半年ROMれを伝えたい
九さんに、まずは子狐ちゃんたちがスマホとパソコンでラジオ投稿できるよう目指す、と言ったら快諾をもらった。必要機器も費用を出してくれるそうだ。
「ただ、どこで買えばいいのかすらわからんからの、調達はお主らで頼むぞ」
「わかりました」
Amazonとヨドバシを漁ろう。
「あと、心配なのは水香に言われていることでのう」
「なんでしょう?」
九さんの顔が、少し曇った。
「妾たちは、世の中でありえないとされているから、化け具合が半端な子狐が自分の写真をインターネットにあげたら大騒ぎになると……」
そ、その危険性があったか!
「そうですね……。自撮りとお互いの写真は完璧に化けられるまでネットに上げちゃいけないって教えましょう。拡散されやすいのはSNSですから、危険性についてはしっかり仕込みます」
とはいえ、あこがれは止められないだろうからなあ。比較的安全な所、Blueskyあたりにアカウント作らせて、あとは【半年ROMれ】かなあ。
「一度ネット触らせたら、いくらでも自分でやれちゃうので、止められないなら先に、こっちから安全なSNSをやらせて慣れさせようと思います」
「頼んだぞ」
そういう訳で、子狐ちゃんたちを集めて「君らにはまずタイピングとフリック入力を教えます、ネットでラジオ投稿が自由自在にできるまで、それ以外のことはしちゃいけません」と伝えたら大ブーイングを食らった。
「てぃっくとっくってところで、ばずるっていうのして有名になって大金持ちになりたいです!」
「化ける所見せて有名人になる!」
「世界中に見てもらえるんじゃないんですか!?」
九さんの心配が的中したじゃないか!
「あのね、九さんはそういうのを一番心配してて……」
どうしようか困っていたら、隣の部屋で組紐を作っていた千歳が顔を出した。
『お前ら、和泉の言うことは聞いとけ。インターネットって怖いんだぞ、詐欺はたくさんあるし、ちょっとよくないことしたらあっという間に広められて世界中から叩かれるし』
千歳が割と怖い顔でいうので、子狐ちゃんたちは顔を見合わせた。
「え、よくないことってなんですか……?」
『赤ん坊の写真あげたら顔隠さないなんて虐待って世界中から叩かれるし、犬猫をちゃんと飼ってないと思われると虐待って世界中から叩かれるし、ペペロンチーノの汁が乳化してないだけでめちゃくちゃ叩かれるし』
ち、千歳、いつの間にかインターネットをよく知っている派になって……。
子狐ちゃんたちは怯え始め、俺は助かったとばかりに子狐ちゃんたちに伝えた。
「えー、いま千歳が言ったことは全部事実です。詐欺でお金取られることもあるし、SNS絡みのトラブルも多いし。とはいえ、個人情報出さないでうまく使えば役立つからね。文字入力覚えてラジオ投稿ができるようになったら、治安が良くて人も多いSNSでのアカウントの作り方教えてあげる。そこで羽目を外さない程度にやりなさい」
『そう、大人しく和泉に教われ。ワシは和泉に教えてもらったから平和にインターネットやれてるんだ』
千歳があまりにも力強い援護をしてくれた。
「だから、まず覚えるのは文字入力ね。明日か明後日にキーボードとタブレットとスマホ届くから、それ使って練習してみよう」
子狐ちゃんたちは素直に「はーい」と返事し、俺は、タイピングとフリック入力の練習ゲームを探しておかないとな、と思った。




