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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第3章 少年期移住生活編
57/93

3-08 移住生活8

本日は投稿はいつも以上に短いです。

そろそろ更新を1度止めるかもしれませんが、そのときには活動報告で報告させていただきます。

 冬の上月が過ぎ下月に突入したある日のこと、


「これでよーやく終わりかー」

「そうだね、たしかここが最後だったはずだ」


俺とヨークは共同倉庫の掃除をしていて、今し方ようやく最後の箇所の掃除を終えたところだ。

少しずつ進めてきた成果だ。


「あとは雨漏りしてるところを塞いだら終わりじゃん、らっくしょー」

「楽勝ねぇ」

「楽勝じゃん、俺でもできるよ」

へー、ヨークは左官作業できたんだ。


「まあ今年は掃除だけの予定だろ、確かに塞ぐくらいはしたいが」

世の中金だ。金が無けりゃ補修資材も揃えられないからな。


「ちぇ、勿体ないなぁ勿体ないなー」

「そう言うな、確認し終わったら終わりにするよ」


その後洗い残しが無いか倉庫を見回ってから家路についた。




 後日、俺とリュート、フェリの3人で日光浴兼外遊びをしていると、


「ウィルー、仕事だぞー」


はぁ、ラックが俺の幼児ニウム補給を邪魔してきやがった。


こうなったのも共同倉庫の雨漏り部分の補修をすることに変更になったからだ。

元々金の工面さえできれば補修作業は出来たのだが、お隣さんが厳しかったのだ。

うちは融資を受けて移住してきたわけではないのでこの区では裕福な部類なのだ。


そのためこの件に関してうちが金を工面してその代わりお隣さんが労働で対価とする提案がなされたのだ。たしかに常套手段の1種だが掃除が終わった途端これとは、これを臨機応変と言えばいいのか朝令暮改と言えばいいのか。

ちっ、元々反対派が少ないのが原因だ。


話し合いの結果、補修資材の消耗品はこちら負担で労働はあっち、足場などの耐久品は両家負担など両家の今後のパワーバランスに配慮した結果に落ち着いた。


そして俺の役目は足場用の製材で、今し方のラックの呼び声は丸太の運搬を終えたという合図だ。


「2人ともこっちおいで」


「にぃに、なにー?」

「ボクはちょっとすることができたから、あそこの・・・・誰だっけ?」

「「ラッキュン」」

「そうそう、ラッキュンの言う事を聞いて良い子にしてるんだよ」


「俺はラックだ」

「ラッキュ?ラッキュン?」


ラックを手招きして、耳元で、

「こら混乱してるだろ、お前はこの前からラッキュンだろが」


2人はまだラックのクの発音がキュなるお年頃で、それがいつの間にかキュンに変化しただけだ。ちなみにキュンの下手人は俺だがな。


「いや、だからってな」

「まああと少しの辛抱だろ、そのうちちゃんと発音できるようになるさ」


「じゃああとは任せた」

3人と別れて製材場の家の庭側へ向かった。


うーん、次はラッキュント、にしようかな~。さすがにばれるかな?



 製材作業は大した量と精度ではないのでさっさと終わらせ、お隣さんに納品した。あとはお隣さんがこの材木と組み合わせて足場を組むそうだ。


ここから先はお隣さん家の役目でうちがやることはない。






 後日後、補修作業が終わったそうであとは乾くのを待つだけの段階だ。


更に数日が経ち、もうすぐ乾いただろうといわれたので倉庫へ下りてみるとすっかり水漏れが解消されていて、いくつか真新しいレンガに交換されていた。交換されたところが色鮮やかだな。

亀裂はまだ入っているが水漏れするようなものではないのでこれで地下倉庫として使える段階までに回復した。



 そして今年の補修作業はここで終わりだ。

掃除中に分かったのだが、水はけわるくそちらのメンテナンスも必要そうだが、さすがにそちらの補修作業は大がかりで、本職を呼ぶことになりそうだからだ。

それまでは地下倉庫として使用していくことになる予定となっている。



これで共同倉庫をめぐる一連の出来事もひと段落だ。




 冬も終わりに近づいて来た頃、俺とラックが畑で雪と格闘しつつ農作業をしていると、


「すみませーん」


その声の方を向くと、若い男女が俺たち方を向いていた。

こういうときは基本ラックが対応するのでいつも通りラックに任せ農作業を続けた。


しばらくして話しが終わったみたいでラックが帰ってきた、

「どんな話だったの?」


「いつも通りさ」

「ああそうなんだ」


いつも通りというのは物件探しをしている者達のことだ。雪があまり降らなくなってきたあたりから若い男女、定年後の隠居組?と思われる者達がたまにすぐそこの道を通ったり、道を尋ねたりしてくるのだ。

ちなみに定年制度はないから後者は正確な表現ではないがな。


「あの中にうちの近所になる人たちもいるんだよなぁ」

「そうだな」


うちを含む家屋群には6軒の家があるがそのうち4軒が空き家だ。それに入ってくる家庭はあるかな?

でも家以上に畑を買ってってよ、夏場には雑草が侵食してきて大変だったんだよ。

所有者のお上が放置してるんだよね、強くも言えないしね。


「それにしても相変わらずだな」

「ん、どうした」

「いや、独り言だよ」

フーホーは相変わらずだ。雪の下でも特に枯れてるわけではなく、精々俺たちが雪をどけたときにちぎれた程度だ。

そして今は収穫作業中だ。


他にも遠くで作業している者もいるが大概はフーホーだろう。あとは春に向けて耕し始めた者くらいだろう。




 思えば、移住してきてあともう少しで1年だ。

春に移住してきて、挨拶回りと地理を覚え、家の掃除に農学検定試験、あとは農作業。

夏には農作業と木工と・・・農作業。

秋にはお隣さんのお手伝いと紙作りと・・・・のうさぎょう。

冬には糸を紡いで掃除して・・・・・のう・・・・


「うん?」


・・・・・・おかしい。農業従事者としては間違ってない気がするが、こんなの俺じゃない。

手押しポンプ一式1台と紙を数十枚しか製作してないぞ、あとはせいぜい片手間レベルの製材や、家の補修作業しかしてない。


おかしい。

2年目にはきっとぜったいもっとものづくりするぞ。だって俺の悠々自適な快適ライフのためだもん。


「いや、・・・まてよ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理だ。

次の春にはラックがいなくなる。

もうほぼ1人でフーホーなら栽培できるようになったから、そういう予定になった。今回は大事なことなので冬の間に祖父母へ伝言を送っているから今更延期は難しい。


つまり俺は今年から作業量が増える。いくら2人の世話があまりいらなくなって、母の手伝いが入るとはいえ普段の畑の世話は俺のみだ、絶対に増える。



俺の悠々自適な快適ライフは何時のことになるのやら。




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