今のおやつに満足できない
おやつのさつまいも蒸しパンを食べていたら、千歳(朝霧の忌み子のすがた)に申し訳無さそうに言われた。
『なんかいつも味気ないおやつしか作ってやれなくて悪いなあ』
「えっどうしたの、おいしいよ?」
お世辞でも何でもなく、慣れ親しんだ味でおいしいのだが、千歳は首を横に振った。
『本当はもっとうまいのも作ってやれるんだ、でも油控えめってなるとどうしてもそう言うのが作れなくて……』
千歳はしょぼんとした。うーん、千歳は甘い物好きだから、甘いものの解像度が高くて、これじゃ満足できないのかな?
「えっと、でも、油控えめで作ってもらってるおかげで俺お腹の調子崩さないし、体重も健康に近づいてきたしさ」
『まあ、そうなんだけどさ』
「千歳、油いっぱいのお菓子作りたかったら俺に遠慮しないで作って食べなよ」
『うん……』
千歳も蒸しパンをかじった。
『でも、うまくできたらお前にも食わせてやりたいんだよなあ』
「……」
えーと、それって、千歳にとって俺は、おいしいものがあったら分けてあげたい程度の存在、ということなのかな……。そういうことなら嬉しいんだけど……。
「ありがとう、味見だけさせてもらうかも」
『そうだな、味見くらいならいいよな』
千歳は笑った。
「なんか作りたいレシピあるの?」
『うーん、チョコムースとか、チーズケーキとか、バターいっぱいクッキーとか』
なるほど、どれも油脂すごそう。
『次の買い物で材料仕入れてくるかなあ』
千歳はうきうきの顔になっている。千歳が楽しいなら、俺も嬉しいよ。




