プレギエーラ
美と食と宗教の街
ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。昨日は山で野宿でした。今日は山を越えてプレギエーラに向かいます!
「聖剣プレギエーラにないかなぁ」
「あそこは結構宗教的なモノが集まりやすいからな。可能性はあるな」
「でも今までプレギエーラに行った時はなかったんだよね?」
「そうだな」
「…プレギエーラの後はどこに向かうの?」
「…ソルシエール」
「あー、魔女の集落かぁ」
ソルシエールは大陸では有名な魔女の集落。魔女が身を寄せ合って暮らす集落です。将来魔法使いになる男の子も、成人するまではそこで暮らせる。魔女や魔法使いにとっては一番安心できる集落です。
「あそこには世話になったし、信頼出来る奴も多い。…同じ孤児院で育った奴もいるし」
「そっかー。そしたら安心だね」
「ん。…村長は、院長によく似てるしな」
「そうなの?」
「ん。見た目はともかく、性格は良く似てる」
…私がパパとソルセルリーを重ねるみたいに、ソルセルリーも院長さんと村長さんを重ねているのかな。
「そっかー。じゃあ魔力持ちの子供をそこに連れて行くためにも、はやく山を越えなきゃね」
「ん」
ー…
陽が沈む頃、やっと山を越えました!プレギエーラです!
「とりあえず宿を取るか」
「やったー!野宿じゃない!」
「ついでにレストランで食事をとるか」
「やったー!」
ということで近くの宿屋で手続きをして、レストランで食事をします。
「…ハンバーグだぁ!久しぶり!」
「よかったな」
「いただきます!」
「いただきます」
ということで私はハンバーグ、ソルセルリーはステーキを食べます。
「美味しー!」
「ん。美味いな。さすがはプレギエーラ」
プレギエーラは規模は小さいけれど、美と食と宗教では大陸一なのです。
「はぁー、幸せ」
「本当に美味そうに食うな」
ー…
美味しいご飯を食べた後、宿屋に向かいます。
「でも、魔力持ちの子供をどうやって見つけるの?」
「まあ見てろ」
ソルセルリーはそういうと何事も無かったかのように歩き出します。
「?」
と、歩いていたその時、痩せ細った男の子が後ろからぶつかってきます。十二歳くらいかな?どうしたんだろう?
「…っ!」
男の子はそのまま謝りもせずに逃げるように路地裏の方へ走っていきます。が、ソルセルリーが詠唱するとその子の動きが止まります。え?ソルセルリーが詠唱!?無詠唱じゃなくて!?なんで!?
「おいガキ、その財布こいつに返せ」
男の子は渋々といった感じで私に財布を返してくれます。え?いつの間に?
「お前、魔力持ちだな」
あ、そういうこと!?まあ、この国では特に魔力持ちへの迫害がすごいみたいだし、こうするしか食べて行く方法がないのかな…。
「お前こそ魔法使いだろ!?」
「そうだ」
「一体俺になにするつもりだよ!」
男の子は威嚇してきますが、なんか拾われたての捨て犬みたいです。そんなに怖がらなくてもいいのに。
「保護しにきた」
「…は?」
「保護しにきた。明日ソルシエールに連れて行く」
「…え、ソルシエールってあの?」
「そうだよ!」
魔法で碌に動けない男の子の頭を撫でます。
「じゃあ、え、俺を奴隷にするんじゃなくて、助けてくれるのか…?」
「ん」
「だって俺、そのお姉さんから財布を取ったのに?」
「ん」
「気にしなくていいよ!返してくれたし。でも、これからはもうやっちゃダメだよ?」
男の子はしばらく驚いたような表情で硬直します。
「…とりあえず、今日は俺たちと一緒に宿に泊まれ。ああ、その前に腹拵えするか?何が食べたい。さっきのレストランにでも行くか」
「そうだねー!私デザートもう一回食べたい!」
「あんまり食べ過ぎて吐くなよ」
「もう!私は牛じゃないんだから!」
「…本当に、助けてくれるのか?」
「?うん、そうだよ?」
「ん。それがどうかしたか」
「じゃあ、じゃあ!俺の仲間を助けてくれ!」
「…そいつらも魔力持ちか?」
「全員魔力持ち!でも一人だけ、病気の奴がいて…俺たちじゃ治せなくて…」
「そうなんだ…」
「わかった。案内しろ」
「…うん!」
体が自由になった男の子は、すぐに路地裏に案内してくれます。しばらく歩くと、痩せ細った子供達男女三人が女の子一人を囲んで心配そうに見つめています。
「…エタンセル!…!?」
エタンセルと呼ばれた男の子の姿を見て安心した表情を見せた一人の女の子。しかし私達の姿を目にして警戒します。
「貴方達、誰!?エタンセルに何をしたの!」
すると男の子二人も木の棒を持って必死に後ろの女の子二人を守ろうとします。
「エタンセル、魔法使いに捕まったのか!?」
「エタンセルを解放しろ!」
なんだかとんでもない方向に勘違いされています。
「…面倒くさい」
「まあまあ、誤解を解こう?」
「誤解ってなんだよ!」
その時、エタンセル君が一歩前へ出ます。
「違うんだ!この人たちはエクレールを助けてくれるんだ!」
エタンセル君がそういうと、みんながびっくりした表情になり、次の瞬間には笑顔になります。
「やっとお金が貯まったのね!」
「治療術師様!魔法使いと誤解してごめんなさい!エクレールを助けて!」
「誤解じゃない。俺は魔法使いだ。でも、助けてやる」
「え?」
ソルセルリーはエクレールと呼ばれたぐったりしている女の子を見て、水魔法で体内を浄化します。するとエクレールちゃんは目を覚まします。
「あれ?」
「エクレール!」
みんながエクレールちゃんに駆け寄ります。エクレールちゃんは何が何だかわからない様子です。
「もう大丈夫なの?」
「毎日水魔法で浄化して飯食って体力つければ回復する」
「そっかー、よかった!」
「魔法使いさん!ありがとう!」
「ありがとう!」
「お礼がしたいんですけど、どうしたらいいですか?」
「俺たち、こんなんだから何も持ってなくて…」
「…お礼はいらない。俺はお前たちを保護しにきた」
「え?」
「ソルシエールに連れて行ってくれるんだって!」
「嘘!?」
「本当に!?」
「ああ、そうだ。俺はソルセルリー・アストロロジー。こっちのちんちくりんはメグだ」
「ちんちくりんじゃないもん!」
「えっと、俺はエタンセルです、よろしくお願いします」
「私はエクレールです、危ないところを助けてくださってありがとうございます」
「僕はルフレ!よろしく!」
「私はサンティエ!誤解してごめんなさい。よろしくお願いします!」
「僕はルミエール。よろしくお願いします」
とりあえず自己紹介も終わり、水魔法でみんなの体を清めて、あらかじめ用意しておいた子供服を着せてレストランに行きました。
「わあ!久しぶりのオムライス!」
「旗持って帰ろ!」
「美味しい!」
「エクレール、美味いか?」
「うん、ありがとう、エタンセル!」
みんな仲良しで何よりです。
そして宿に戻り、金貨を払って子供達と一緒に大部屋へ移動してみんなでお泊りします。みんなに同意を取り、みんなが引ったくりしたお金や物を元の持ち主のところに転移させました。その後みんなで一緒に寝ます。おやすみなさい。
でも魔力持ちには厳しい街




