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子々孫々まで祟りたい 〜転んで祠を壊しちゃったら怨霊が子々孫々まで祟りに来たけど「俺で末代」と言ったら怨霊が困り始めて子孫を残させようと奮闘しだした件について〜  作者: zingibercolor・種・がくじゅつてきあかげ
第11シーズン

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番外編 金谷千歳の遭遇

 さて、チビ和泉を連れてコンビニまで行こう。

 子供が子供抱いてたらおかしく思われるかもな、と思って、ワシは二十歳の朝霧の忌み子の格好になった。近くのコンビニまでとは言え、幼児と一緒に歩くのは大変で、ワシは途中からチビ和泉を抱っこして歩いた。

 チビ和泉は、寝たら少し元気出たみたいで、コンビニに入ったらワシの腕を抜け出してジュース売り場に直行した。


「おれんじじゅーちゅ!」

『あー、あったなー、これ買うか』

「つぶつぶの!」


 和泉が指差すのは、プラスチックのボトルに入った、果肉が入ってるオレンジジュースだ。


『高いやつだな……まあいいか、買ってやろう』

「いっぱいのむ」

『おう、飲め飲め』


 3本も買っときゃ持つだろ。他になんか買っとこうか? うーん、欲しいのは子ども用の食器だけど、100均までチビ和泉を連れて行くのは大変だし、今日はこれで切り上げて、食器は通販か何かで買おう。

 ワシはチビ和泉の手を引いて、会計を済ませて、チビ和泉を抱き上げた。


「じゅーちゅ、じゅーちゅ!」

『帰ってうがいしてからな』


 和泉が元気でホッとしたけど、本当に今の和泉は小さな子供なんだな。

 そんな事考えながら、帰り道を行く中。

 家に続く坂道の下に、うちのアパートを見上げてるおっさんがいた。割と体格の良いおっさん。

 おっさんは、ずっとそこに立ってた。

 誰だろう、何してるんだろうと思いつつすれ違おうとして、ふとそのおっさんの顔を見て、ワシは息を呑んだ。

 おっさんの面立ちは、和泉によく似てた。


『……!?』


 ワシは思わず和泉を抱きしめて、おっさんから距離をとった。おっさんも、すれ違おうとしたワシに目をやって、チビ和泉を見て、目を見開いた。


「え……!? えっ、嘘だろ、豊の!? いつ子供作って……!?」


 和泉の父ちゃんだ、こいつ! 和泉から金取ろうとしに来たんだ!!

 チビ和泉は、一瞬戸惑って自分の父ちゃんの顔を見て、それから火が着いたように泣き出した。


「やあー!! いやー!! あげない! あげない!! ばいばい!! ばいばい!!」


 ワシは、和泉を抱いたまま、反射的にゴツい倉沢静の姿になった。おっさんは心底たまげた顔したけど、追っ払うのが先だ!


『何しに来た!! 和泉の金は絶対やらないぞ!!勝手に訴えられて困ってろ!!』

「い、いや、まず豊に会わせてほし……」

『こいつが和泉だ、バカ!』


 ワシは怒りに任せて怒鳴った。


『悪いやつに術かけられてチビになっちゃったんだ! 実の親のくせに自分の息子のことすらわかんないのか!!』


 ワシですら、こいつが和泉だってわかったのに!


「い、いや、何を言って……」

『帰れ! 金なんて絶対渡さない! 和泉は真面目に働いて頑張ってんだぞ! そんな金絶対渡さない!! 帰れ! 帰れ!!』


 チビ和泉はずっと泣いて、手をぶんぶん振り回して「いや!」しか言わなかった。


「きやい! いや! あげない! きやい!!」


 和泉の父ちゃんは、呆然としてワシらを見てたけど、やがて「ほ、本当に豊なのか……?」と呟いた。


『最初からそう言ってるだろうが! 帰れ! 和泉には何もさせないぞ! 帰れ!!』


 脅すつもりで、チビ和泉をうまく抱きながら片手を振り上げると、和泉の父ちゃんは明らかにビビった顔をして後ずさり、踵を返して駆けていった。

 ワシは、大きく息をついて、チビ和泉を抱き直した。チビ和泉は、もう、しゃくりあげて泣いていた。


「ちとしぇ、ひっ、ちとしぇ……」

『もう大丈夫だからな、泣くな、泣くな、なんにも心配しなくていいから』


 それでもチビ和泉は泣き止まなくて、ワシに謝り始めた。


「ごめんなしゃい、ちとしぇ、ごめんなしゃい」


 ……こいつは、何も悪くないのに。なんにも悪いことしてないのに。いきなり子供にさせられて、泣くほど嫌いな父親に金を無心されて。なんにも悪いことしてないのに……。

 ワシは、チビ和泉をよしよしとあやした。


『なーんにも泣くことない、お前はなーんも悪くない、家に帰ろう』


 うちに続く坂を登る。お前は何にも悪くない。ひどい目に遭う理由なんてなんにもない。ワシが守ってやる。絶対に、守ってやる。

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