大学見学してみたい
平塚通りは学園東大通りと直交する通りで、百香亭は平塚通りから少し奥に入った店だった。黄色い看板に青い文字で店名が書いてあり、中華料理屋らしい。入ってみると、学生らしい年代の人や教職員らしき人たちがそこそこいる。休みとはいえ、大学に用事ある人は多いもんな。
俺たちは席についてメニューを開いた。
『何食べよっかな』
「なんかここ、盛りが多くない?」
メニューの写真はおいしそうだが、どの料理もなかなかのボリュームなのである。
千歳は何でもないように言った。
『学生向けだろ? そりゃ多いよ』
それはそうか。しかし俺の胃にはとても入りそうにない……。
「俺、一応中華丼頼むけど、多かったら千歳少し食べてくれない?」
『オッケー、ワシ担々麺とチャーハン定食!』
料理は割とすぐに来て、しかしやはり多かったので俺は小皿を頼んで、千歳に中華丼を3割ほど分けた。
量は別として、味はおいしかった。味の濃さからして、若者向けな感じはしたけど。
千歳は相変わらずいい食いっぷりだった。食べ終わって、俺はスマホでGoogleマップを見つつ言った。
「狭山さんが通ってたのは、大学の第1エリアなんだって。第3エリアに車止められるみたいだから、まずそこ行こうか」
『行く行く!』
車で第3エリアに向かう。森の中を通っていくと駐車場があり、そこから土地が開けていた。進んでいくと、講義棟か研究棟と思しき大きな建物がいくつも建っている。とりあえず大学の中心線まで出ることにした。
「えーと、ここが第三と第二エリアの間……いや広いな!?」
大学の中心線に川があるんだけど!?
遠くには図書館らしい建物と、座るのに良さそうな広い芝生。そこここに学生らしき人がいるが、皆平然と歩いている。ここの人たちはこれが普通なの!?
千歳は呆然としていた。
『大学ってこんなに広いもんなのか!?』
「ここは特別広い大学だと思うよ……」
改めて大学の地図を見る。普通の大学のキャンパスが縦に4つ5つ連なったような構造をしている、さすが日本2位。
「第1エリアは、この川沿いの道をまっすぐだね」
千歳はずっと目を丸くしている。
『え、建物がどこもたくさんある! 勉強の建物だけでこんなにあるのか!?』
「大学は研究するところだから、研究棟もたくさんあるよ」
『ひええ……頭いい人がこんなたくさんの建物にぎっちり詰まってるんだ……』
千歳は、歩きながらずっと辺りを見回している。そう言えば千歳は大学に縁がない。初めての大学は新鮮なんだろうな。
俺は千歳を微笑ましく眺めていたが、ふと気づいた。
別に、大学行けるのは普通ってわけじゃないことを。事情があって行けない人、そもそも大学行くのが当たり前じゃない人、大学に行くための勉強に専念できない人、世の中にはいろいろな人がいる。
俺は奨学金とバイトで大学行ったけど、大学に受かる学力を養えたというだけでも、相当恵まれていたんだろうな。




