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BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
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決戦前夜

切れ長の細い目は剣より鋭く感じる、侯爵家の後継ぎにして父親は執政を預かる国務長官の要職にある。


黒龍騎士団団長アルセイス・アスティア・アグシス武神将は副団首であるガウス・ヴォーフェミア准将から報告を受けて、毅然(きぜん)(たたず)む姿は威厳があり緊張を生む。


「リュギィ・コネル千竜騎士長、ブリッシュ・アンツ千竜騎士長!!」


「「はっ!!」」


騎士の礼を取り、アルセイス団長の前に(ひざまず)く歴戦の千竜騎士長2名。


アルセイスはいつもと変わらず低い静かな声で


「命令を守らず、勝手に軍を移動させたのは事実か」


「「事実であります。」」


両名共に、声が揃う。


「わかった。両名を現時刻より、千竜騎士長の任を解く、後任は各副官が代理を務めよ」

アルセイスはどんな時も変わらない。


「「はっ!」」


両名も変わらず、はっきりと返事をする。


「以後、両名は一兵卒として、(いくさ)に参加せよ。」


言い捨て、アルセイスは身体を(ひるがえ)して、歩き去る。


ガウス准将は遠のく団長を見送った後、その場に残りリュギィとブリッシュに優しく語り掛ける。


「俺の立場では、報告しない訳にはいかんよ。」


リュギィ達は

「軍記違反をしたのは事実です。仕方ありません。」


ガウス准将は「ふぅ~」と息を吐き出し


「おまえら、悪い事をしたとは思ってないだろう」


ブリッシュが答える

「あの少女を救いたい、その力が私達にはありました。処罰は当然ながら、後悔はしておりません。」


小さな声で

「副団長にはご迷惑をおかけいたしますが、、、」


「まったくだよ~俺がストレスで禿()げたら、お前らも髪の毛むしってやるからな」

冗談交じりにガウス准将は処罰された両名を(はげ)ます。



っと、そこに、、、


真っ赤な髪で長身のランガード武神将がズカズカやってくる。


ガウス准将始めリュギィ、ブリッシュは胸に手を当て礼を取る。


俺は返礼もせず「内のリンの部隊を助けるために、処罰されたってな」「すまねぇな、感謝するぜ」右手を差し出し、握手を求める炎の軍神。


逆に驚愕する3人。


武神将閣下が、自分の部下を救ってもらったことを感謝しにわざわざ出向いてくるなんて事はあり得ない事だ。


まして、千竜騎士長の任を解かれたことを詫びる武神将などこれまでにいなかった。


武神将とは帝国騎士団の誇り、象徴、力の根源。


(いくさ)ともなれば部下を戦地に(おもむ)かせねばならず、戦地で戦えば死者も出る。


仲良しこよしで、(こな)せる職務ではないのだ。


それをランガード武神将は他団の自分達にまで気にかけてくれる。


しっかりと握手を交わし、目と目を合わせ友好を交わす3人。


轟炎の覇者は豪快に笑いながら

「なんか、困ったことがったら俺を頼ってくれ」


リュギィが笑みを返しながら

「黒龍騎士団をクビになったら、是非不死鳥騎士団で雇って下さい。」


「そんな事ならいつでも構わねぇよ、ただあの鉄仮面が許してくれるとは思えねぇがな」ランガード武神将は3人の肩を叩きながら自軍の陣地に帰っていく。



皇太子軍本陣では、現状報告がオーガス・ビスマルク武神将より行われていた。


「皇帝陛下は帝国軍全軍、各領主軍、貴族が持つ私兵迄も徴収なさり、此度(こたび)戦役(せんえき)にアースウェイグ帝国の威信(いしん)をかけ(いど)まれるご覚悟でございます。」


リスティアード皇太子殿下は冷めた声で

「それで?」


オーガス・ビスマルク武神将は少し戸惑い

「先発しました、我等以外に金獅子近衛騎士団以外の全軍帝国騎士団が間も無く、現地に到着いたします。」


リスティアード皇太子殿下は更に

「その他には?」


オーガス・ビスマルク武神将はハッと思いつき


「皇帝陛下はリスティアード皇太子殿下の(げん)を直ぐに実行なされなかったことを悔やんでおりました。」


リスティアードはやっと、(ほが)らかな顔に戻り


「そう、それじゃ皆を呼んで軍議に入ろう」


オーガス・ビスマルク武神将は内心ホッとしながら

(大規模すぎる親子喧嘩ってわけか、、、正直勘弁してほしいな、、、)




