魔王征伐
魔王の正体
ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。今はとりあえず四天王戦も終わり、魔王が土の壁から這い出してくるのを待つばかりです。
「…やばい。シュテル様、今更緊張してきました」
「大丈夫。俺たちがいる」
「心配するな、大丈夫だ」
「メグ姉さまでも緊張するんですね!」
「ノル?それはどういう意味かしら?」
「ふふ、緊張解れましたか?」
「…ええ、ありがとう。ノル」
どうやらノルに気を遣わせてしまったようです。
「…すみません、そろそろ魔王が来そうです」
「はい!」
ということで急遽戦闘態勢に入ります。
「ノルは姉姫さまをお願い!姉姫さまは闇の魔力で魔王への攻撃をお願いします!シュテル様は私と姉姫さまの援護をお願いします!ソルセルリーとソルシエールさんは援護射撃をお願いします!私は聖剣で魔王を斬り伏せます!」
「大丈夫、心得ています!」
「任せてちょうだい!」
「頑張りますよー!」
「お師匠様のかっこいいところを見せてやろう」
「我が婚約者のためならば」
魔王が土の壁から這い出してきました。
「姉姫さま!」
「わかったわ!闇の力よ!彼の者を攻撃せよ!」
姉姫さまが詠唱して攻撃します。…が、あんまり効いていません。てか魔王でかいな!流石か!そして魔王の雷攻撃がきます。…避けるのがやっととかやばい!
「…ソルセルリー、ソルシエールさん、どうにか魔王の動きを封じてください!」
無茶振りなのはわかっているけれども!無茶振りなのはわかっているけれども!
「任せてください!」
「…っ!やってやる!」
ソルセルリーが氷の檻を作り魔王を閉じ込めます。ソルシエールさんは魔力の障壁を作ってくれます。
「ファン!背中に乗せて!」
「クエー!」
「ありがとう!」
「クエー!」
「ファン、わかってるよ」
「クエー、クエー」
「はーい!…じゃあ失礼します!」
ファンが背中に乗せてくれます。これで…!檻に閉じ込められた魔王の真上に行きます。そしてファンから飛び降ります。
「メグ!?」
「闇の力は収縮し、光を切り捨てる剣となる。星の煌めきは闇に落ち、満ちた月は闇に隠される。受けるがいい!サントテネーブルエペ!」
空中でサントテネーブルエペの最大出力の魔力を放出しながら上から氷の檻ごと魔王を叩き切ります。いけー!
「っ…!」
「メグ!」
魔王を真っ二つにした瞬間、眩い程の光に包まれます。
ー…
「ここは…」
周りはいくら見回しても、真っ白で何もない場所。ここはどこ?
「…」
「…魔王…いや」
「…創世神、ヤハウェ様」
そこにいたのは、人と同じくらいのサイズになったヤハウェ様。そう、私達が魔王と呼んでいたのは、創世神。ヤハウェ様。
なぜそんなことになってしまったか。この世界をお造りになったヤハウェ様は、自ら人間たちに積極的に干渉し、支配し、庇護し、一方で私達人間を妬み、しかしそれでも私達人間を愛した。それが元で、自分の作品である人間達が自分の支配、庇護から離れていき、自分の足で歩くようになったのが許せなかった。だから、もう一度人間達を支配するために戦争を起こした。魔獣なんて存在まで作り出して。それでも人間達は抗った。そして神聖なる創世神を殺せる武器を作りつつ、それを扱える人間が現れるまではヤハウェ様を封印することにした。
「ヤハウェ様…」
「愛することは、罪なのだろうか」
ヤハウェ様が、私に語りかけます。
「私はお前たちが愛おしい。だから手元に置いて、大事に愛したい。それは罪なのだろうか」
「…いいえ、それ自体は罪ではありません」
「ならば何故。何故お前たちは私に剣を向ける」
「…愛することは罪ではありません。しかし、それがただの愛玩であれば、話は別です」
「…愛玩、か」
「ただ支配して、自分の都合のいいように扱うなら、それは愛玩です」
「…つまり、私はお前たちを愛していないと?」
「いいえ。きっと貴方の愛は本物です。ただ、どこかでボタンを掛け違えてしまっただけで」
ヤハウェ様の手をとって、両の手で包み込む。
「少なくとも、私にはわかります。ヤハウェ様の愛が」
「…っ!よかった…そうか、よかった…」
「ヤハウェ様。今はもう、休みましょう。貴方は少し、頑張り過ぎたのです」
「そうだな。それもいいかもしれない」
「ヤハウェ様…」
「…私は、人を愛した。お前たちもまた、私を愛してくれた頃があった。今は、お前が私の愛を受けて、愛を返してくれた。もう、十分なのだろう」
「…」
「お前たち人間には、最後までわがままに付き合わせてしまったな。すまなかった」
「いいえ、ヤハウェ様。私達人間は、貴方に愛されて幸福でした」
「そうか、それならよかった」
「…私が、後世に伝えます。貴方が魔王などではなく、創世神だったこと。私達を愛してくださったこと」
「…それは恐らく、大変だぞ」
「ええ。特にプレギエーラの民は受け入れないでしょうね」
「わかっていても、伝えてくれるか」
「ええ、もちろんです」
「そうか。ありがとう。おやすみ」
「おやすみなさい、ヤハウェ様」
「…」
また、眩い程の光に包まれます。
ー…
「…」
「メグ!気が付いたんだな!」
シュテル様が私を抱き締めます。
「魔王を斬り伏せた後、目覚めないから心配したんだ」
「シュテル様…そのことなんですけど…」
「どうした?」
「実は…」
私は、ヤハウェ様のことを話しました。
「…なるほど」
「それを世間に発表して、後世に残すというのは大変だぞ」
「うん」
「まあ、私達が手伝えばなんとかなるでしょう」
「…!はい!」
「メグ、教えてくれてありがとう」
「はい」
「まずは魔力を回復するか」
「そうですね」
「妖精よ、彼らに祝福を!」
「よし、これで大丈夫だろう」
「とりあえず今日は帰って休もう。疲れた」
「僕はもうヘトヘトです…」
「実は私もよ」
「私もです!」
そうして私達は、それぞれ転移魔法で家に帰るのでした。
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