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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第3章 少年期移住生活編
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3-36 復旧完了

 夏の上月を迎え、フーホーの収穫植え付け作業だ。これを乗り越えれば全ての畑に何かしら作物が植わってる状況になる予定だ。


例年とは違い数種類の作物を育てているが、今の所何とか作業は回っている。



 忙しくも充実した日々を過ごし始めていた頃、漸くこの区の情勢が安定してきた。元から住む者と他の区からの避難者との衝突が区内の至る所で起きていたが、それが春の終わり頃の収穫を終えた途端めっきり減った。やはり食糧事情が安定したのが大きいのだろう。

まだ家の数は足りないが元々過疎ってた区なので、家屋自体は数年来の空き家がたくさん残っていて深刻な住宅不足と言うほどではなかった。


区全体も順調な復旧が続き、襲撃前より人が増えたため広場の方が華やかになって来た。もう既に襲撃前より店屋の数は多く、襲撃後なのに襲撃前より活気があるとは喜んでいいのか微妙な気分になった。



 夏の日々を畑の世話に費やしつつも、例年とは勝手が違うため変な休みがちょくちょくできた。

始めのうちは家の修復の完成度を高めるために使ったが、それも終わり手持ち無沙汰な状況に陥った。どうやら俺はワーカーホリックのけがあるのかもしれん。母のせいか?


手持ち無沙汰な俺は最近、魔力を飛ばす練習をするようになった。

道具の準備もいらず、変則的な休みの時に練習するのがちょうどいいのだ。

2年前に気付いた体外へ魔力を出すことは随分スムーズに、また多くの量を出せるようになった。だが今の所びよぉーんと魔力が伸びるだけで未だ切り離すことには成功していない。感覚だが掌から10センチは出ていると思う。


「ふむ、雑草には効果なしか」


この飛び出す魔力をいろいろな物に当ててどういう挙動をするか観測している。今の所家の壁や石、木材、雑草に当ててきた。

今見ている雑草は昨日魔力を当てた雑草で特に枯れたりはしていない。


魔力、しいては魔素とは一体何なのか?もしくはその性質はどのような影響を周囲に及ぼすのか?

この命題を掲げ、何時かこの命題を解き明かす事を目的にデータ収集の集積を行っている訳だ。・・・本とかに書いてないかなぁ。

今度魔術関連の本も借りようと思いつつも日が流れていった。




 夏の下月を迎えたがこの区の勢いはとどまることを知らない。

家を建てる職人にその徒弟、店を開き客寄せする商人や朝採れた野菜を売る農家の人、そしてそれに群がる客。

間違いなく今この瞬間がこの区の最盛期だ。だがまるでそれは弾ける寸前のシャボン玉の様な儚い光景でもあった。


それは避難民たちが帰れる家が完成し始めたからだ。

最外区の壊滅は都市そのものの衰退に繋がるため、多くの労働者が集められ早急な復旧作業が行わた。その成果が出始めたのだ。


「あと数週間か」


統治側がタイミングを取り易くするためだろうか、避難民たちは畑に植える作物の種類が強制されていて、うちの近くで畑仕事をしている人達の作物は今週から来週中頃までに収穫を迎えるものばかりだ。

そのためそれを少し過ぎたあたりから人が減り出すだろう。既にあちらとこちらの畑を往復しながら作業している人もいるようだし、出ていくときはすっぱり消えるだろうな。

この都市の人は逞しいな・・・・



「手、止まってわよ」

おっと考え事していて手が止まっていたようだ、収穫収穫~。

そうだ、うちも今年は踏ん張りどころだったな。




 夏の下月も終わりに近づいた頃、農作業も落ち着いてきたので堆肥場の所へ来ていた。

今日からこの堆肥場を増築するのだ。少々手狭だったという事もあるが、紙作りの作業場を併設しよう考えている。まぁただ周りから見えないスペースを確保するだけだ。

そう言うのも機密保持のため倉庫でコソコソ作っていたのだが今年は倉庫を使えない。それに昨年までなら手伝いに来てくれているニック達の家の1階を借りれたのだが、今年から商売を始めたのでその手も使えない。かと言って水ものだから普通の部屋ではダメだし、浴室はさすがに狭すぎるためボツだ。洗い場や地下倉庫は公共物なため機密度が低くこれもボツだ。

そのためこの堆肥場に目を付けた。

幸い元々増築の予定はあった。襲撃のせいで延び延びになっていたが、何とか言い訳を考え増築許可をもぎ取った。


「リュートそっちを持ってくれ」

「はーい」


今回の増築はリュートという助手を得ているため役割り分担を含めて急ピッチで作業が進んでいった。





 秋。


「……ってわけさ」

「ふむふむ」


今日はお隣さんA家の手伝いに来た。

俺の予測ではトウモロコシの減産は確実だったが、実際蓋を開けてみれば例年と同程度の収穫が見込めている。

必死に種を集めたのもあるだろうが収穫倍率の差かな?それとも冬になる前に襲撃があったからトウモロコシを粉にせず取っておいた他区の家庭が多かったのだろうか?


