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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第3章 少年期移住生活編
64/93

3-15 農具開発3

 しばらく日が経ち2週目も後半。

収穫作業も終わりいよいよ小型管理機のお披露目の日がやって来た。

本日は一家総出での畑の整備だ。



 倉庫から小型管理機を持って出てくると、


「それがウィルが作った新しい農具か」

「そうだよ」

「前見たときから思ってたが、リヤカーみたいだな」

父が俺が持って来た小型管理機を見てそう言った。今は納めやすいように耕作部をはずしてるから見ようによってはリヤカーに見えないことも無いかな。



 本日作業する畑にやって来た。

まずはお披露目という事で組み立て作業をした。

操作部に耕作部を取り付け、錘として石を乗せるだけだがな。


「石・・・・無いな」

組み立ててる途中になって気付いた。いつも5つ目の畑で実験してたから錘用の石はあらかたあちらに持って行ったんだったな。

仕方ない、土でも積むか。


少々抜かりがあったが組み立てを終え大体で方向を定めて、

「設置完了。じゃあはじめるねー」


観客に宣言し、小型管理機の牽引物体に物体前進の魔術を掛け操作レバーを持って運転を開始した。




「どうだった」

お披露目という事でとりあえず畑を1往復して感想を聞いてみた。


リュートとフェリ2人からは好評だったみたいで、きゃっきゃきゃっきゃ言いながら近づいてきて小型管理機の周りを回りだした。


両親の方はしばらく驚いていたが、

「ウィルには驚かされるな」

「そうね。・・・でも」

両親の視線を追うと耕作し終えた箇所をなぞっているみたいだった。


「ウィル。もう1度おねがい」

母に言われるがままもう1往復した。


「・・・大人1人分と言ったところか?」

「それくらいだと思うわ」


ああ、効率の話か。

それにしても両親は切り替えが早くなったな。いろいろしすぎたか?


「ウィル。俺も使っていいか」

父が体験を所望してきた。


「いいけど、これ魔闘技必須だよ」

「ああそれは大丈夫だ。それで呪文は何だ」

両親に呪文と操作手順を教えた。


「意外と面倒なのねえ」

うぐっ。

方向指定の方法の説明が終わった後母がそう言ってきた。

痛いところを突かれたな。この魔術の問題点であるこの部分に関してはまだまったく改良案が浮かんでいない。


「そうだね。要改良かな」

とりあえずそう答えておいた。



 まず父が、その後母が使用した。


「魔力の消費はそれなりか」


「ううーん。これは楽ねー」


父と母の感想は以上だ。

そして父の言うとおり掘る深さや土壌にもよるが魔力の消費はそれなりだ。。


「ふふ、魔力が尽きるまでこれを使って、尽きたら普通に耕したら今よりもっと耕せるわね」

・・・きたよ母のブラック思考発言。


あっ、燃料(魔力)切れたよ。じゃああとは手で耕すか。って言ってるんだぞ。燃料ぐらい買に行け(魔力尽きたら休めよ)。って考えてしまうのは燃料供給過多国出身(魔力潤沢保有)者発言?



 そして両親が代わる代わる小型管理機で畑を耕していると、隣の畑の人が話し掛けてきた。

そりゃ気になるだろうな。

この畑隣の人は、隣の家屋群に住んでいてうちの家屋群以外の者で1番顔を合わす機会が多いおっさんだ。



 しばらく両親と畑隣りさんが話していたが畑隣りさんは帰って行った。ただし畑の方じゃなくて家の方にだ。


さすがに帰るにはまだ早すぎるため気になって両親に聞いてみると、なんだか便利そうという理由で近所の人を呼んでくるそうだ。


「便利そうって」

「こういう農具だったら腰がわるくても使えるからよ。きっと人気が出るわ」

そういう考え方はなかったな。でも確かに腰痛持ちって一定数いるだろうしな。

にしてもやはり売る気か。


「ボクは作らないよ」

「あら、どうして?」

「見て分かる通り構造は単純でしょ。だから真似も簡単だよ。それにまだ改良の余地があるからそちらに専念したいんだ」



 しばらくすると畑隣りさんが物見遊山だと思われる子どもから年寄りまでを連れて来た。

大体は畑隣りさんが住む家屋群の者だが、ちらほら近くにあるもう1つの家屋群の者も混ざっている。


そうすると今度はうちの家屋群の方からお隣さんBがやって来た。

いきなり大人数がやって来たから何事か、と思い来たのだろう。



 そうしてお隣さんA家の者も混ざったりして、いつの間にか近所の者を集めた小型管理機体験会と化してしまった。


どうしてこうなった。


だが小型管理機を満足に動かすには魔闘技必須なためほとんどが観戦者と化していたがな。



 体験風景を見物しているとふとあることを思いついた。

それを実践するためリュートを呼び寄せ、小型管理機の使い方を教えた。


「兄ちゃん、僕魔闘技できないよ」

リュートとフェリの2人は5歳になった秋から魔術を教えて始め、ほんのこの前初魔術に成功したばかりであんな質量の物を動かせる魔力もないし、魔闘技なんてまだ先の話だ。

「ちょっとした実験だよ。ボクがあれを動かすから、リュートが操作してみて」


俺が思いつたいのは魔術発動者と操作者を分けて動かすことだ。

これなら魔術発動者が魔闘技ができなかったり、足腰が立たなくても駆動可能だ。

もちろん消費魔力自体は増大するし、発動者と操作者の応答性の違いで魔力効率も低下するし、さらには作業能率も下がるが足腰が立たない者と子どものペアで大人1人分の作業をこなせれば大きなプラスだろう。



「じゃあリュート。いくよ」

「うん」


リュートに合図を送り物体前進の魔術を発動した。


「リュート、もう少し下げてもいいよー」

魔力的応答から指示しながら駆動した。ちなみに行ったきりの片道分しかできないためそのつど持ち帰って来る必要がある。


「うーん微妙かな。でも魔力回復のための小休憩と考えればそれほどでもないのか?」

以上が感想だ。


俺たちの行動に触発されてか新たに数組が体験をしていった。



 昼が近くなった頃ようやく皆が作業や家へ戻って行った。半日潰れちゃったよ。

うちも昼休憩のため家路についた。

そして家へ帰ってる途中に、


「これなら、2つ位増やしても大丈夫かしら」


そう母が呟いたのを聞いてしまった。


何が2つ位?

とか聞いたらダメだ、絶対に。



こうして新たな農具の開発は俺に一抹の不安を覚えさせながらも一応の終了をみた。




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