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BU・SI・N・SYO  作者: イ-401号
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族長万歳

戦いは【火の民】の勝利で終結した。そこに隠れていた陰謀を暴くが、嵐・守護ラン・ガードは新族長として、炎元郷に凱旋すると決めた。

ヴォルグス砦の兵士の救出、治癒治療は夜通し行われた。


砦の周辺には沢山の松明がたかれ、夜なのに赤々と砦の壁を照らしていた。


嵐・守護(らん・がーど)は砦内を見回りながら、竜・威(りゅう・い)と話し合っている。

竜・威(りゅう・い)が報告してくる。

「近くの村々を警戒させていた者達からの報告ですが、敵の敗残兵はほぼ壊滅しました。」


「一部、数百名が国境を越え、隣国ジャシス王国へ逃亡したようです。」


俺は確認した。

「国境警備隊はどうした?」


「何もせず、通過させたそうです。」


俺は沈黙して思考した。

「・・・・」


「わかった、捕虜の尋問だ」


竜・威(りゅう・い)が即応してくるのが心地よい。

「連兵場に15名ほど縛って拘束してます。」


「向かうぞ!」


連兵場ではすすや埃で薄汚れて、捕縛(ほばく)される時に抵抗したせいか怪我(けが)をした者達が、後ろ手に縄をきつく縛られ座らされていた。


敵の指揮官、隊長らしい男たちが一斉に嵐・守護(らん・がーど))が近づいてくると怯えた表情で見つめる。


「ほ、炎の悪魔だ、、、」


おそらく(らん)の正門での戦いを見ていたか知っているのだろう。


そこにロリーデ城主がビル・ヘイム卿を連れてやってくる。


俺はロリーデ城主に声をかける。

「こんな夜中まで、起きていて大丈夫なのか?」


「なんのまだまだ若い者には負けませんよ」


俺は心の中でつぶやいた。

(おっさんになると大抵そういうこと言うよな、、、)

