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BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
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炎元郷での絆

新たな思いで朝を迎えるランガード、一生を左右する出来事が起こる。

驚愕(きょうがく)の事実を聞いたリューイとメイラはその日は興奮冷めやらず、なかなか眠れなかった。


約一名を除いて、、、、


次の日の早朝、ランガードは一人寝床より起き上がり、まだ皆寝てる炎元郷中央広場の木で作られた椅子に座って深く深く考えていた。


30分も思考を続けていると、朝日が昇り始めた。

炎元郷の女性達も朝食の準備に起きだす者もいた。


ランガードを見て、何人かの女性からは微笑みながら「おはようございます」とか「お早いですね」などと挨拶された。


いつの間にか、俺の隣にリスティアード皇太子が座っていた。

何の気配も感じず、自然にそこに彼は居た。


二人はお互いに何も喋らず、ただ、そこに共に座っていた。


時が止まったようであった。二人を見ては会釈していく【火の民】の女性達、でも二人の間の時間は静かに動かず止まったようだった。


陽は登り、男衆もちらほら広場に出て来る様になった頃合い。


1時間程も黙ったまま二人で座っていた沈黙を、突然にランガードが破り話し始める。

「大将の正義は俺の正義と同じか?」


リスティアード四海聖竜王は即答せず、少し思考してそして静かに確信を持って話し始める。

「昨日話した通りだよ。君の正義と僕の正義は変わらない」

「今もこれからもね、だから君は君の信ずる正義を(つらぬ)けばいい」

「真甦はね嘘を付けない。君の真甦は熱く激しいけど、とても優しく真っすぐだ。過去でも君と僕は大親友だったんだ、よくケンカもしたけどね、、、」


「唯一、真甦の中で嘘を付ける真甦が【魔の真甦】なんだよ、だからウルグスの裏切りに誰も気付けなかった。」


ランガードはずっと考えていた事を言葉にした。

「わかった!」

「今日から、俺の剣は大将の一振りの剣となるぜ。」


リスティアードがまたもや少し間をおいて、静かにそして威厳のある声で

「いいのかい?」


「ああ、大将の真甦を貰って、俺の心がそうしろと言ってるみてぇなんだ」


リスティアード四海聖竜王は変わらず静かに語る。

「そう、では誉武号牙炎(よぶごうがえん)を出して」


(来い)

(応)


2メートルの聖剣がランガードの右手に現れる。


リスティアード四海聖竜王が「剣の柄を僕に向けて、差し出してくれる?」


俺は「牙炎は俺以外の奴には扱えねぇと、、、」


優しく静かに四海聖竜王は微笑みながら「大丈夫だよ」と言った。


言われたように剣の柄をリスティアード四海聖竜王に向け差し出すー


ー不思議と自然に体が勝手に右膝を地面につき、左膝を90度に立て、騎士の礼を取るー


流れるような所作であった。特別意識してやった訳ではなく自然にそして流れるような美しい仕草で、右膝を地面に付き牙炎の柄を差し出す姿はとても絵になる伝説の一齣(ひとこま)のような美しい姿であった。


行きかう【火の民】の村人たちが皆、二人の姿に見惚れて自分のやるべき仕事もほったらかしにして、立ち止まり手を合わせ何故だかわからないが皆、目が潤む、、、


そして、皆ランガードと同じように自然に膝まづく。


ある者は洗濯物を持ったまま、

ある者は朝食の鍋を持ったまま、

ある者は畑に野菜を取りに鎌を握ったまま、

またある者は寝巻のまま、、、


皆が二人の姿を見て同様に(ひざまず)いた。


リスティアード四海聖竜王は誉武号牙炎(よぶごうがえん)の差し出された柄を握り,ランガードより牙炎を受け取る。(ランガードが驚きの表情を示す。)


2メートルを超す刃渡りのある聖剣牙炎を真上に向け刃に口付けをする。なんと(さま)になる姿だろうか、2メートルある長身に同じ長さの剣を押し頂き、刃に口付けをする動作が、神々(こうごう)しいまでに自然で威厳が漂う姿に移っていた。