各武神将、准将が皇太子軍本陣に集まり、軍議が始まる。


当然、ヴァルゴ国軍を見張る偵察隊は全方位に出しており、ゼレイヤ黒魔術王国に対しても、結界を張り各騎士団百竜騎士長以上が警戒に当たっていた。


オーガス・ビスマルク武神将が説明を始める。

「アースウェイグ帝国軍は間もなく、帝国騎士団全軍総勢六万八千名が揃います。」


「その他に、各兵士団、警備団、領主軍が近隣に待機しており、いつでも40万以上の兵力は集める事が可能です。」


黄金の皇太子が割って入る

「この戦いに【帝国騎士】以外の兵力は投入しない、ヴァルゴ国軍の装備には帝国騎士以外の人間は対抗できない。」


損耗(そんもう)を増やすだけだ。」


「間も無く、陽がくれる。今日の戦闘はここまでだろう」


「あるとしたら、ゼレイヤ黒魔術王国の夜襲に備える事ぐらいだね」


「明日、陽が昇ったら決戦となるだろう」


「陣形は黒龍騎士団、不死鳥騎士団を前衛とした楔型(くさびがた)陣形とする。僕も先陣に加わる。」


「残りの騎士団の陣形はオーガス・ビスマルク武神将とタカツ・ブルワルク武神将で決めて報告して下さい。」


「最後にバングル典雅文明国 歌人ベルファム・ソーンは名を(あらた)めベルファムとし、客将(・・)扱いで僕の近習に向かえるから」


「以上」


一方的に指示して、会議を終了させた黄金の貴公子。


皇太子軍に始めから、参戦してくれた黒龍騎士団と不死鳥騎士団の帝国騎士を早く休ませてやりたいが為のリスティアードなりの思いやりである。


特に今日、活躍した、アルセイス武神将とランガード武神将の無尽蔵ともいえる真甦を回復させなければ、明日の勝利はないと最強の皇太子は考えていた。


続々と集結する、帝国各騎士団。

采配支持するのはオーガス・ビスマルク武神将である。


夜襲警備、周辺偵察も全て、銀鷲騎士団が担当した。


リスティアード皇太子はレィリアを伴い、パヴロ聖王国 聖王女ルリビアの所にいた。


ルリビアは横になっていたが、意識は戻っていた。


「ルリビア聖王女、ご様子は如何ですか?」


優しく優しく語り掛ける、リスティアード皇太子。


ルリビアはパッと表情を明るくして、体を起こす。


「リスティアード皇太子殿下、お助け頂き誠にありがとうございます。」


今にも抱き着かんばかりの勢いであったが、さすがは一国の王女、自らを自制して(ほが)らかに笑みを返す。


「戦時中に付き、いろいろご不便をかける事もあろうかと思いますが、ご容赦ください」

優雅にそして更に(おだ)やかに優し気に語る黄金の王子。


ルビリア聖王女の目から自然に清き涙が次から次に(あふ)れてくる。


そっと手を握り、安心させる為、(わず)かに本人が気付かないくらい真甦を注ぎ込む。


落ち着いてくる聖王女、、、


「明朝、決戦です。パヴロ聖王国を取り戻し、亡くなられた国王陛下並びに王妃陛下のご無念は、必ずおはらし致します。」


リスティアード皇太子殿下は聖王女の手を握りながら決意を込め言う。


「ありがとうございます。皇太子殿下のご恩に報いるのに今の私には何もありません、、、」


ルビリア聖王女は悲し気に語る。


「ルビリア聖王女、それでは私と友達になっていただけませんか?」


「はい?」


戸惑いながら、聖王女は恥じらう、、、


「私は友人の苦難を黙って見ている事は致しません。私の友人になるという事は悪さをすれば、罰しに行き、困っている時は己の事の様にお助け致します。」


リスティアード皇太子は真甦を流し込みながら、聖王女の目を真っすぐ見つめ言う。


「まぁ、何とご立派なお考えでございますでしょう」


「実は、半分は私の友人に言われた受け売りなんですけどね」


レィリアは(あの赤い猿の影響だわ、、、)と密かに思う。


「それでは、友人になっていただけますかルビリア聖王女」


にこりと微笑み


「ええ、よろこんで」


と答え頬を赤く染める。ルビリアだった。


その頃、ランガードは腹いっぱい、ご飯を食べてぐぅぐぅ寝息を立て寝ていた。


隣にはリューイが准将に昇格してからずっと、しているように短剣を胸に抱き、すやすやと寝ていた。


いつでも、(あるじ)を守れるようにと、、、


夜は更けていく、、、決戦に備えて、、、

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