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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第3章 少年期移住生活編
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3-02 移住生活2

 農学5級試験(授業)が初日。

まずは説明会が開かれた。中には一応子どももいるがさすがにラックくらいの年齢からで俺くらいの子どもはいなかった。


説明を聞いて分かったことだが、どうやら魔学とは違い農学の最低級は講習を受ければ貰えるタイプの資格試験のようだ。


 共通科目は、農具の種類や使用法、肥料について、農林業者協会の事業案内など全部で10単元で、その10単元がローテーションしていて最短5日で終わるそうだ。


中には防衛術なる変わり種な単元もあった。

これは害虫や害獣の対策や駆除方法を仰々しく言ってるわけではない。これが所謂上手な付き合い方のことだ。

端的に言うと住人間の水トラブルのことだ。

ここでは時には個人単位、時には村単位、時には区単位の水トラブルによる衝突に巻き込まれることがあるからで、住む場所によってそれ相応の立ち回りが求められるのだ。

例えば上流の区では水田や一部作物に制限がかかっている。

これは、昔フーホーから一気に他の作物に農家が流れた時期があったそうで、その時に起こった事件の教訓として定められた制限だが、他にも雨が多い都市柄だが干ばつがないわけではない。

ゆえに住人たちの相互理解が大切さを教えるため単元として組み込まれているのだ。


うちの家庭が移住する区は灌漑用水路の比較的下流域に属するためそこそこ水トラブルが発生する区なのだそうだから大切な授業だ。


 専門科目は選択したものによって単元数がマチマチだが、俺の場合は代表的な作物とその品種紹介や適した土壌、種まきや植え付け時期、手入れ方法、収穫のタイミングや病気とその対処法、輪作と連作障害の強度、隣に植えない方が良い作物などで全7単元だった。

こちらはローテーション間隔が長いので1度逃すと面倒になる。


別に聞きたいところだけ聞いて農学5級を取得しなくてもよいのだが、それなりに高い受験(授業)料なので勿体ないのだ。



 初日は手続きと説明だけで午後から受けることもできるが、今日のところはとりあえず帰った。

今日から移住先の住居で俺たち3人は寝泊まりする予定で、一応最低限の家具類は既に搬入しているため寝泊まりするぐらいはできるのだが、日用品関係が揃ってないのだ。

そして明日から俺とラックは毎日の様に通って最短取得をめざし、父は仕事の合間に取得を目指すのだ。


さあ、明日から頑張るぞ。









 11日後。

「貴君らの今後の活躍に期待する」


俺は無事に農学5級を取得した。今はここの偉い手に修了証を貰い終わり、お言葉を頂戴し終わったところだ。


これで俺も農学5級(根菜類)保有者の仲間入りだ。

主にこちらにあるジャガイモとダイコン、カブ、ニンジンの有名品種については大体の事は教わった。あとは実践あるのみだ。

もちろん全てジャガイモ、ダイコン、カブ、ニンジンみたいなものだ。俺の知識的にほぼ間違いないと思うが魔素と呼ばれる不思議物質?がある世界だから同定はしかねる。


ちなみに、ラックが受けた葉菜類は俺の受けた根菜類に比べて種類が多いため、まだ数日かかるみたいだ。



 次の日から俺の役目は畑を耕すことになった。

数日前に前アパートメントでのお別れが済み、既に家族全員こっちに移住してきている。

少々湿っぽいことがあったがそれは置いておくとしよう。


移住してきたこの家はうちを含めて6軒の家が集まっている内の一軒で、他に1つの家に人が住んでるだけであとは空き家だ。

そのお隣さん?は4人家族のうちとほぼ同世代の家庭で、うちとその家庭で井戸とかの共有財産を管理、利用していくことになる。

この区はまだまだ人不足土地余り状態のようだ。


家の間取りは4Kでそれと非商業用の小さな畑がついている。

この非商業用の小さな畑は第4層のほとんどの家についている備品みたいなもので、この畑で勉強の合間に習ったことを復習していた。

フーホーは大して変わらないらしいが、他の根菜類は畝立てが必要みたいなのでその練習をメインに復習していた。一通りの手順は体に覚えさせているが商業用の畑は規模が違うのであとは体力勝負だ。



 そんなこんなを考えてるうちに、役所の人に案内されてからずっと放置していた畑に到着した。

久しぶりに見た畑はさらに雑草だらけになっていた。周辺のうちの物じゃない畑もまだ買い手か借り手がいないのかいくつか雑草だらけな畑が見受けられた。

既に作業している家庭もあって挨拶をして作業開始だ。


今日から数日間作業できるのは俺だけなので草刈りや草むしりを重点的にする予定だ。





 数日が経ち、本日の作業からラックが本格参入してくることになった。

それまでの数日間、晴れた日には農作業を、雨の日には木工をする晴耕雨工が続いた。いつか晴耕雨読の悠々自適な生活をした・・い・・・・ぜ?・・・・俺としたことがすっかり農耕に毒されてしまったな。ひきこもりに工はあっても耕は存在しない事を忘れていたようだ。


「で、それがお前のクワなのか?」

「うんそうだよ」


草刈りや草引きばかりで飽きたので雨の日に自分サイズのクワを作っていたのだ。基本は鉄製のクワを真似たが少し比率を調整したもので、硬化の魔術を使用すること前提で作ったクワだ。


うちは農繁期を除いて俺とラックのみで農作業することに決まったためこれ以上の人員追加は今のところない。

そう言うのも市場が安定を欠いてる状況なため農業一本での生活は危険だからで、ゆえに父は兵士を続けているのだ。

そのおかげで畑の収益は今のところ税金分だけ払えれば、つまりマイナスにさえならなければ問題がないため手間のあまりかからない作物なら俺たち2人でも何とかなりそうなのだ。


それからまた晴耕雨工の日々が続くのであった。




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