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ボクの異世界侵略記  作者: チカさん
第2章 少年期編
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2-19 ボク、納品へ2

 俺とラックが祖父母宅へ到着した次の日、俺は祖母と一緒に納品と顧客回りに、ラックは祖父と一緒に鶏舎の方に出掛けた。

新人養鶏猟師ラック君の新たな始動である。ラックの弓の練習は家の周辺では場所がないため、家もしくは手伝い先の農家での休憩中に弓の弦を引く練習だけをしているらしい。弓自体は俺が製作した。

弓も買えそこそこの値段で、基本的に子ども用なんてないから特注品だ。ラックはちょっと不器用さんで木工の手伝いをさせるときも簡単なところや重要度の低いところを任せている。ゆえに練習用は俺が暇をみて作ったというわけだ。


この弓製作は中々ためになった。ラック用に作るためにいろいろ弓を見たり人に聞いた中で特に有益だったのが接着剤の存在だ。それは動物からとった接着剤で話を聞くにゼラチンのような物であることしか俺には分からなかった。

ゼラチン?ああ知ってる知ってるゼリー作るときに入れるやつだよね。確かに液体が固体になるのはすごいと思うけどそんなに接着力なんてない、とスルーしてたんだけどやばかった。すごい接着力でしっかりくっつけたものは俺の腕力ではどうにもならなかった。水と熱に弱いことと腐ることが分かったが大した問題ではない。

接着剤類はデンプン系の糊をたまに使ってたがこれからはこのゼラチンみたいなものも候補入りだ。



 俺は納品と顧客回り中に、この時期はあまり忙しくない家庭もあったため聞き取り調査も同時に行った。

今まで時間もなかったため祖母経由でしか感想や要望が聞けていなかったため細部がぼやけていたのでこの機会を有効活用した。

その結果、細かいことだがいくつか新たに問題点と要望が出てきた。


前々から改良案を考えているが、実際作るとなると中々踏ん切りがつかない。

俺は作品ごとに専用の定規や型などの計測機器も同時に製作しているため、改良するってことは新たな計測機器が増えるってことに直結するのだ。

更に作品の種類が増えてきてから覚えきれないため、製図もどきを引いて何とか製作している感じだ。今までの作品はそこまで精度がいらないものだったから組み立て時にその場その場で調整していたのだ。

つまり同じ物は2つとない。まあこれはどんな機械で作っても同じなんだが、某業界では手作業品のことを同じ物は2つとないと言い、機械で作った物はそうは言わない変わった習慣があるため注意が必要だ。同じ製品でも必ず良、並、不良品はあることを忘れてはいけない。


工具も計測機器も製図に用いている物も基本木製であるためとてもかさばる。単一の拠点であれば別にそれでもかまわないが、家と祖父母宅の2箇所が製作拠点なので拠点間の運搬が面倒だ。それはできるだけ回避したいと思ってるのが中々改良に踏み切れない主な理由だ。



 そういう俺は今、納品も終え今日回った家では修理の依頼もなかったため、祖父母宅で遊んでいる。屋根の上でね。


冬の間も魔術を行使し続けさらに増えた魔力量にものをいわせて、空中歩行で屋根まで上った。屋根から望む景色はただ目線が上がっただけだがなんか美しく見えるという目の錯覚を感じつつ目を閉じ・・・・・・



「よし、現実逃避終わり」

実は屋根に上ったはいいが降りられない。

上るとき使った板は1枚を残して地面に落ちた。気づいたときにはもうすでに戻れる段階になかったため何とか1枚確保したが別に意味はない。だって物体浮遊の魔術だぞ。正確には浮遊ではなく性質的に浮上だが。つまり上(プラス)へは行けるけど下(マイナス)へは行使できない。


やっちゃたよ。頑張れば飛び降りれるか?いや、5歳児の脆さをなめてはいけない。

祖母はフーホーを植えている遠くの方の畑に行っちゃたしどうしようか?