今年の手伝いは俺だけで、お隣さん達は夏の灌漑工事は免除されてるため夏の未熟状態のトウモロコシも収穫して数量が調整されている。

今はヨークと駄弁りながら作業中だ。俺たちも作業に慣れ、成長もしたしで作業にかなり余裕があるようになった。


今話しているのは、遂にお隣さんA家でも小型管理機を導入することになったという話だ。ユルトとヨークの魔力も十分だと判断されたらしい。

ただし、まだ魔闘技ができないためしばらく2人1組で作業し、魔闘技の習得に注力する予定だそうだ。


「それで、どこのがオススメ?」


小型管理機は発明はしたが、今では何人かが生産を請け負いしだし、何タイプかに傾向が分かれている。

汎用に専用、自重か加重耕作タイプと大きく分けて2かけ2の4タイプに分類できる。俺のは汎用加重耕作タイプだな。


「魔闘技次第かな」

「魔闘技かぁ、中々上手くいかないんだよな」


魔闘技は自転車と同じで、乗れ始めたらいつでも出来るようになるんだよなぁ。教えることも難しいし、こればっかりは凡な言い方でセンスとしか言いようがない。


「まぁねぇ。でもさっきも言ったけど魔闘技次第だからね、魔闘技前提にしていないなら………」


俺のオススメを教えておいた。もちろん俺ではない。



 日も進み今度はトウモロコシの粒取りの手伝いが始まった。こちらも大分つらのか・・手の皮が厚くなったので作業効率は上昇している。


「そう言えばヨーク」

「うん?なんだ?」

「これってそのまま炒ったらどうにかなるやつ?」

今更ながらこのトウモロコシはポップコーンになるタイプだろうか?


「どうにかなる?焦げるだけだろ」

ざーんねん。


「何言ってるのよヨーク、破裂するわ」

えっ!

俺達の話を聞いてたらしいヨーク達の母親が答えてくれた。


「えっ!そうなの」

「何年トウモロコシ作ってるのよ、全く恥ずかしいわ」


ちらり


・・・ぷい


ふむ・・・・・・

でも流石はトウモロコシ農家の奥さん、いろいろな調理法を試してるな。


でもそっかぁ、ポップコーン作れるのかぁ。

ポップコーンと言えばもちろんキャラメル味だよな。・・・牛乳無いな。その前に家畜には偶蹄目も奇蹄目もいない。だからバターも無ければチーズも無い。


誰か早く家畜化してくれないかぁ。



 秋もすっかり深まり今年もラードラットの被害が出始めた。

ただ昨年が例外だっただけで例年通り大した被害は出ていない。それでも昨年の襲撃はまだ尾を引いているので、今年はどの家庭も徹底的に駆除している。うちも同様だ。


今は罠にかかった愚かなラードラットの個体を見ている。

とりあえず魔力をぶつけてみた。


キーー!キーー!


あっ、何か感じたのか反応があった。

もう1回。


キー―!キー―!


やはり。ふむふむ新たな知見だな、とりあえず魔力を感じているのは間違いなさそうだが、特に肉体に影響がでているのは見受けられないな。


この後はいつも通り売りに行った。

さて、あと何匹売ったら昨年の被害を補えるかなぁ~。




 あのラードラット襲撃の日から今日で丸1年の今日。

区の広場では襲撃から1年の区切りの慰霊祭の様な祭事が開かれた。


家、土地、そして人。あの襲撃で奪われたものは数知れず。

この世界で人は弱生物だ、だがいつまでも昨日を見ていては生きてはいけない。

明日を見るため、心に区切りをつけるため、様々な理由があるだろうが広場には多くの人が集まり祈りを捧げる。


祭事はしめやかに行われた。







そしてその日の夕食にはラードラットの肉が並んだ。


うまうま




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