リスティアード四海聖竜王は右手に持った聖剣牙炎で自分の左手を軽く切りつける。


血が牙炎の刃をしたたり落ちる。


「牙炎は僕の血を吸った。僕が君から見て【悪】に落ちたり君と僕の正義が違う形になったら、君は僕の事を殺せばいい。」


「君は僕を殺せる唯一の存在になった。」


すっと、流れるような動きで牙炎の柄をランガードに向けて2メートルを超す刃を自分の左胸に当てて差し出す。


このまま、自分を突いて殺しても構わないという意思表示だった。


ランガードは少しも迷わず、牙炎の柄を握り(戻れ)と念じる。聖剣は(応)と答え、掻き消える。


「俺が大将を殺さなければならない時がもし来たら、俺も一緒に死んでやるから安心しな」


「うん、ありがとう」

とリスティアード四海聖竜王は答え、二人の間にはこれまで感じた事も無い程の絆が結ばれた事を心が感じていた。


ランガードが立ち上がると周りは【火の民】の村人で埋め尽くされていた。


そして皆同様に(ひざまず)き、男も女も老人も子供も涙を流していた。

本人たちにも正確な理由はわかなかったが、リスティアード四海聖竜王と【火の民】族長ランガード二人の姿に胸を打たれたのだろう、、、


そこにいつの間にか目覚めた、リューイとメイラが声を掛けてくる。

「族長おめでとうございます。」「ランさんとても素晴らしいです。」


流浪の人生を続けてきた、嵐・守護(らん・がーど)がランガードとしてリスティアード四海聖竜王と共に大陸中を暴れまわる始まりが、今ここ炎元郷で結ばれた。


炎元郷は沸き立ち、興奮した【火の民】が大声で喝采(かっさい)を浴びせてきた。


「アースウェイグ帝国万歳!!」


「リスティアード皇太子殿下万歳!!」


「族長ランガード万歳!!」


炎元郷の火山が噴火してしまうのではないかと言うくらい物凄い怒涛(どとう)の如き、叫び声だった。


リスティアード四海聖竜王は静かに堂々と(たたず)んでおり、俺は内心、生まれ変わった赤子のような感覚で、嬉しくて嬉しくてしょうがなかった。外面は堂々としていたつもりだが、、、、


まぁ、身長195センチのランガードと2メートルのリスティアード皇太子殿下が並び立って喝采を受けている様はまるで軍神がこの世を守る姿を具現化したような、一生瞳に焼き付き、神話の一場面の様な絵姿であった。


ー場所は変わり帝都アーセサス 黒龍騎士団居城最上階にミハム・アストネージュはアルセイス・アスティア・アグシス黒龍騎士団団長と共にいた。


扉には20人ばかりの黒龍騎士団帝国騎士、しかも鎧や肩証、外套(がいとう)から見るに千竜騎士長以上の人達だ。


ミハムは不安になっていた。

「アルセイス卿、一体どうしたんですか?何か僕悪い事でもしましたか?」

相変わらずこんな時でもハキハキと喋るミハムだ。


アルセイスは静かにそして低い声で「あくまでも備えでありますれば、ご心配無用です。」


そこにレィリアが入ってきた。


「レィリア姉様!」ミハムは嬉しそうに自慢の姉に声を掛け、飛びついてくる。


レィリアはミハムを受け止めきつく抱きしめる。

「大丈夫ですよ、何も心配はいりませんよ。ちょっと、出歩けなくて不便を掛けますが、少しの間、我慢してね」


「うん、わかった、姉様も一緒に居てくれますか?」


レィリアはとても美しい顔で微笑みながら「ええ、共におりますよ」と言って、アルセイスに視線を合わせて首をクィッと振る。


2人は部屋のはじに行き小声で話し合っていた。

アルセイスが尋ねる「殿下の護衛はどうした?」


レィリアが小声だがドスの利いた迫力のある声で

「逃げやがった」


アルセイス「・・・・・」


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