不思議な事態を調べたい
金谷あかりさんから、千歳と俺に連絡があった。
「変な藁人形があるんですよ」
『変?』
「どの辺が変なんでしょう?」
「呪った人も呪われた人も特定されてて、遺骨も入ってたのに、呪いが発動してないんです」
遺骨は以前魂を引き出した遺骨と同一人物のもので、魂はもう引き出せないとのこと。しかし、遺骨に宿った霊力は据え置き。呪った人は確かに丑の刻参りをしたのだが、呪いの対象は呪われていないのこと。呪いはユニコーンの角を手に入れる以前に発動しているとのことで、確かに何もないのはおかしい。
「単純に呪うの失敗したとかではないんですか?」
「霊力が使われた形跡はあるんですよ、でも呪われた対象は呪われてないんです」
『呪われた人が防護の素質あるとか?』
「そういうわけでもありませんでした」
『えー、じゃあなんだろう……』
千歳は考え込んでしまった。俺は言った。
「私たちに話が来たということは、何かこちらで調べてみてほしいということですか?」
「呪った人が使った神社に行ってみていただけるとありがたいです。飛び出た呪力が行方不明になっている感じなので、誰かが祓ったにせよ捕まえたにせよ、ある程度以上強くて事情を知ってて、相手を引き寄せられそうな人が動いてくれるとありがたいので」
『神社ってどこなんだ?』
「茨城県つくば市の、一ノ矢九頭竜神社です。あとで住所送りますね」
つくば市。一ノ矢。俺は聞き覚えがあった。
「もしかして、筑波大学の近くです? 狭山さんが通ってた」
「そうですそうです」
狭山さんは横浜国立大学の学部卒業だけど、博士号は筑波大学で取っている。金谷さんは言った。
「一ノ矢九頭竜神社は竜神を祀ってて、神社には珍しくニンニクを売るんですよね」
『へー、五葷なのに』
「まあ、五葷って薬でもありますしね」
俺は千歳を見た。
「土日空いてるし、ホテルとレンタカー予約取れたら行ってみようか?」
『行く、狭山先生の行ってた大学見てみたい!』
俺は苦笑した。
「調べるのは神社だからね」
「まあ、何も出なくてもおかしくないですし、出るまで何回か行ってほしいので、観光込みでも」
『じゃあ行こう、土日行こう!』
千歳ははしゃぎ、俺はホテルとレンタカーを探すことになった。




