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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第3章 少年期移住生活編
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3-24 農具とはいとむずかし

 夏の上月1日、俺は10歳になった。2桁になったからといって何かあるわけでもないが。



 夏の上月1週目も例年より少し忙しかったが特に何かあるわけでもなく農作業で日が過ぎ、夏の上月24日。

小麦収穫の日がやってきました。今年は畑1つ分作ったので昨年の倍だ。


そして今年は小麦に関して人を雇った。

まぁお隣さんB家だがな。

そう言うのも今お隣さんB家はちょっとヤバい状況に陥ってるのだ。

何がヤバいかと言うと労働力不足だ。


始まりは昨年の秋に話題に出た水車の話だが、あれはウソだったのだ。

ウソと言っても役人と工房の親方たちが何かしていたのは本当で、あれは水車に関することではなく灌漑工事に関することだったのが判明したのだ。


そして春の上月に御触れが出て言い渡された。

何でも第4層北区からうちの辺りを含む西区を通り、南区までの水路を拡張する都合4年の大規模工事だそうだ。

しかもこの工事は賦役なのだ。つまり強制労働だ。


そして春の下月から徴集の通達が行われた。

実際に工事をするのは夏冬の下月だけだそうだが、賦役労働者はそのどちらかに割り振られるのだ。

うちは父が兵士で、それ以外に成人男性がいないため徴集されることはないが、お隣さんA、B家はどちらも極普通の農家だ。徴集される確率は高い。


そして下月も中頃、この家屋群に通達者が現れ、通達の結果はどちらも夏の下月に徴集されることになった。

お隣さんA家は旦那さんが抜けても3人いる。痛手には変わりないが3人とも労働力としてカウントできる。

問題なのはお隣さんB家の方だ。旦那さんに抜けられると2人しかいなく、しかもあそこの奥さん今身ごもってるだよね。つまり労働力としてカウントできるのが奥さんの母親だけなのだ。


だから今、お隣さんB家の奥さんを除いた2人があちこちの家の収穫作業などを手伝いに出てて、今日はうちってところだ。

旦那さんの方は今日の収穫と後日の脱穀作業を、奥さんの母親の方は籾摺り選別の方でそれぞれ雇っている。



「今日はよろしくお願いします、ストルイトさん。あなただけが頼りです」

お隣さんB家の旦那さんの名前だ。

「今日はありがとう、ベントルさんの代わりになるよう精一杯頑張らせてもらうよ」

うちの父は不参加だ。夏になってから出勤日数が増えて、ほとんど農作業に出る日が無くなり今日も朝からいないからだ。



 後日、今度はいよいよお待ちかねの脱穀と籾摺り選別作業だ。


お待ちかねと言うのは小麦関連の農具を作ったのだ。

まぁおかげで本は買えなかったわけだがな。



 倉庫から件の農具を出してきた。


「あらウィル、それは?」

「今日のために作った道具。でも実験してないから上手くいくかは分からないけど」


今回作ったのは籾摺り機だ。

脱穀機と選別機は、脱穀機は脱穀が3工程の中で1番短時間で終わるため、選別機は送風の魔術を使えば唐箕の様な風力による選別ができる道具がそう苦労もせず出来そうで優先順位が低かったため製作していない。


「また作ったのね。はぁ、それで今度はどんなことができる道具なの?」

母の反応はぞんざいだ。織機に小型管理機3倍タイプのせいで食傷気味なのだろうか?


「籾摺りだよ。この持ち手を持って回すだけで良いんだ。上手くいけば今までよりずっと楽になると思う」

製作した籾摺り機は、籾から籾殻を杵で搗(つ)いたり棒で叩いたりして外す、つまり衝撃を与えることで籾摺りを行っていることを参考にした。

そして連続的に衝撃を与えるなら回転運動にかぎる、ということでハンドルを回すことで箱の中で羽根車が回ってその羽根に籾が当たることで籾摺りを行うようにした。

全体の形としては落ち葉掃除とかに使うブロワーの様な形に投入量を調整する漏斗を設置したイマイチ上手い表現が思いつかない仕上がりとなった。

特徴としては羽根車の回転数を上げるため摩擦車を導入していることだ。

欠点はその摩擦車は摩擦力を確保するために摩擦車の軸受に相当な負荷をかけて接する様にしていることで、早々に壊れる可能性があることだ。

次回はもう少し何とかしたい。

ゴムの様なクッション材があれば1番良いのだがそんなものはない。だから、革か内臓かコルクの様な性質の樹皮での代替案を考えている。



 今日は父もいて、脱穀作業が両親とお隣さんBさんの3人、籾摺り選別作業がリュートとフェリ、お隣さんB家の母親の3人となっている。


俺は脱穀された籾を入手し、他の人の邪魔にならない様に隅っこで実験を開始した。


「ふむ、この速度で回すとこうなるのか」


・・・・・・・・


「ふむ、この供給量はちょっと多すぎたな」


うーん、これは・・・・・・・・


回転速度と供給量の調整実験の結果は、・・・・微妙だ。いや、失敗か。

回転速度にもよるが、籾殻は確かに外れる。だが外れる率を上げようとすれば小麦が割れる率もそれなりに高くなる、という結果が示された。

多分回転数を落として循環構造を取り入れれば良くなるんだろうが、今作はそんな仕様になっていない。

更に小麦と籾殻も同一の口から排出される。これの改良もいるだろう。


今回の実験を終えた俺は籾摺り選別グループに混ざり、従来通りの方法で籾摺り選別作業を始めた。


ざんねんだ。



 大人3人での脱穀作業は2日に渡り行われ、その後粛々と籾摺り選別が数日に渡り行われた。俺は畑作業の方がメインなので先にそちらを終わらせてからの参戦だった。



来年こそは。と決意も新たなに農作業に勤しむ10歳夏のことでした。




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