俺は屋根に寝転がりつつ、

「俺の脳細胞よ、何か名案をー・・・・・」

名案めいあん明暗めいあんめいあんめんあいめいあんめいあーーん。

「うん、浮かば・・・・・浮かんだよ」


いやーなんでこんな簡単なことにすぐ気付かなかったんだよ。別に地面に落ちた板がもう使えないわけではない。魔術は非接触状態でも普通に行使可能だったよ。


その後地面に落ちていた板を各々高さを変えて浮上させ階段状にし無事地面に着地。

「おそるべきは外の魔力。やはり家の中こそ安息のち・・か」


そう言って締めくくり、屋根置き去り事件は誰も(他人が)知らぬ間に起きて誰も(他人が)知らぬまに終わった。


その後は真面目に薪割りをし、薪割りが終わったのち祖母を手伝いに畑へ向かった。


「おばあちゃん、手伝いにきたよー」

「薪割りありがとね、じゃあ切った枝を畑の端に集めてくれるかい。あとで燃やすから」

「ところで今何してるの?」

「枝の剪定だね。あまり放置しとくとこいつは枯れちまうんだよ」

なるほどね。・・・・ん?んん????


「フーホーって枯れるの?」

どんな荒れ地でも育つとても逞しい植物だったはずだ。それが放置した程度で枯れるだと。


「ああ、フーホーの木はある程度大きくなると近くの木同士の枝がくっついちまってそれからさらに放置しとくと最後に赤い実がなって一斉に枯れちまうんだよ。だからたまに剪定をしてるんじゃよ。剪定したら収穫しやすくなることもあるがの」

何だよ。相変わらず意味の分からん植物じゃねぇか。


「赤い実って?」

「枝同士がくっついた木は少しずつ全体が赤っぽくなって行ってそんな木から普通のフーホーよりかなり小さい実が取れるんじゃよ。その実はものすごく固くてのう。食べれん。それに普通に植えてももうならんのじゃよ」

「普通にってことは他に方法があるんだね」

「確か赤い実を植えてから塩か灰を大量にまけば芽が出ると聞いたんじゃが、最後に赤い実を見たのもずいぶん昔のことだからどっちか忘れてしまった」


相変わらずフーホーはおかしな生態をしてるな。他にも変わった生態をしている植物もいくつか知っているがその中でも群を抜く変わった生態だ。



 そして今日は剪定した枝を集めて、畑の隅で燃やして作業を終えた。薪にすればいいと思ったがフーホーの枝は燃やすのが慣習になっているらしい。何か迷信の類があるらしいが今日は赤い実の話だけでお腹いっぱいだ。

そういえば少し前までフーホーを見ると何か思い出しそうな気がしていたが最近はそういうことも少なくなってきたな。本当にあの感覚は何なのだろう?


家に帰り祖母と夕支度してると2人が帰って来た。今日のラック君は何か機嫌が良さげだった。なにかいいことでもあったのかな?





 そんなこんなで結局今回は修理を依頼してくる家庭はなく、俺は数日間フーホー畑や近くの畑の手伝いをしながら過ごした。そして本日は1日中天候が安定してそうなので帰ることにした。


祖父母に帰りの挨拶をして出発した。


家に帰るルートは来た時と同じルートで荷物は納品物や部品類を降ろしたので手荷物程度しかリヤカーに乗せていない。


今回は層門で検問もしてなくてすいすい通り、帰りの定期船に乗りまた船旅だ。帰りはくだりなのでずいぶん早く進んで行けた。


1番大きな船着き場では行きと同じく兵士が訓練?をしていた。川に荷物を投げてそれを網で引っ張りあげる訓練?らしきことをしてたが戦うところは見たことがない。あいつらは輜重兵とかの後方支援系の兵なのだろうか?というかその前に都市奪還作戦時に舟艇類使うのか?

各層を隔てる壁には水門なんてないぞ。あるのは唯の金属格子で俺にはあれが可動式には見えない。だから俺達は直接舟で層間移動ができないから第3層内で乗り降りしてるんだが。



あっという間に降りる船着き場に着き、そしてアパートメントに帰って来た。


1階で借りてたリヤカーの返却と、丁度1階にいた者達とあいさつをして階段を上った。


「「ただいまー」」

「あら2人ともお帰りなさい。少し遅いから心配してたのよ」


「ここ最近天候があまり良くなかったからね、仕方ないよ」

その後は母と今回の報告とかをして過ごした。




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