54.わがまま
次に目が覚めたのは21時。
「ん、起きた?」
リビングに行けば、佑樹さんと美英さんが夜ご飯を食べ終わったところこようだ。
タイミング悪かったかな。
「椿、寝るのか?」
「私……ダメでしょ?」
「待って待って。椿ちゃん何か食べる?」
「んー、いらない」
「プリンとかゼリーとか、アイスもあるよ?」
「……プリン」
毛布を床に捨てて椅子に座れば、なんだか力が入らず机にパタン。もうこのまま机と結婚しようかな。
「椿、ソファーで食べるか?ほらおいで」
本当は食べたくないかも。
でもせっかく美英さんが用意してくれたし、というか私のせいで夫婦の時間が台無しだし……。
「泣かなくていいよ。大丈夫大丈夫、ほら美英がプリン持ってきたよ」
「んー……帰らなきゃダメだよね。もう私帰るね……タクシー……」
「私、椿ちゃんとプリン食べたいなー」
宥められながら、3人並んでソファーでプリン。というかほぼ佑樹さんの膝の上。
「私……降りる」
「無理無理、ここにいなさい」
「だってもう結婚したんでしょ!美英さん泣いちゃうよ!私も綿貫さんの膝の上行くから!」
「じゃあ私の膝の上来る?」
「……行く」
気がつけば2人の膝の上を行ったり来たり。そしてほぼまる2日食べていなかったのもあって、半分でごちそうさま。朝は元気になったんだけどな。
ちなみに熱は全然下がらず38.8度。
「明日の朝下がってなかったら、もう1回病院行こうな」
「えー……」
嫌なので、根性で治すことにした。
水飲んだら治るよね!
あと美英さんに、綿貫さんの詳細を聞きたかったが、熱が上がるからと佑樹さんから禁止命令が出た。ちゃっかり美英さんも、口の前に小さく手でバッテンつくってるし。
「でもどこまでが夢なのか聞きたいじゃん!」
「今すぐ病院行くか?点滴しながらでいいならどうぞ」
と、恐ろしい笑顔で言われたので諦めた。
暇すぎる時間のせいで、再び妄想開始。これって熱だから?それとも私の性格が原因?
そして夜中。やっぱり薬が切れると熱は上がり、喘息も悪化。イラついて吸入を叩きつけたら、カバーが破損。
「椿、流石にやりすぎだ」
「……グスンッ、だって治らないんだもん」
「わかったわかった」
自分でも感情をコントロールできず、子どものようにわがままを言いまくり、泣いた。
泣いて、泣いて、泣いて……。
「下がってなーいー!」
朝起きると38.0。熱があることには代わりない……と怒られた。佑樹さん現場へ行かなければならず、1人でも大丈夫だと言ったけど、絶対にダメだとそのまま病院へ送還。
『めちゃくちゃ心配しました。佐藤さんが無事で何よりです。熱は下がりましたか?』
点滴を受けながら、1人で号泣。
熱は下がってないし、綿貫さん怒ってるかもしれないし、今の私が無事なのかもわからないし。
友達になりたいとか、あわよくば彼女にって言ったから?映画館で運使い果たしちゃった?
これってまた1から徳を貯めたら、会えたりするの?
その後入院は免れたが、今度はお兄ちゃんがお迎えに来ることになった。




