悪魔たちの会議
「こえが、…海!?」
などと声を出すこともなく、ただ目をまあるく見開き、口を半開きにするイオン。
悪魔たちを総動員した結果、ちょうどよさ気な場所を見つけるのに要した時間は2時間。
複数の世界間をまたがって探したことを思えば驚異的な早さだった。
「…この通り、まだ文化的な発展はそれほどでもなく、海は汚れておらず砂浜も痩せておりません。海洋生物も危険性の在るものは少なく見目も良いので姫様にはお楽しみ頂けるかと」
各処を巡った悪魔たちによるプレゼンが行われていた。
現在発表中の悪魔はうっかり海のことを楽しそうに話してしまい、今回の騒動を起こしてしまった張本人であり、必死になって各地を飛び、プレゼンを行った。
「ふむ、これはなかなかわかりやすいな」
魔神たちの評判もなかなかだった。
「危険性とはどういうものだ?」
質問が上がる。
「はっ。毒を持つものが数種類。我々には問題ありませんが、その、姫様には…」
彼が尻すぼみになるのも無理はなかった。
イオンは悪魔ではない。悪魔たちにとって天使のような存在だが天使でもなく、人の魂でもなさそうだった。つまり、不明。
「それでもその場所を推すと言うのだな?」
話を本題に戻すようにルシファーが尋ねる。
「はっ。どの地においてもそのような生物はおりまする。最も方々のお力を持ってすれば恐れるものではないかと。であれば、最も快適な場所としてこの地を推奨致しました」
議場がざわつく。
「確かに綺麗だな。海も砂も。」
「海中で問題になりそうなことはウェパルがいる限りなんとでもなろう」
ウェパル。序列42位の公爵級の悪魔。
“溺れさせること“を得意としており、女、酒、賭け事に狂わせる(溺れさせる)ことはもちろん、水で溺れさせることもなんなくこなせる。
いわゆる人魚の姿をしており、元々悪魔には性別はないが、女性の印象を持たれている数少ないというか2人しかいない魔神の一柱。海上であればイージス艦でさえ相手にならない。
女性らしい柔らかな雰囲気ゆえ、イオンの世話役のようになっている。
今回の旅行にはもってこいの存在と言えた。
「移動についてはガープに任せるのがよかろう。さて、次が最も重要なテーマになるが、」
「イオンの水着はどれがよいか」
「ビキニでしょう」
「ばか、スクール水着というものがあってな」
「馬鹿ばっかり」
無駄に議場の熱気は高まっていたが、世話役のウェパルによって緑のワンピース型の水着が準備されそれに決定していたのだった。




