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第一夜・少女のアリカ-5-

前回からの続きです。

　誘いの言葉に期待は高まる。

　ごくり、と僕の喉が鳴る。思わず唾液を呑み込んでいた。

　彼女に口づけをしてしまえば、きっと理性なんて簡単に消えてしまうのだろう。

　頭で分かっていても僕はもう、止まれそうにない。

　我慢していた分だけ反動も大きすぎた。

　「アリカっ……！」

　彼女の手を思いっ切り引っ張って、身体を引き寄せる。

　「乱暴すぎ……。駄目だよ、あせったら」

　少しばかり強引だったけど、今の僕にはこれでも優しくしたつもり。

　それにこの状況では、焦るなという方が無理だ。

　向きあった僕たちは、互いに吐いた息を吸えるほどの至近距離。

　この近さにいると、アリカの口からどのような吐息が漏れているのか急に気になった。

　少女みたいに甘い匂いなのか、それとも全く別の匂いなのだろうか、と様々な思いが頭を巡る。

　「抱きしめるだけ？」

　アリカの口元ばかりを凝視していると、物欲しそうな目で見つめられた。

　腕の中から上目使いに見上げる彼女は魅力的で、簡単に引き金を引かれた僕は、強く押しつけるようにして唇を重ねる。　同時に空いていた方の手を彼女の腰に回し、体を近くに寄せた。

　視界が彼女で埋まる。

　目に映るのは、僅かに濡れた可憐な唇。

　想いをぶつけるような荒い行為。でも、唇のやわらかさはちゃんと伝わってくる。