「三条程の素敵な男性に一途に想われて、あなたの事を好きにならない女性なんていないわ。」
と三条に言ってしまった翌日、私は映画の撮影のために飛行機に乗っていた。
正直、三条と顔を合わせなくていいのはホッとしたけど、スティーブにどんな顔をして会えばいいのか分からなかった。
どうしてあんな事を言ってしまったのか。
三条には忘れてって言っておきながら、自分だって忘れられない。
アメリカに着くと、スティーブが空港で出迎えてくれた。
凄く嬉しそうにしてくれるスティーブを見て、更に罪悪感は強くなったけど、態度に出さないように気をつけた。
三条にあんな事を言ってしまっただなんて、スティーブが知ったら傷つける。
「迎えに来てくれて、ありがとう。」
「会いたかったよ。愛してる、ソフィア。」
「私も愛してる、スティーブ。」
「ワールドツアーでずっと一緒にいたから、いつも以上にソフィアがそばにいない事が寂しく感じたよ。今度は3ヶ月間も一緒にいられるだなんて、嬉しいな。」
「私も嬉しい。」
自分の罪悪感が邪魔をして、素直に喜べないのに落ち込んだ。
スティーブの車の運転で、スティーブの家に行った。
いつもは見惚れるスティーブの顔も、なんだかあまり見れなくて、私は台本を読んでいた。
家に着くと
「ソフィア、今日は元気ないよね。どうしたの?大丈夫?」
とスティーブから聞かれて、ドキッとした。
「大丈夫だよ。飛行機であまり眠れなくて疲れちゃったのかも。明日からの撮影について考えると緊張しちゃって。」
眠れなかったのは本当だけど、原因は自分が三条に言ってしまった言葉のせいだ。
嘘をついたことで、また心が傷んだ。
「撮影は緊張するだろうし、時差ボケは辛いよね。仮眠する?」
スティーブはいつも優しい。
私が今考えてる事を知ったら、スティーブは幻滅して離れていってしまうかもしれない。
そんな事になったらと考えるだけで、とても辛い。
いつか三条にも素敵な女性が現れたらと思うと少しだけ胸が痛んだけど、スティーブに素敵な女性が現れたらと思うと、耐えられない。
「心配してくれてありがとう。でも、流石に寝るのは悪いよ。」
「遠慮しないで。ソフィアが元気ないと僕が心配なんだよ。普段使ってないベッドルームに案内するよ。」
「ありがとう、お言葉に甘えて15分くらいベッド借りるね。」
「それがいいよ。寝すぎると夜に眠れなくなっちゃうし、15分したら起こしに来るね。ゆっくり休んでね。おやすみなさい。」
キスをしてスティーブが部屋から出ていこうとしたけど、ついスティーブの手を握ってしまった。
「どうしたの?」
「あ、ごめん、何でもないの。」
「何でもないって感じじゃないでしょ。何かあったの?」
「ううん、スティーブと離れたくないなって思っちゃっただけ。」
「え、それって一緒に寝たいって事?」
「うん。」
スティーブが驚きすぎて
「それってつまり、いや、でもソフィアは疲れてて…」
と呟いてから
「えっと、どう言う意味で一緒に寝たいのか確認してもいい?添い寝したいの?それとも僕と、その…ってごめん。ソフィアは疲れてるんだから、添い寝だよね。」
私は一気に顔が真っ赤になった。
「ごめん、変な事言っちゃった。1人で寝れるから忘れて。」
「いや、僕も変なこと聞いてごめん。でも、ソフィアが添い寝したいなら、添い寝しよう。」
「え、いいの?」
「うん、何もしないから安心して。」
「ありがとう。」
スティーブとベッドに入るのは緊張したけど、
「おやすみなさい。」と言いながら額にキスされて抱きしめられると、凄く安心してあっという間に眠ってしまった。
スティーブは15分間、煩悩と戦う事になるのだけれど。
「ソフィア、起きて。」
15分後、スティーブに起こされた私は、ドアップの美しい顔が見えてびっくりした。
スティーブに抱きしめられて眠っていた事に気づき、顔が赤くなった。
「よく眠れた?」
「せっかくお家にお邪魔したのに、眠っちゃってごめんね。スティーブに抱きしめられたら安心しちゃって、あっという間に眠っちゃってたみたいで、びっくり。」
「気にしないで大丈夫だよ。ソフィアが元気になって良かった。少しでも眠るとスッキリするよね。それに、ソフィアが僕に甘えて来てくれた事が嬉しかったんだ。ソフィアの寝顔が見れて幸せだったよ。」
「え、寝顔?見たの?」
「ずっと見てたよ。」
「恥ずかしい。」
「凄く可愛かったよ。」
スティーブにキスをされて、しばらくベッドの上で抱きしめ合いながらキスをしていた。
「スティーブ、私すごく幸せ。」
「僕もすごく幸せだよ。」
「この先もずっと一緒にいたい。」
「ありがとう、僕もずっと一緒にいたい。本当に幸せだ。」
夜になるとスティーブが私が宿泊するホテルに車で送ってくれた。