「ロリーデのおっさんは元近衛騎士だろ、この捕虜の中に知ってる奴はいないか?」


ロリーデが捕虜たちの顔を見回す。


一人の捕虜に近ずく

「そなた、たしか皇弟殿下の騎士団におったな、、、」


「宮廷でたしか、名は、、、そうだブルガスだ!」


「し、知らぬ」


「いや間違いない、儂の甥と同じ名前なのでよく覚えておる。」


(らん)胡乱(うろん)げな目つきで全員を見渡す。

「そいつはアースウェイグ帝国の人間だろうが、こっちのは異国人だな!」


「ジャシス王国か?」


ロリーデがびっくりする。

「皇弟騎士団とジャシス国?どういう事です?」


「こいつに聞きゃ、すぐわかるさ」

獰猛な目つきで睨みつける。

「一生残る火傷を顔中につけてやろうか?」


(らん)が掌から炎を出し、捕虜の顔に近づける。


捕虜の顔から大量の汗がしたたり落ちる。


「しゃ、しゃべる、しゃべるから許してくれ」


俺は獰猛な目付きで

「早く言え」


「あ、アースウェイグ帝国の高弟殿下よりジャシス国国王陛下宛に密使があった。」


「国境を素通りさせるから、皇弟騎士団と合流してヴォルグス砦を落とせと、、、」


「そうすれば、アースウェイグ帝国領内東南部を割譲(かつじょう)すると申し出があった」


「見返りに皇弟殿下が皇帝になる時には後ろ盾になるという事だ」


「「「「!!」」」」


「そ、それは謀反(むほん)ですな」


さすがのロリーデ城主も【皇弟】が反逆に与していると聞かされ動揺していた。


「おりゃ、宮廷内の事とか全く知らんし、わかろうとも思わねぇんだけどな、先日のミハム襲撃もその皇弟とやらが係わってんじゃねぇのか?」


「皇帝継承権第1位はリスティアード皇太子殿下です。」


「高弟殿下は継承権第2位、、、」


「レィリア・アストネージュ武神将は皇太子殿下の側近中の側近。その弟君がもし殺されたら、、、」


俺はぶっきらぼうに関心なく

「こっから先はおっさんの仕事だな」


「明日には援軍も来るだろうから、援軍が来たら俺達は引き上げるわ」


「こいつらは証人として、連れて行けばいい」


「自決せぬよう口を縛っておいた方がいいぜ」


ロリーデが心を込めて

「感謝する嵐・守護(らん・がーど)殿」


そして数時間後、太陽が東に浮かび上がる。


嵐・守護(らん・がーど)が隣にいる竜・威(りゅう・い)に向かって話しかける。


「手が離せない者以外の【火の民】を全員正門外側に集めてくんねぇか?」


「わかりました。30分後でよろしいですか?」


「ああ、それで頼む」


30分後


【火の民】約1500名が正門外側に集まっていた。


前列に紅蓮の戦士5柱の5人が並んでいた。


嵐・守護(らん・がーど)は自然に語り始めた。


「俺は生まれも育ちも知らねぇ、傭兵だ」


「そんな俺について来てくれて心から感謝する。おかげで俺の友人達を助ける事が出来た。」


「今回の戦い【火の民】紅蓮の戦士達はすげぇ強くて優秀だった」


「お前たちがいなかったら、俺の大切な友人達はもっと大勢死んでいただろう」


「俺は俺の正義を通して、守るべく者を守りたいだけなんだ」


「全世界を平和にしたいなんて、これっぽっちも思っちゃいねぇ、せめて俺と関わりのあった者達、俺の周りの奴らを守りたい、それだけなんだ。」


「もう、大切な奴らが目の前で死んでいくのを見るのはごめんなんだ」


「だから、俺はもっともっと強くなりたい」


一呼吸おいて


「こんな俺でも、【火の民】は俺を族長として迎えてくれるのか?」


ザッ!


一歩、竜・威(りゅう・い)が前に出る。


そして、語り始める。


【誉武号牙炎(よぶごうがえん)】に選ばれた時点で、(らん)様は我らが【火の民】の族長です。」


「万一、族長にふさわしくない人物だったら私が差し違えてでも殺していたでしょう」


「しかし、あなたと共に過ごした、この数日だけでも驚くことばかりです。」


「何十万頭も竜騎馬を育ててきた、私達でも手を焼くほどの阿修羅丸をほんの数分で手名付けてしまい、愛騎となさっています。竜騎馬はうそを見破ります。悪人を自分の主とは死んでも認めません。」


「そして此度の戦」


「見事なまでの指揮と判断力、行動力でした。」


「何よりも御身を常に最前線に置き、自分の怪我や命などより、我らやヴォルグス砦の兵を心配されるご配慮、感服いたしました。」


「そして最後はあのデタラメすぎる聖剣誉武号牙炎(よぶごうがえん)の使い手としての才能です。」


「これまでの族長の中でもデタラメ過ぎます。」


「一振りで千人以上を焼き払い自然の地形までも変えてしまうそのお力を引き出せるのはこれまでで最強の族長でありましょう」


「【火の民】を代表しまして、嵐・守護(らん・がーど)様を新族長としてお迎えしとうございます。」


「俺に帰る場所をくれるっていうのか」


後ろに控えていた、【火の民】全員が声をからして、叫んでいた。


「新族長万歳!!」


嵐・守護(らん・がーど)様万歳!!」


「【火の民】に栄光あれ!!」


1500人による、喝采(かっさい)である。


中には涙を流して叫ぶ者、声をからして剣を天に突き立て叫ぶ者。


皆、徹夜の看病の疲れなどみじんも見せず、歓喜に打ち震えていた。


嵐・守護(らん・がーど)はしばし目を閉じ、感じ入ったように立ち尽くしていた。


(らん)が両手を上げ、歓声を聞き受ける。


竜・威(りゅう・い)が頃合いを見図り、大声で叫ぶ。


「ここに、【火の民】は嵐・守護(らん・がーど)様を新族長とすることを誓います。」


「皆、よいか?意見のある者は遠慮なく言ってほしい」


しばし、待つが誰も異を唱える者はいなかった。


「族長嵐・守護(らん・がーど)様、ご命令を」


「まもなくアースウェイグ帝国軍の援軍が到着するだろう、それまではこれまで通り、兵士の治療、周辺の警戒に専念してほしい」


「援軍が来たら炎元郷に凱旋だ!!」


「おおおおおおーーーーーー!!」


竜・威(りゅう・い)が後を続ける。

「皆、散会してください。まだ傷ついた人たちは苦しんでます。」


1500人の【火の民】が名残り押しそうに散会する。


嵐・守護(らん・がーど)竜・威(りゅう・い)は2人で砦内に入っていった。


すると、正門広場に、ロリーデ城主とビル・ヘイム卿と50人ばかりの兵士が片膝をつき待っていた。


ロリーデが代表して声をかけてくる。

「【火の民】新しき族長、嵐・守護(らん・がーど)殿に最初に拝謁できる喜びを心より感謝いたします。」


「また、此度のヴォルグス砦の救難に際しての【火の民】の救援重ねて感謝申し上げる。」


「「「「感謝を!」」」」


兵士達が唱和する。


嵐・守護(らん・がーど)は面食らっていた。

すかさず竜・威(りゅう・い)

「こう言う事にも慣れて下さいね」

とささやく


「あ、ああ」








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