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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
21シーズン

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番外編 金谷千歳と情報拡散

 タクシーはスムーズに雁ヶ音さんのマンションまで着いた。和泉がワシに聞く。


「何号室だっけ?」

『えーと、206号室!』

「すぐだね」


 2階に上がると、人が騒ぐ声が聴こえてきた。40前くらいの男が、まさに206号室付近で怒鳴っている。


「月美! 出てこい! お父さんの言うことを聞け!!」


 あっ、月美って子を騙した父親だ!

 ワシは、こういうやつは脅しが効くと思って、すぐにお化けの姿になった。


『何してる!!』

「なんだ……ええ!?」


 男はワシを見てあんぐりと口を空けた。ワシはさらに怒鳴った。


『怨霊千歳を知らないのか!? 上島月美はワシ預かりだ!』

「か、金谷千歳!? なんで!?」

『島初音さんはワシの友達だ! それくらいする! 帰れ!』

「と、友達!?」

『帰れ! 帰れ!!』


 ワシは男をつまんで階段の前に置いた。男はこけつまろびつで退散していった。

 和泉が言った。


「だいぶまずいな、千歳がいるって脅し効けばいいけど」

『あれじゃダメか?』

「千歳が関わってるって、周りにまだ広まってないじゃない、他の人が来たらどうする?」

『そっかあ……』


 上島家の跡取りまで話がいくの、多少時間かかるもんなあ。


「とりあえず、中に入らせてもらおう」

『うん』


 ワシは二十歳の姿に戻って、雁ヶ音さんの部屋のインターホンを押した。恐る恐るの声が返ってきた。


「ちっちさん……?」

『ちっちです! 金谷千歳です!』


 ドアが開いた。青い顔をした雁ヶ音さんが顔を出した。そりゃ、女の人ならあんなに男に怒鳴られて怖かったよな!


「き、来てくださってありがとうございます……あ、すぷにゃんさんも」

『うん、こういう時いい案だしてくれるから連れてきました。大丈夫ですか?』

「と、とりあえず、すぐドア閉めたいから中入ってもらえますか?」

『はい!』


 ワシと和泉は中に入り、雁金さんは厳重に鍵を閉めた。あ、鍵2つ付いてるんだ。

 部屋の奥を見ると、泣き晴らした目の女の子がいた。この子が月美ちゃん?


「こんばんは! 助けに来た!」

「あっ、ありがとうございます……」


 雁ヶ音さんが奥に招いてくれて、ワシと和泉は詳しく事情を聞いた。月美ちゃんは泣きながら話した。


「私がお父さんといっしょにご本家様行ったら奥に案内されて、そしたら布団が敷いてあって、桂馬さんが後ろから抱きついてきて、びっくりして逃げてきたんです」


 雁ヶ音さんが言った。


「月美ちゃん、他の家はすんなり結婚してるんだからお前もしろって圧かけられてて……金谷家のあかりさんでしたっけ、18で結婚させられてるでしょ? 朝日さんのところもトラブルあっても当初の予定通り結婚させられたし、南家の人も尼にまでなったのに結局結婚させられて」


 んん? あかりさんと、水香さんと、南さんのことか? 実情とだいぶ違うぞ?

 和泉が「ええ?」と変な声を上げた。


「え、狭山さんと金谷さんはほとんど恋愛結婚ですよ?」

『うん、朝日さんは水香さんの尻に敷かれてるし』

「南さんも強要されてじゃなくて、なんか金谷司さんが南さんを気にしてずっと独身だったから、それなら、みたいな感じじゃない?」


 雁ヶ音さんも月美ちゃんも目を丸くした。


「そうなんですか!?」

「本当ですか?」


 和泉が「あ、そうだ、これこの件か!」とポンと膝を打った。


「狭山さん、上島家の結婚渋ってる女の子を説得しろって頼まれたけど、別に自分らは結婚渋ってなかったから断ったって言ってたんですよ、月美さんのことだったのか!」

「そんなことあったんです!?」


 月美ちゃんはまた驚いた。和泉は月美ちゃんに言った。


「とにかく、実情は全然違うからね。その3人は、好きあって結婚したか、納得して結婚してる。こんな無理やりなことされてない」

『うん! あかりさんのところも、水香さんのところも、ラブラブだぞ! 南さんも籍入れたって言って幸せそうだったし!』


 ワシがそう言うと、和泉は頷き、雁ヶ音さんに言った。


「それで、この件は、千歳が関わる事態になったと広めるのが先決だと思うんですよね。私は文章書くの早いし、心霊業界の人の連絡先もある程度知ってますから、ここまでの事情をまとめて、あらゆるところに連絡するのはどうでしょうか?」


 雁ヶ音さんは「お願いします!」と頭を下げた。月美ちゃんも鼻をすすりながら頷いた。


「じゃあさっと書いちゃいますね。私は朝霧緑さんと南さやかさんと峰水香さんと金谷あかりさんたちに連絡します。雁ヶ音さんも、私の書いたものを上島家はじめとしてありったけの心霊業界の人に広めてください」

『ワシ、峰伊吹さんと金谷安吉さんに連絡する!』

「うん、そうして」


 和泉はやっぱり頼りになる!

 そういうわけで、和泉は文章をまとめ、ワシらはその文章をもとにあらゆる場所に事情を連絡した。連絡を終えてから、ワシはふと気づいた。


『今夜また連れ戻しに来たら怖いよな。雁ヶ音さん、もしワシ泊まってもよかったら用心棒やりますけど?』

「あ、それすごく助かります!」

『明日以降は、周りがどう出るかだよな』


 和泉がワシを見た。


「俺、狭山さんたちと朝日さんたちと南さん達に頼んでみるよ。自分らは納得ずくで結婚してこんな無理やりじゃない、って広めてくれって。上島家のしたことを正当化するのに使わないでくれって言ってくれって」

『頼む!』

「泊まり道具でいるものある?」

『タブレット持ってきてくれ、今日は一晩見張るつもりだから』

「オッケー、またタクシーで持ってくる」


 そういうわけで、ワシは一晩雁ヶ音さんちで過ごすことになった。

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