52.夜中の不安
あつい……さむい……あつい!
待って、ここどこ?私の家じゃないんだけど……拉致!?
いや、まさか綿貫さんの家……なんて夢オチはないもんね。
え、どこからどこまでが夢?薬盛られた?
大輝さんと病院行ったのは多分そうだよね。入り口で車から降りて……で?
ここ病院?入院になったんだっけ?いや、入院なら書類がどこかにあるはず!
え、公園で綿貫さんに会ったのは本当になったんだっけ?嘘だったってなったんだっけ?……まさか綿貫さんって私のイマジナリーフレンド?
あ、佑樹さんが迎えにきてくれたのか。病院に?
なんかあつかったけど、なんか寒くなってきた。
しかも待って、私なんで1人なの?やっぱり拉致?でも足枷とかないもんね。とりあえず毛布かぶって顔隠そうか。
ドアは……開いた!
キィー
「ん?起きた?」
「ゆ、佑樹さん……そこで何してるの?」
頭まで被ってた毛布を首まで下げ、ドアの隙間から部屋を確認。捕まってる感じじゃないね。
「どうした?こっちおいで」
「ん」
足が寒い。なんか全部が悪いやつに見える。あのテレビって盗聴されてないよね?大丈夫なやつ?
「ねえ、ここどこ?」
「俺の家」
「あ、結婚したんだっけ?」
「去年な。忘れたか?」
なんだ!ここ佑樹さんの新居か!
そうだそうだ、私がイギリスに行くタイミングで籍を入れたんだった。
待って?新居祝い持ってきてないよ。というか買わなきゃいけないことも忘れてた。何がいいんだろう?美英さんに聞いた方がいい?
あー、その前に喉がイガイガするし、体が痛い。
「お、5時間経ったか。椿、薬飲みな」
「んー、ヤダ」
「吸入も、ほら」
「えー、ヤダ」
うがいするのだるいからしない!私がしないと決めたらやらない!
でも立ってるの意外としんどいかも。
しゃがみ込んで毛布に包まったら、なんか落ち着いてきた。もうここに住もうか。
「椿ダメダメ、起きなさい」
「やだー、もうここに住む!引越ししない!私が大丈夫にしたから大丈夫!」
「わかったわかった。とりあえず熱測ってくれ」
最大限の譲歩として、体温計を脇に挟み、床に転がる。
新しい家、結構いい感じじゃん!美英さんのセンスだろうな。
ピピピッ
えいっ!
「投げません。そんで39.2 度、下がってません」
「ん?いけるいける」
「いけない、いけない。美英呼ぼうか?」
「なんで?ねえ、今何時?ここ夢?」
「深夜2時過ぎだな。もう寝なさい」
夢の中にいるけど、今から寝るの?そうなると現実で起きるってことかな。え、難しいな。
哲学の始まりってこんな感じかな。
「ほら、寝室まで送るから」
「や、やだ!あっち行くの!?」
「ベッドで寝なさいよ」
「やだ!もう帰る!ここに住むの!引っ越すなら綿貫さんの家がいい!」
夢の中だしわがままでもいいよね?夢の中ぐらい夢見たいし、見ることにした!
「じゃあここ座る?」
「……座らない。グズンッ」
膝の間をポンポンする佑樹さん。私は床に座って、毛布にくるまった。
「おいで」
「……私そこに行けないもん。わーん、グズンッ」
そうだ、まだ嫌われちゃうかもしれない。
「うわっ」
包まった毛布ごと抱き抱えられ、そのまま佑樹さんの膝の間に固定された。
「ねえ……重い?もうここにいられない?」
「いや、お前は体重もっと増やせ。子どもの時と変わってないだろ」
「そんなことないよ。身長も160cm届いたし」
「はいはい、おやすみ」
そうやってすぐ背中さするのやめてほしい。
寝ちゃうじゃん。
え、これも夢?
私ちゃんと帰るところあるのかな。
また施設だったらやだなー。
あわよくば綿貫さんの家だったりしないかなー?




